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ダンジョンの場所を決めたいけどどこがいい?

 とりあえず道具を使ってダンジョンからホームまで戻る。俺のホームは王都クラウンからシャインに乗って数十分の農村の端っこにある。なぜ街に住まないのかというとモンスター牧場を作るのに土地の値段が安い農村が一番だったからだ。

 モンスター牧場というのはテイムしたモンスターを置いていくことができる施設だ。モンスターはPT人数に含まれているので最大で5匹しか連れ歩くことができないし、テイムモンスターだけのステータスで本能値というものがあり連れて歩くモンスターの本能値の合計が高いほど命令を聞かなくなったりする。しかもモンスター同士の相性で本能値が上がったりするので組み合わせを選ぶのも一苦労だ。だから連れていけないモンスターを預かってもらう場所が必要ってことだ。

 とりあえず牧場にクロガネを預けて、ヴァイスとシャインの他にワーウルフのルーとインプのガブを牧場から呼び出した。人間の言葉を話せるメンバーの中でまとめ役をしているやつらだ。ちなみにヴァイスとガブは相性が悪いのでこういう話し合いの最中いつもいがみ合っている。

 話し合いのときの定位置に座った。シャインも変化をして人の体になると俺の膝の上に座る。そしてほわほわと俺の周りを浮かんでいるアルティを捕まえて皆に紹介する。


「今日、テイムしたダンジョンコアのアルティだ。そしてこいつを捕まえたときに神様からメッセージが届いたんで今から読み上げる」


 ここでいう神様とは運営のことである。NPCに搭載されているAIにとっては運営は神様みたいなものらしい。なのでこういう言い方をすれば余計な手間をかけずに皆に理解させることができる。さてさっき来たメッセージを開いて読んでみるか。


【いつも我が社の【無限のダンジョンRPG】を御利用頂きありがとうございます。

 今回、マモル様はダンジョンコアをテイムされたので自動的にこのメッセージが送信されました。

 ダンジョンコアは調教師がとどめを刺した場合のみ極低確率でテイムすることが可能です。

 ダンジョンコアのもつユニークスキルによってダンジョンを造ることができます。それを発展させてあなただけのオリジナルダンジョンを造ってください。


中略


 それでは引き続き【無限のダンジョンRPG】をお楽しみください】


 大事なところをかいつまんで箇条書きにすると


○ダンジョンを造れる。


○造る場所は他のダンジョンから一定の距離が離れたフィールド。


○一度作ったら移動はできない。


○ダンジョンの深さはダンジョンコアのLVと同じ。


○ダンジョンのカスタムはダンジョンコア専用のDPという特別なステータスを用いる。


○DPは侵入者を洞窟から排除すると侵入者のLVに応じたポイントがもらえる。


○ダンジョンコアが破壊されるとダンジョンコアがテイムモンスターではなくなる。


○ダンジョンコアが破壊された場合倉庫内及び手持ちにある全ての所持金をロスト。


○ダンジョンのモンスターとして自分のテイムモンスターも使えるが長時間放置すると本能値が上がり野生に帰ってしまうので時々調教や遊んでやることも大事。


○テイムモンスターが探索者に倒されるとそのモンスターのLVと同じ時間牧場で休むことになる。


○階層に召喚できるモンスターは階層±10LVのモンスター。


○5の倍数の階層にはボスモンスターが配置できる。ボスモンスターはLV制限無し。


○何か欲しいシステムがあったら運営に連絡。


 みんなにこのことを説明するとヴァイスが


「マスター、今このアルティはLVいくつなんですか?」


 そう聞かれたのでステータス画面を開いてパーティ画面からアルティを選択すると


アルティ

ダンジョンコア

LV5

HP5000/5000

MP5000/5000

DP5000

スキル

 ダンジョン生成LV5 召喚魔法陣生成LV5 転移魔法陣生成LV5 

 モンスター生成LV5 アイテム生成LV5


 ……うん、すごい手抜きだ。きっとこのまま上がって行くんだろな。でもこのポイントでどこまでできるかは実際に造ってみないとわからないな。とりあえずみんなにアルティのステータスを教えた。すると皆も笑いたくても笑えないような顔をする。


「それでどこにダンジョンを造るかを決めるのが一番最初っすよね。どうすんすか?」


 ガブが適当な言葉遣いでしゃべり始めるといつものようにヴァイスにらむ。まあいつものことなので無視でいいかなと、ガブの言葉遣いは直らないって。意見としては大事だしね。てかダンジョンの場所なんてどうやって決めよ。とりあえずみんなに聞いてみよう。


「みんなはどこがいい? なにか候補あるなら言って」

「私はあまり人の少ない山奥とかの秘境でいいと思います」

「いやいや、街の近くで効率的に人間狩りましょうや」

「御主人様、吾輩もヴァイスさんと同じで山奥の方がいいと思います」

「またー、またー、しゃいんはどらごんのたにがいいです。おじいがあなほしいっていってますた」


 ヴァイスとガブはどうしていつも反対の意見を言ってにらみ合いになるのか。

 ヴァイスとルーが秘境、ガブとシャインは場所は違うが両方とも人が多いところだな。しかしシャインはマスターと呼べずにまたーと言ってるくせに最後はましたが言えずにますたと言ってるからな。まあそんなとこもかわいいんだけどと思いながら頭を撫でる。

 さてどうしようか。シャインが言ってるおじいってのはドラゴンの谷の長老だろ。穴が欲しいとはなぜだろうか?


「シャイン、おじいはどうして穴が欲しいって言ってたんだ?」

「えっと、よそものからこどもをまもるためっていってますた」


 そっか人攫いならぬ竜攫いが出てるって言ってたもんな。シャインも俺が密猟者から助けたときに懐いてついてきたんだし。だけどそうするとドラゴンの谷にダンジョンを造るとドラゴンの子供たちの遊び場になる可能性があるな。モンスターが最初から幼竜とその親竜ってどんなムリゲーだよ。

 しかしどうしようかね、場所を決めないことにはどうしようもないしな。

 そこで世界地図をアイテムボックスからテーブルに広げて、更に発見されているダンジョンを地図上に投影する。これはスキルとかではなく探索者ギルドのシステムを使ったアイテムであるが値段が異様に高い。自分のいる位置から半径1km毎に10,000Mだから大陸全土を覆うには大陸中心の都市チェンタからでも5,000,000Mかかる。王都クラウンはチェンタの南南東にある湖沿いにあり、さらにこの村は王都から東に100kmほどにあるから大陸の北と西はダンジョンが投影できていない。更にあまりお金をかけていないので俺は今の時点では250kmしか探索できないから南はともかく東の端も所々探知範囲から漏れている。

 まあこの範囲から良さそうな場所を探すかね。あまりホームから離れてもめんどくさいし。

 クラウンの周りやチェンタの周りには緑と青の光が瞬いている。探索完了階層によって色分けがされており緑が20階層まで、青が50階層まで、黄色が100階層まで、赤が200階層まで、これより深いダンジョンは黒となる。まあギルドも探索者の自己申告で情報を集めているので大きなクランとかは探索済みの階層を隠してアドバンテージを得たり、100階層を超えるダンジョンなんかは始めから申告しないことも多く、赤や黒の光が投影されるのは珍しいことだ。そして大都市の周りは初心者の経験値稼ぎのために浅いダンジョンがダンジョンコアを破壊されずに残っている。ボスがいなくても雑魚モンスターや簡単な罠を潜り抜けるだけで結構経験値が貯まるらしい。多少慣れたら他の深いダンジョンやフィールドのモンスター、グランドクエスト用の固定ダンジョンなど行きたいところへに散らばってゆく。

 さてどうしようかな。俺が黙っていると話が進まない、みんなも地図は見ているがどうしようとは口に出さないしな。もうダーツが当たったとことかにしてしまおうか、でもなぁ、探索者が来ない暇なダンジョンというのも退屈なんだよな。だけどいっぱい来て捌き切れなくなってすぐに踏破されても面白くないし、あ~あちらを立てればこちらが立たず歯がゆいな。


「あるてぃはどこがいいの?」


 シャインもこの空気に飽きたのかアルティに話しかけ始めた。いやただの球体だし向こうは話せないだろ。と思ったらアルティの表面に魔法陣が描かれていく。そして魔法陣が光り出して室内を白一色にするほどに輝いた。そして光が消え眩んだ目を開いたとき机の上で仁王立ちしている裸の俺と目が合った。


「お~、またーが二人? こっちがふつーであっちはへんたい?」

 

 シャインが俺の心を抉るようなことを言う。しかもこの状況俺がすごく恥ずかしい。何この強制羞恥プレイ、みんなじっとりと俺の裸見ないで、ヴァイスも手で目を塞いでいるけど絶対指の間から見てるでしょ。ガブは裸の俺の周りを飛ばないで、特に一部に注目するな。

 Ah~もうどうにかしてくれ。


「……シャインさま、私はここが良いのです」


 そう言って裸の俺は地図の一点を指し示した。地図を指すためにしゃがんだから例のアレが隠れてちょっとだけホッとしたのはここだけの話である。正面の俺とシャインからは丸見えだけどな。シャインが指の先に書いてある字を読む。


「えっと、ししゃのもり?」





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