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碧空を翔る  作者: Mr.あぶぶぶぶ
第零章
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プロローグ―開戦

広い飛行場の隅で、僕は同じ部隊の仲間と無駄話をしていた。


「なぁ、聞いたか?近々また連邦とやりあうらしいぜ。」


 一人が唐突にそんなことを言う。


「でも連邦と爛じゃ戦争になんないだろ?」


 確かに別の戦友の言ったとおり、我が【爛帝国】と仮想敵国である【テクタ独立連邦国家共同体―通称連邦】との間には、国力にして20倍、常備軍の数では軽く25倍の差があると云われている。過去に何度か戦争をしたが、我が爛帝国は完全勝利を得たことがない。


「リィンはどう思うよ?」


 急な質問…


「強いて結論するなら―――――。」


 ガガガ―――ッ!とノイズの走った後、持っていた通信機から怒号が飛び込んできた。


『戦闘態勢!連邦が休戦協定を破って進攻している!』


「どういうこと!?」


 突如聞かされたとんでもない情報…


「周波数を124.23に!国営放送やってる!」


 ダイヤルを合わせ流れてきた国営放送を聞き、僕たちはこれが夢でないのを知った。


〖臨時ニュースをお知らせします。帝歴2451年本日4月6日未明、テクタ連邦軍は我が爛帝国西部国境を突如突破し、宣戦を布告しました。繰り返します――――。〗


「クソッタレ!守備隊はなにしてやがる!西部からってことは確実にここを落としに来るぞ?」


 爛帝国西部地区最大の規模を誇るここ【第362飛行場】を連邦が放置する理由はなく、ここに大軍が押し寄せてくるのは時間の問題だった。


「司令部はなんて?」


「突然のことでこっちにまで支援はできないらしい…。」


「ここの防衛隊だけでなんとかなる規模じゃないんだぞ!?」


 確かに推定するとすれば、奇襲を誤魔化せる最大級の戦力とはいえ、歩兵だけでも1000は超えているはず、300足らずの防衛隊だけでは―――まてよ?


「弾薬は十分あったよな?なら全く勝ち目が無いわけでは無いかも。」


 普通に正面から戦えば30分ももたないかもしれない。だけどここの周りは森林、ゲリラ戦にはうってつけの環境だ!


「リィン!なんか思いついたのか?」


「とにかくみんなのところに行こう!」


 僕たちはまだ死ぬべきじゃない。それだけは言えた。

 

 しばらく走って航空隊の詰所に入ると、そこは騒然としていた。


「どうする、このまま撤退したほうがいいんじゃないのか?」


「だけど司令部は徹底抗戦するつもりなんだろ?」


 このままグダグダしてたら助かるのも助からない。そう思い僕は口を開いた。


「あの!みなさん聞いてください。この戦闘、相手の進攻を止めることは可能なんです!ですから―――。」

 

 しかし僕の話は厳つい大柄な正規兵によって切られた。


「連邦との混血が何言ってんだ!あぁ?」


 またかよクソが…。僕は爛と連邦との混血らしい。母親は5歳時に病死してしまったからわからないけど、僕はそのせいで差別を受けてきた。


「リィンがなんだろうと関係ねぇだろうが!」


 戦友の中の一人のタカとその男が取っ組み合い始めた。このままでは連邦が来る。


「お願いします!私の立てた作戦、聞いてください!」


 室内がざわめいて視線が僕に突き刺さる。ふと人ごみの中から眼鏡をかけた長身の士官が出てきた。


「聞くだけは聞くが、問題があった時点で即棄却する。」


 十分だ、現状ではこれしか作戦はない。


「はい。それではみなさんマップを見てください。」


 光魔法で光の画面を出す。


「現在連邦軍は、西部を進攻しています。つまり、基地西方から大軍を投入して来ます。なお、敵が側面を突くのは地形的に事実上無理であるので、森林部右翼と左翼に支援部隊、前方に陽動部隊、我々航空隊は崖を下り隠密行動にて敵の背後をとります。陽動部隊は歩兵小隊と戦車小隊、支援部隊は砲兵科の皆さんお願いします。」


「連邦が側面を突けない根拠は?」


「はい、我々航空隊はジャミング装置により魔力航法を無効化するためこの土地の地文航法に長けている我々航空隊しかこの側面の断崖を下ることは効率的ではありません。それが根拠です。」


「分かった。この作戦を起用し、我々は徹底抗戦を開始する。」


「ありがとうございます!」


 こうして僕は格納庫へとむかう。格納庫へと向かった僕らは、それぞれのロッカーから飛行具を取り出す。

 【※飛行具というのは光魔術こうまじゅつを用いた魔動機を搭載、飛行する。また、さらに動魔術の複数制御をすることで高い機動性を得た。】

 着々と戦闘服へ着替え、飛行具を装着する。魔動機を履き、シールド、愛銃MP5を装備する。本来であればMGを搭載すべきなのだろうけども今回みたいに数が多い時には格闘しがちになるせいでMP5の出番が多い。耳元のヘッドフォンからタカの声がする。


 「さぁやろうぜ!」

 

 「あぁ!第一分隊準備完了!魔術セーフティ解除。行こう!」

 

 少しうわずっているのがわかる。セーフティ解除とともにふわりと体が浮き上がる。そして―――――。

 

 「第一分隊、出撃!」

 

 僕はそう叫び格納庫から飛んだ。


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