レンサ
その街は茜から紺へと色を変えていった
空がその日の終わりを告げるごとに、人々の流れも規則的になっていく
明日は何色だろう
そんな似合わないことを考えながら歩く
街は変わった
緑や黄などの色は消え、茶や灰といったくすんだ色が増え続ける
形あるものは変化する、そう自分に言い聞かせていた
自分もいつか変わる時が来るのだろうか
考えている間に家についた
毎日を同じ様に過ごし、また明日も同じ様な日々を過ごす
扉を開けた自分を迎えたのは冷たい闇とエアコンの風だけだった
そこにあるのは『ヒトリ』という現実
冷蔵庫から飲み物を出し、画面の前に座る
起動音と共に今日が始まった
世間から目を背け自分色に染まった世界に入る、それだけが生き甲斐だった
そこから生まれるものは快楽、感動、自己嫌悪
ある日一人の少年に出会った
そこから人へ、また人へ、繋がり、輪ができるようになった
そしてまた、一人の少女に出会った
そしてまた繋がった
世界が変わって見えるようになった
黒く塗り潰された世界に白を零したように、微かに希望が芽生え
そしてしぼんだ
世界は廻る
自分色の世界も、異色の世界も
廻って廻って廻って廻る
いつかまた楽しい日々が来る、そう思って今は黙って生きよう
時に身を任せて、気楽に。