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世界を書き換えられる転生幼児は、 評価を保留させたまま学園を出る  作者: 黒羽レイ


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第22話 外の話

 外の話は、いつも雑談から始まる。


 授業が終わった後。

 教師が帰った後。

 職員が完全に気を抜いた瞬間。


「……聞いたか?」


 廊下の向こうで、声がした。


 俺は、本を閉じるふりをして、耳を澄ます。


「南門の方で、魔物が出たらしい」

「またかよ」


(来たな)


 話しているのは、年上の区画の職員だ。

 油断している声。


「討伐は?」

「冒険者に回した」

「騎士団は人手不足だ」


(冒険者)


 言葉だけで、空気が変わる。


 冒険者――

 王国の外縁。

 制度の外。

 だが、成果だけは制度に取り込まれる存在。


 俺は、何気ない顔で廊下を歩く。


行動:

偶然を装った接近



 曲がり角で、会話の続きが聞こえた。


「最近は、若いのも多い」

「学園に行けなかった連中とか」

「逆に、行かなかったやつもいる」


(行かなかった)


 その言葉に、少しだけ引っかかる。


「危なくないのか?」


「危ないさ」

「だから、実績が物を言う」


「魔物一体倒せば、

 下手な推薦より早い」


(……なるほど)


 俺は、足を止めずに通り過ぎる。


 そのまま、何も聞いていない顔で部屋に戻った。


 だが。


内部記録:

新規ルート情報取得



(制度外実績)


(評価を、ひっくり返す唯一の方法だ)


 その日の夕方。


 エルナが、隣に座ってきた。


「ねえ、レオン」


「なに?」


「外って、見たことある?」


(来ると思った)


「……空くらい」


 エルナは、くすっと笑う。


「そうじゃなくて」

「城の外」


「……ない」


「だよね」


 彼女は、少し声を落とす。


「でも、兄が言ってた」

「冒険者って――」


 一瞬、言葉を探す。


「……評価が、分かりやすいって」


(商家の情報網、優秀だな)


「倒した」

「助けた」

「成果がある」


 エルナは、俺を見る。


「ここみたいに、

 “保留”って言葉、ないらしい」


(刺してくるな)


 俺は、肩をすくめる。


「……保留は、楽だよ」


「嘘」


 即答。


(バレてる)


 その少し後。


 カイルが、木剣を抱えて近づいてきた。


「なあ、レオン!」


「なに?」


「冒険者って、強いんだよな?」


(直球すぎる)


「……多分」


「剣で魔物斬るんだろ?」

「いいなぁ!」


(こいつは、外向きだ)


 カイルは、目を輝かせている。


 その背後で、

 セリスが、冷たい声を出した。


「無謀よ」

「生き残れないわ」


「えー!」


「才能も、支援もない人間が行く場所じゃない」


(管理側の価値観)


 セリスは、俺を見る。


「……あなたは、行かないでしょう?」


 断定に近い。


(俺を、制度側だと思ってる)


 俺は、答えなかった。


 答えられなかった、ではない。


(今は、言わない)


 その夜。


 部屋で、一人。


 魔物図鑑を、もう一度開く。


 角。

 牙。

 魔力器官。


(全部、分かりやすい)


 強いか、弱いか。

 倒したか、倒していないか。


外界評価基準:

明確



(……悪くない)


 パネルが、静かに更新される。


新規検討ルート:

冒険者



(まだ、選ばない)


(でも――)


 外の話は、

 一度聞いてしまうと、

 頭から離れない。


 評価の分かれ道は、

 もう一つ、

 外にも伸びている。


 それを知ってしまった時点で、

 俺はもう――

 ここに留まるだけの存在ではなくなっていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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