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世界を書き換えられる転生幼児は、 評価を保留させたまま学園を出る  作者: 黒羽レイ


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第16話 次の段階へ

 養育院には、定期的に行われる会議がある。


 子どもは呼ばれない。

 内容も知らされない。


 だが――

 人生が決まる。


 会議室。


 長机を囲み、職員と王都関係者が座っていた。


「では、次の議題です」

「対象番号七三――レオンについて」


(呼ばれてるな)


 俺は当然、その場にいない。

 だが、ログは見える。


会議種別:進路判定

対象:レオン



(進路って言葉、便利だよな)


「現状、問題行動はありません」


「ええ、むしろ――」


 別の職員が、記録をめくる。


「“問題がなさすぎる”」


 一同、頷く。


(褒めてるのか、それ)


「魔力反応は低位安定」

「情緒は安定」

「対人トラブルなし」


「……正直、扱いやすいです」


(言い切ったな)


 騎士団の男が、腕を組んだ。


「だが、“保護”が長すぎるのも問題だ」

「いつまでも隔離しておくわけにはいかない」


「では、どうする?」


 一瞬の沈黙。


 誰かが言った。


「……教育段階に進めては?」


 空気が、少し変わる。


「早くないか?」

「年齢的には、ギリギリだが……」


「しかし、知能反応は良好です」

「質問理解も早い」


(バレてたか)


 別の職員が、慎重に言葉を選ぶ。


「“才能枠”に入れるほどではありません」

「ですが……一般枠に混ぜるには、少し……」


(どっちつかず扱い)


 騎士団の男が、ため息をついた。


「……つまり」

「試してみたい、と」


 全員が、黙って頷く。


決定案:

教育段階へ移行



(来た)


 結論は、あっさり決まった。


「では」

「来月より、初等教育区画へ」


「観測は継続」

「だが、保護レベルは一段階下げる」


(下げるって言っても、ゼロじゃないよな)


 判子が押される。


進路決定:

教育段階



 ――その頃。


 俺は、部屋で積み木を積んでいた。


 もちろん、

 年齢相応の遅さで。


(これ崩すと騒ぎになるからな)


 そこへ、女職員が入ってくる。


「レオン」


 呼ばれる。


 番号じゃない。


(おや)


「お話があります」


 声が、ほんの少しだけ違う。


 俺は、積み木を崩す。


 がしゃ。


(“興味を示した”アピール)


反応評価:

適切



「……来月から」

「あなたは、次の場所に行きます」


(“あなた”って言ったな)


 女職員は、しゃがみ込む。


「お勉強するところです」

「他の子も、たくさんいます」


(言葉を選んでるな)


 俺は、首を傾げる。


 分かってないふり。


「……こわくありません」


(それ言う時点で怪しい)


 女職員は、少し困った顔をした。


「……ええと」

「ええ、楽しいところ、です」


(職員が信用してない説明)


 俺は、小さく頷く。


外部評価:

素直



(よし)


 その日の夜。


 パネルが、静かに更新された。


生活フェーズ:変更予定

役割:

保護対象 → 教育対象



(次のステージだな)


 ここからは――

 「何もしない」だけでは、足りない。


 学ぶ。

 混ざる。

 選ばれる。


 そして――

 選ばせる。


 積み木の一番上を、

 そっと置き直す。


 崩れない。


(いいバランスだ)


 それは、

 これから取るべき立ち位置と、

 よく似ていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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