アリシア
「おはようございます」
その声で私は目覚めた。
カーテン越しの柔らかい光、小鳥たちの優しいさえずり、それらはまるで私の目覚めを歓迎するかのように、温かく心地よい。
そして、目線を先ほど聞こえた声の方に向けると、そこにはいつもの女性が立って、こちらにいつもの優しい笑みを浮かべていた。
「おはよう、アリシア」
私は、彼女に挨拶の返事をすると体を起こした。
ああ、今日も一日が始まる――
「今日のスケジュールはなんだっけな……」
ベッドから起き上がり、思い出そうとしたところで
「朝ごはんは出来てますよ。早く降りてきてくださいね」
と、アリシアから話しかけられた。
「わかった。すぐ行く」
そう答えると彼女は満足そうに部屋を出て、階段を下りて行った。
窓の外から聞こえる小鳥のさえずりを聞きながら服を着替えた後、私も部屋を出て彼女のいるダイニングへと向かっていった。
ダイニングでは、テレビがついていた。
テレビの中の”人”がいうには、人類は海王星にも旅行ができるようになったらしい。
「海王星か……」そうつぶやくと
「行きたいですか?」
アリシアがキッチンから私の大好きなハニーバタートーストと日本国産豆のコーヒーを持ってきて、そう聞く。
「え、あ、ああ。」
意表をつかれ、情けない返事をしてしまった。
「アリシアは、行ってみたいか?」
冷静を装いつつ、気になったので私は聞いてみた。
「ハジメさんが行きたいなら、私も行ってみたいです」
アリシアはそう答えた。
彼女はいつもそうなのだ。私が行ってみたいところに彼女はついてくる。
私が行く先々で彼女に「楽しいか?」と聞くと
「はい!楽しいです!」
と、必ず返してくる。
彼女の嫌そうな顔を一度も見たことが無いので、本当に楽しいのだろうと思っているが、時折少しだけ申し訳ない気持ちになることがある。
思えば、彼女と出会ったのは10年ほど前だったか……




