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82:謎の水柱と高級水着

■和樹くん

「バシバシ叩かれてたけど大丈夫?」

 おれは和樹くんを気遣いながら、更衣室へ向かって歩く。


「あはは、いつもの事なので大丈夫です。でも助けてくれてありがとうございました」

「いいよ、おれも逃げたかったし」


 和樹くんは爽やかな少年で、おれも話しやすい。

 おさげちゃんの彼氏と比べれば雲泥の差だ。


「改めて、僕、河村和樹といいます。今日はお姉ちゃんの荷物持ちとして来ました。よろしくお願いします」

 しかも、おれと違ってしっかりしてるな。

「おれは吉野琢磨、よろしく」


「今日は知らない人ばかりで気後れしてたんです。話せる人がいてよかったです」

「それはおれも同じだよ。和樹くんは何年生?」


「はい、僕は中学一年生です」

「えっ? ほんとに?」


「はい。吉野さんはお姉ちゃんと同じ学年なんですよね」

「そうだけど」


 まじか?

 それって四ヶ月前はランドセルってことか。


「吉野さんは、さっきの可愛い人の彼氏なんですか?」

「いや、幼馴染だけど」

「ふぅん、そうなんですね」


 更衣室の前に差し掛かると、おさげの彼氏と鉢合わせした。

 おれと和樹くんは会釈をしたが、完全に無視されてしまった。


「あの人、感じ悪いですよね。なんか怖いっていうか……」

「うん、あまり関わらないようにしよう」


 ホント、まじで関わりたくない。


 更衣室の建物は大きなプレハブで、中に入るといくつもの部屋に仕切られていた。


 狭い更衣室に入ると、おれは今朝ダミアンに渡された袋を開いた。

 家を出る直前に受け取ったので、どんな水着を作ってくれたのか見ていなかったのだが。


 袋から取り出し、ひろげてみると――


「えっ……」


□夏の海とカラフルな狂人

 着替えて外に出ると、和樹君が待っていた。


「うわぁ、吉野さんってお金持ちなんですね!」

 いきなりそんなことを言われて、おれは思わず首をかしげた。


「いやいや、おれ超絶貧乏なんだけど」

「そんなことないでしょう?」


 どこからどう見ても普通よりちょっと金がなさそうな高校生だ。

 水着だってスクール水着だし。

 どうしてそう思った?


「まぁいいや。とりあえずみんなのところに行こうか」

 おれは和樹君とヤシの木のほうへ歩き出した。


 ――バッシャーン


 突然、沖のほうから水を叩きつけるような大きな音がした。


 そして、防波堤の間から、3〜4メートルはあろうかという水柱が勢いよく上がっているのが見えた。

 それと同時にさっきまで防波堤の上に座っていた男が、立ち上がって両手を突き上げてガッツポーズを決めている。


「あの人が、海に大きな石でも投げたんでしょうか?」

 和樹君が不思議そうにおれを見た。


「どうだろう。水柱が上がったところは防波堤からかなり離れてるし、あんなところまで4メートルも水柱が上がる石を投げることなんてできないと思うんだけど」


「じゃぁ、爆弾とか?」

「そんなこと、あるわけないよ」


 日本で爆弾を海に投げ込んで大喜びするようなやつなんて、いないと思うぞ。


 そう思っていると、男がビーチに向かって振り返った。


 頭は金髪、顔の左半分は青、右半分は赤にペイントされていて、素顔が全然わからない。

 90度首を傾けると、歩行者用信号機のようだ。


 体格的には日本人だと思うが、自信は持てない。

 どう見ても異常者だ。


 男は首を右から左に動かしビーチを見回す。

 あっ、やばい。目が合った。


「和樹君行こう」


 おれはすぐに目を逸らし、ヤシの木の方へと足を速めた。

■和樹くん

「バシバシ叩かれてたけど大丈夫?」

 おれは和樹くんを気遣いながら、更衣室へ向かって歩く。


「あはは、いつもの事なので大丈夫です。でも助けてくれてありがとうございました」

「いいよ、おれも逃げたかったし」


 和樹くんは爽やかな少年で、おれも話しやすい。

 おさげちゃんの彼氏と比べれば雲泥の差だ。


「改めて、僕、河村和樹といいます。今日はお姉ちゃんの荷物持ちとして来ました。よろしくお願いします」

 しかも、おれと違ってしっかりしてるな。

「おれは吉野琢磨、よろしく」


「今日は知らない人ばかりで気後れしてたんです。話せる人がいてよかったです」

「それはおれも同じだよ。和樹くんは何年生?」


「はい、僕は中学一年生です」

「えっ? ほんとに?」


「はい。吉野さんはお姉ちゃんと同じ学年なんですよね」

「そうだけど」


 まじか?

 それって四ヶ月前はランドセルってことか。


「吉野さんは、さっきの可愛い人の彼氏なんですか?」

「いや、幼馴染だけど」

「ふぅん、そうなんですね」


 更衣室の前に差し掛かると、おさげの彼氏と鉢合わせした。

 おれと和樹くんは会釈をしたが、完全に無視されてしまった。


「あの人、感じ悪いですよね。なんか怖いっていうか……」

「うん、あまり関わらないようにしよう」


 ホント、まじで関わりたくない。


 更衣室の建物は大きなプレハブで、中に入るといくつもの部屋に仕切られていた。


 狭い更衣室に入ると、おれは今朝ダミアンに渡された袋を開いた。

 家を出る直前に受け取ったので、どんな水着を作ってくれたのか見ていなかったのだが。


 袋から取り出し、ひろげてみると――


「えっ……」


□夏の海とカラフルな狂人

 着替えて外に出ると、和樹君が待っていた。


「うわぁ、吉野さんってお金持ちなんですね!」

 いきなりそんなことを言われて、おれは思わず首をかしげた。


「いやいや、おれ超絶貧乏なんだけど」

「そんなことないでしょう?」


 どこからどう見ても普通よりちょっと金がなさそうな高校生だ。

 水着だってスクール水着だし。

 どうしてそう思った?


「まぁいいや。とりあえずみんなのところに行こうか」

 おれは和樹君とヤシの木のほうへ歩き出した。


 ――バッシャーン


 突然、沖のほうから水を叩きつけるような大きな音がした。


 そして、防波堤の間から、3〜4メートルはあろうかという水柱が勢いよく上がっているのが見えた。

 それと同時にさっきまで防波堤の上に座っていた男が、立ち上がって両手を突き上げてガッツポーズを決めている。


「あの人が、海に大きな石でも投げたんでしょうか?」

 和樹君が不思議そうにおれを見た。


「どうだろう。水柱が上がったところは防波堤からかなり離れてるし、あんなところまで4メートルも水柱が上がる石を投げることなんてできないと思うんだけど」


「じゃぁ、爆弾とか?」

「そんなこと、あるわけないよ」


 日本で爆弾を海に投げ込んで大喜びするようなやつなんて、いないと思うぞ。


 そう思っていると、男がビーチに向かって振り返った。


 頭は金髪、顔の左半分は青、右半分は赤にペイントされていて、素顔が全然わからない。

 90度首を傾けると、歩行者用信号機のようだ。


 体格的には日本人だと思うが、自信は持てない。

 どう見ても異常者だ。


 男は首を右から左に動かしビーチを見回す。

 あっ、やばい。目が合った。


「和樹君行こう」


 おれはすぐに目を逸らし、ヤシの木の方へと足を速めた。

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