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12話

 勲章をもらった日の翌日の朝。

 あの日、あの後、ジェイエルが言うには勲章だけでなく褒賞がもらえるとの事だった。俺ももらえる事になってるが悩みどころなんだよね……。別に膨大なお金が欲しいとか地位はもう神子って役目があるから、これ以上はいらないし……。物とかもどんなものがあるか分からないし、神殿にいる限り周りで困る事ないしなぁ。

 俺がそう考えてる時にスッとデル様が現れた。

「トールよ、国を守ってくれてありがとう。褒美にこの卵を授ける。この世に一体しかいない魔法生物だ、大事に育ててくれ、ではな」

 デル様に手渡されたのは20から30cm程の繭みたいな卵だった。色は白色と白群色、若葉色が綺麗に調和している。生まれるまでまだかかるのかピクリとも動いてはない。

 俺が卵を受け取ったのを見たらデル様はパッと帰った。

 お礼言えなかった……。心の中で言っておこう、ありがとうございます。

「ト、トール様……その卵? どうしたのですか……!?」

「……ああ、大丈夫だよ。デル様が今さっき授けてくださったんだ。たった今帰っていったよ」

「唐突に現れたので何か危ないものかと……。それならよかったです」

 デル様が授けた卵だと分かったら、安堵した顔になった。

「でも突然なぜ卵をお授けになったのでしょうか?」

「この国を守ったご褒美だってさ」

「なるほど、それならようございましたね。どんな子が生まれてくるか楽しみですね」

「うん、楽しみ! デル様が言うにはこの世に一体しかいない魔法生物らしいよ」

 デーンはウエストポーチから丁度いい大きさの籠とフワフワなタオルを出して、テーブルの上に置いて卵を置く様に言ってきたので、優しくそっと置いた。

「魔法生物ですか……なら、魔法生物飼育許可証が必要ですね」

「え、許可証が必要なの?」

「はい、大人しいのから凶暴なのまで魔法生物や魔物を飼うのなら、それぞれの飼育許可証が必要ですよ。確かトール様は褒賞をまだもらってなかったですよね? 許可証を作るのにどうしても時間がかかってしまうので、国王陛下へ直接許可証を作ってもらう様にされてはいかがです?」

「うーん、他に思いつかなたったしそれがいいかも」

「では、これから会ってもらえるか聞いてきますね」

「うん、お願い」

 お願いしたらデーンは部屋を出ていった。その時、あれもジェイエルにお願いしようと思いついた。

 少ししてデーンが戻ってきた。

「トール様、許可が取れました。時間が大丈夫なら今から来ないかと言っていましたよ」

「分かった。じゃあ、これから行こうか」

 服を整え、籠ごと卵をデーンに持ってもらって、外に行き馬車に乗り込む。

 5分程馬車に揺られ、王城に到着し、案内されるままに着いて行くと立派な扉の前についた。

 ここまで案内してくれた人が扉をノックして俺が来たことを伝えていた。

「入ってもらいなさい」

 ジェイエルの声が聞こえてきたら、案内してくれた人が俺に入る様に促してきたので、お礼を言って中に入った。

 ジェイエルにソファに座る様に促されたので、彼の向かいのソファに座った。

 俺は褒美として卵をもらった事の報告も含めて、少し照れながら口を開いた。

「実は……さっき、デル様が来られて、この卵を“褒美だ”って手渡されたんだ。デル様が言うには魔法生物だと言ってたんだけど……。この子を育てるのに、許可証がいるって聞いて……。褒賞をその許可証にしようかと思って……」

「ほう、それはそれは、よかったではないか。だが確かに魔法生物や魔物はそれぞれの許可証が必要だな。褒賞を使って欲しいわけだな、分かった許可しよう。だが其方の褒賞はそれだけだと少なすぎる、あと5つか6つ程出してくれていい」

 5つか6つ!? 多すぎじゃない? でももう一つ欲しいのあったから丁度いいや。

「そう? ならもう一つお願いしたいんだけど、国立魔法大図書館があるってレーノルドから聞いたんだけど、そこの許可証が必要な本とかあるって聞いたからその許可証が欲しいなって」

「分かった、許可しよう。他には?」

 他に? ……あ、神子の印があるって聞いてたけど、まだもらってなかったなそれにしよう。

「あー、神子(いん)があるって聞いたんだけど、俺まだもらってないからそれが欲しいかな」

「おぉ、そうであったな。なら、歴代の神子(巫女)印とは少し変わったものにするのはどうだろう? 真ん中のシンボルを其方の考える形にすればよい。歴代の神子(巫女)の中でも何人か同じ事をした方がいたはずだ」

「なら、こういうのがいいな」

 紙とペンを用意してもらって絵を描いた。四つ葉のクローバーみたいな形のハートが4つに右下にカンマみたいなものを描く。

「ほう、これなら被ってないからいいだろう。では後日許可証と印を渡す。他にはあるか?」

「うーん、今のところはこれくらいかな。まだ褒賞としてもらえるなら保留にしてもらってもいい?」

「分かった、何か欲しいものができたら教えてくれ。……ああ、忘れるところだった、トールにお願いがあるんだ」

 お願いってなんだろうか? 俺に出来る事かな? そう疑問に思って聞いてみた。

「王立研究機関の神子(巫女)部門の申し出で、神子(巫女)の歴史や偉業、魔法、異世界知識などの研究をしている所なのだが、トールに神子としての魔法知識、日常、発見、異世界知識の記録をさせて欲しいとの事だ」

「俺の知ってる事を話すだけって事?」

「ああ、どうだろうか?」

 俺はいいと言いつつ縦に首を振る。

「よかった。では今からトールにつける者を呼ぶから待っててくれ」

 ジェイエルはウィードに耳打ちして彼が部屋から出ていくのを横目に、俺にデル様からもらった卵を見たいと言ってきたので、デーンにテーブルの上に籠を置く様に言ったら彼はそっと置いた。

「これが創造神様から授かった魔法生物の卵か……なんだか繭みたいだな」

「うん、繭っぽいよねでも触った感じ表面は結構硬かったよ。卵って言うくらいだから殻はあるみたいだね」

「そうなのか……どんな子が生まれるか気になるから生まれたら私にも見せてもらえるか?」

「勿論! 楽しみだよねー」

 どんな魔法生物が生まれるかの予想を話していたら扉をノックする音に気づいた。ジェイエルが入る様に言ったら、少し強めに扉が開いた。

「神子様がいらっしゃると伺い参上いたしました! 神子様はどちらに!? ……あ、貴方様が神子様でございますか!? あぁ、お会い出来る日を心待ちにしていました……。とても、素敵なお姿でございますね――」

 興奮気味に話しながらキョロキョロと見て、俺を見つけて足元に近づきしなだれかかる様にしているが触れてはこない、俺はドン引きして言葉が出ないでいる。デーンもデービットも驚いているのか動いていないし何も言ってこない。っと思ったらデーンは我に返ったのか怒った声が聞こえてきた。

「トール様に軽々しくお触りにならないでください! 汚れてしまいます! デービット! いつまで固まってるのです? トール様をお守りしてください!」

「……っ! わ、悪い……」

 デーンに怒られてデービットは謝った後、俺にしなだれかかってる様に見える男性の肩を掴み1m程離れた所まで連れていった。だが男性は懲りずにこちらに来ようとしていて、デービットは手を離さずむしろ力を入れているみたいだ。

「離してください……! 神子様のお側に居させてくださぃい、ぁあ、神子様ぁあああ……!」

 男性はデービットに阻まれてこちらに来れない様だったので、俺は詰めていた息をソッと吐き出した。

「やめぬか、エドモンド・ジークレストよ――」

 今まで興奮してこちらに来ようとしていたのが、ジェイエルの一声に身体をビクリと震わせてからシオシオと大人しくなった。

「申し訳ございませんでした、陛下」

「私に謝ってどうする」

「! み、神子様……申し訳ございませんでした」

「う、うん。大丈夫……吃驚しただけだから」

 俺は男性の代わり様に戸惑いつつそう言ったら、もう一度謝られたので申し訳なくなって戸惑いながらも大丈夫だと口にしたら、また謝られそうだったけどジェイエルが「もう謝るのはなしだ」と言ったので男性は口を閉ざした。

 そんな中ジェイエルは至って冷静に、男性を俺から少し離れた所のソファに座らせた。

「トールよ、この男はエドモンド・ジークレストだ。さっき言った王立研究機関の神子(巫女)部門の職員の1人だ。神子(巫女)の事になると見境がない男だ。……なぜコヤツなのかと思うだろうが他の職員をその熱意で萎縮させこの役目についたらしい。すまぬな……」

「う、ううん。またあの感じで来られたら困るけどしないでくれたら全然いいよ」

「神子様の御命令とあらば守らさせていただきます! なのでぜひわたしに神子様のお近くにいる権利を……! 何卒よろしくお願いいたします……!」

「急に迫って来たりしなければ全然いいよ。これからよろしくね、エドモンド。俺はトール・スメラギだよ。トールって呼んでね?」

「分かりましたトール様……! これからよろしくお願いします……!」

 デーンをチラッと見たら、一瞬だけ不満そうだったが何も言わずにスッと顔を戻した。後で話を聞いた方がいいのかな?

 それから話を少しして俺はエドモンドを伴って神殿に帰った。その時に一緒の馬車に乗ったらエドモンドがソワソワとしていたりしたが、それ以外は大人しかったから放置してたんだけどデーンを見たら怒ってる感じだったけど何も言わなかったからこれも放置した。

 自室に入ったらエドモンドが興奮してて動いてはいなかったけど、見てるだけでかなり我慢している事が分かったから俺は何も言わなかったんだけど、デーンの堪忍袋の尾が切れたのか怒った声でエドモンドに詰め寄った。

「トール様の許しがあったとしても、その態度は許し難いです……。トール様のお近くにいるのならそれなりの振る舞いをしてもらいたい……!」

「も、申し訳ございません……以後気をつけます……」

「まぁまぁ。デーン、彼は衝動的に行動していないんだから多めにみようよ……大丈夫だからさ」

 彼を見たらオーラが薄い赤に橙だから大丈夫だと思うよ。

 今日はこの後はエドモンドの質問攻めに答えて一日が終わった。デーンにはまた怒られていたが……。

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