私情警察2 ~後編~ 中世ヨーロッパの拷問【串刺し刑】
やつらの住みかは…ボロボロの雑居ビルだった。
ゴミはゴミ箱にあつまる…。しごく、当然のことだ。
(ま、外道が良いところに住んでたら…それはそれでムカつくけどな……!)
ガチャ…
オレは正面玄関から入った。外道ごときに小細工は要らない。
「お邪魔します…」
ターゲットのやつらはリビングで酒盛りをしていた。
(金髪のサル顔…茶髪の細目…ターゲットで間違いない…)
「んだぁ? てめえは!? カチコミってやつかぁ!?」
「俺らをだれだと思ってんだぁ!?」
「酒飲んでるときに邪魔すんじゃねぇよ!!」
酒盛りだと…?あれだけのことをしていて……?
まあいい…。それが貴様たちの人生最後の酒だ。
ドガ! バキ!
「いてぇ…」
「つ、つええ…!」
「痛いのか?軽い方だぞ?これから経験する痛みにくらべればな」
「え? それってどういう…」
今回の捕獲は拍子抜けするほどカンタンだった。
連中はお酒が入っていたので、相手にならなかった。
オレは酔っ払いが相手でも…容赦はしない。
こんなことに時間はかけたくない。
オレは腹パン一発とヘッドロックでそれぞれ意識を刈りとった。
こうしてターゲットの二人を捕獲したオレはいつもの場所に連れ込んだ。
「ん? なんだここは?」
「…お? 目が覚めたか? 起こす手間が省けたぜ」
「て、てめぇは…!クソがぁ! うごけねぇ!」
金髪のサル顔が喚きちらしていると、その声で茶髪の細目が起きた。
「……ん…だよ? うっせーな…ってなんじゃこりゃぁ!!」
やつらは動けない。威勢はいいが、今の状態は笑いがでるほど滑稽だ。
長テーブルに二人そろって抱き着いているような状態なのだから。
そしてオレは一応確認する。
「貴様らは一般人に暴行し…殺した…。悔恨の念はあるか…?」
さっきの戦闘でオレに勝てないと思ったのだろう。クズはすぐに命乞いをした。
「反省します!反省します! ゆるしてください!」
「反省してんのか?じゃあよ…2日にまけてやるよ」
「…へ?ふつ……か…?」
「へ?じゃねぇよ。ここに来た時点で生かして帰す気はねえんだよ」
(やれやれ、ちょっと言葉足らずだったかな…)
「オレの拷問はな、なるべく三日三晩苦しむようにするのがこだわりなんだ。おまえらが反省したっていうから3日の拷問を2日にしてやるって意味だ」
「そ、そんな…」
「まぁ、日を縮めた分、内容は濃くなるがな…」
「な、なにをする気だぁ!!」
やつらは必死に首を動かすが、首もガッチリ固定している。
オレがなにをしているかは見ることができない。
やつらが縛り付けられている長テーブルのようなものには、真ん中に窪みがある。
横から見ると凹に見える。
さて…この窪みになにをするのかというと…一本の鉄製の巨大な杭をおく。
「被害者はヤキトリが好きだったってよ…。おまえらは焼き鳥の刑だ」
そしてオレは、その杭を思いっきりハンマーでフルスイングする!!!
「チャー…シュー……メン!…なんてな」
鉄製の杭は茶髪の肛門めがけて勢いよくめり込んでゆく。
「ぎゃああぁぁ!! いってぇええ!」
「な、なんだ!? おい!?どうした!!」
これは中世ヨーロッパの拷問らしい。串刺し刑という名まえだったかな…。
ガン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガン!
オレは容赦なく杭をフルスイングする。
「え、ちょ、おい…がぼぼ!!」
鉄製の杭は金髪のサル顔も貫通した。二人仲良く串刺しだ!!
「わざわざ杭を鉄製にしたんだ。なんでかわかるか?」
「くぁwせdrftgyh!!!」
「pぉkみjぬふhbyg!!!」
こいつらがなにをいってるか聞き取れなかったが…無理もない。
杭は下の穴から上の穴まで貫通しているのだから。
ポチっ!
オレは手に持った赤いボタンを押した。
しばらくして、クズ二人がさっきよりも大きく暴れだす。
(…と、いうことは効いてきたようだな)
鉄製の杭はコタツのリモコンのように温度を調整できるようにしてある。
食中毒とか怖いだろ?きちんと内部まで熱を通さないとな…。
「じゃあな、クズども。ときどき見にくるからな」
「「くぁzwsぇdcrfvtgbyhぬjみk!!!」」
外道がなにか叫んでいたが…まぁ、たいしたことではないだろう…。
背中で喚く外道を無視して、オレは拷問室をあとにした。
(かりに生き延びたとしても…次は表面を焼くだけだけどな…!)
そして…外道は2日目の昼頃に動かなくなっていた。
「予定より早かったわね…」
「そういえば、杭を打ち込むときは内臓を損傷しないように上手に串刺しにするってあったな…」
「なかなかうまくいかないわね…」
「次はうまくやるさ」
「でも、今回は片付けがラクだわ」
「そりゃ、よかった」
こうして今回の依頼は無事に終了した。
復讐は何も生まない? そんな言葉はクソ喰らえだ。
少なくともオレは…いい気分だ。外道を屠ることができたのだから…。
たとえそれが、歪んだ正義と言われようとも……。
翌日、オレは依頼者に依頼完了の知らせをおくった。
事件の真相、事の顛末、なるべく依頼者がキズつかないように言葉をえらんで…。
腕っぷしだけで警察官になったオレは、これにとても神経をつかう…。