私情警察2 ~プロローグ~
「無罪? あいつが無罪だと!?おかしいだろ!!」
「落ちつけ、鳥嶋!短気を起こすな!!」
「仕方がない、証拠が……不十分だったんだ」
こっちを見てニヤつく犯人の顔……!
「クソがあぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
となりで泣き崩れる被害者の親族たち…………!
そこで、一瞬あたりが暗くなって…
「んぁ? ここは……?」
見慣れた天井だ。オレの部屋だ。
(イヤな夢を見たな…気分わるい……よし、こんなときは…)
オレはパソコンの電源にスイッチを入れた。
店の開店までまだ2時間くらいある。
「あら、マモルさん。おはよう。…なにしているの?」
「勉強さ。拷問のプロが悪人を裁く動画…。勉強になって…ついでにスカッとする!」
「へえ~。勉強熱心ね」
マリはオレにコーヒーを持ってきてくれた。
あたりにコーヒーの香ばしい匂いがただよう。
「ああ、とてもタメになる。こんな人が実在するんなら…オレも弟子入りしたいね」
「ふふっ、そうね…」
拷問というのは意外と難しい。生かさず殺さずしなければならない。
机に向かって勉強するというのが苦手なオレは、こうした動画も教材にしている。
と、同時にいろんなニュースにも目を向ける。
少しでも、お客さんと会話が弾むように…会話の引き出しは多い方がいい。
(まぁ、オレはお客さんと話すことあんまりないけどね…)
「でも開店前だから…忘れないようにね? マモルさん」
「あ、ああ。すまない。もう切るよ」
パソコンの電源を切り、お店の方へ行き準備をする。
いつものように店の仕込みと掃除をさっとすませる。
ガヤガヤ……ガヤガヤ……
時刻は午前11時。客さんもほどほどに入り、適度に忙しい。
これくらいの忙しさがオレにはちょうどいい。
なんてことを考えていると、お店のドアから見慣れた顔の男が入ってきた。