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私情警察  番外編➀ ~おもちゃ屋【ブルーバード】~

ある昼下がりの午後…。

オレはひとりである場所にむかっていた。例のおもちゃ屋である。

圭介に場所を教えてもらい散歩がてら足を伸ばしてみたのだ。


「ここか…」


見た目はホントにふつうのおもちゃ屋である。白を基調とした建物。

カラフルな文字で【TOY SHOP BLUE BIRD】と書かれている。

その横には青い鳥がデザインされている。子ども受けしそうなデザインである。

おもちゃ屋なので当然といえば当然なのだが‥。


カラン…


店内は静まりかえっていた。通路の奥に一人のおばあさんが座っている。両サイドにはいろんなオモチャが所狭しと置いてある。店内に客は…黒人の少年が一人。あとはレジのおばあさんだけだった。最初は客のフリをして店内を見てまわった。


(なん…だと?)


オレはそのラインナップに驚いた。駄菓子をはじめ、ベーゴマ、ブリキの人形、モデルガン、ロボットアニメのプラモデルから最近の流行りの美少女フィギュアまでなんでもある。もっとよく見ると海外で人気の映画のフィギュアも取り揃えている。ポピュラーなものからマニアックなものまで幅広く並べられている…。オレは心をうばわれ、いろんな商品を見てまわっていた。


(…ってイカン。ここに来た目的を忘れるところだった…)


ふと我に返ったオレは、レジのおばあさんに黒いカードを手渡した。人を見る目は厳しそうな人というのが正直な感想だ。おばあさんは鋭い眼光でジロジロ見て、小声で話してきた。


「……………ふぅむ…すまんね、今は空いてないんだ」


カードには9時から5時と書いてある。今は昼下がりだから時間的には問題ない。


「しかし、営業時間のはずだが…?」

「ああ、それはね…。夜の9時から朝の5時って意味なんだ。まちがって子どもが侵入しないようにするための対策さ」

「なるほど…」

「まあいい。お客さんいないから、今日は特別に案内しよう」


(……ん?黒人の少年がいるが…いいのか?)


疑問に思いながらも店の奥に案内された。そして隠し階段で地下に降りていった。地下室に行くと…そこにはいろいろなモノがおいてあった。オレはまた息をのんだ。多種多様な武器が目のまえにならべてある。


「スゴい……ぜんぶホンモノ………か?」

「ああ、ぜ~んぶホンモノさ」


おもちゃ屋の地下室は想像以上の武器庫だったのだ。ラインナップがちがうだけで間取りと品棚の位置は一階とまったく一緒だった。スナイパーライフル、防弾チョッキ、手榴弾、サプレッサー付きの麻酔銃など…。圭介が言ったとおりだった。もし街がゾンビだらけになったら、この店にこようと思うくらいの武器の数がある。


「手間だけど書類を書いとくれ。あと写真も撮るよ」

「あ、はい…」


なぜか敬語になってしまった…。さっと書類記入と写真撮影をすませた。


「ここにあるものはレンタルできると聞いたんだが…」

「ああ、いいよ。津木田さんの紹介だね。まぁ、料金はまけとくよ。そういやぁ、喫茶店経営だったねぇ?…うまくやれば経費でおとせるねぇ」


どうやって経費でおとすんだ?と疑問に思ったが…。

なんとなくできてしまいそうな風貌をしている。

おそらく法の抜け道があるのだろうが…。


「書類は…こんなもんか。そいじゃ、これ」


そういうとおばあさんはタブレットをもってきた。その中のアプリを起動すると、カタログがでてきた。武器、防具、拷問器具の3種類である。生物兵器もある。まるで飲食店のタッチパネルのメニュー表のようだ。スライドすると…いろんなものが載っている。


「なるほど。欲しいものをタッチして…あとは日付指定か」

「そうさ…。端末で買うのもいいし、実物が見たかったらここにくるといい」

「オレ以外にもいろんな人が来るのか…?」

「そりゃそうさ。あつかう品も来客も多種多様さ」

「なるほど…いろんな世代のおもちゃをあつかっている理由がわかった。どんな人間が出入りしてもおかしくない状況を作っているというわけか…。おもちゃ屋だから大型トラックが出入りしても、おかしくない。仮に銃を見られても、コレおもちゃなんだって言い訳できる…うまいカモフラージュだ」

「まぁ、そんなところさねぇ」

「……?他にも理由があるのか?」

「こんな商売を長く続けているとねぇ、心が荒んじまう。でも…ある日気づいたんだよ。子どもたちの笑顔は清涼剤になるんだってねぇ…」

「………………」


オレは言葉がでなかった。


「ときに鳥嶋さん。アンタ、津木田さんの紹介だったね?」

「ああ、だが…すまないが、オレは津木田とは慣れあう気はない」

「警察とヤクザだからね。むりもない…。でもね、めずらしいよ。あの人がここを紹介するなんて…あの人アンタの話しをするとき、ちょいと楽しそうだったんだよ。わたしのカンだけど…自分の組に入れよう、とかではないと思う。純粋にアンタを気に入っているんだと思うよ」

「……………………」


オレはまた言葉がでなかった。


「………わかった。津木田とは付かず離れずの付き合いをする」

「それくらいでいい。すまないねぇ、ヘンな話だったねぇ。またヒマなとき顔を出しとくれ。ここにはいろんな人が来るから思わぬ出会いがあるかもしれんよ」

「わかった。それじゃ今日はこのへんで失礼するよ」


非合法のおもちゃ屋ブルーバード…。

たのもしい味方といっていいかわからないが、時間があるときに寄ってみるか…。


(それにしても、津木田はなにがしたいんだ…意味がわからんな)


まぁ、いいさ…。オレの目的は外道に絶望をプレゼントすることだ。

そのためなら、多少は津木田に利用されてもかまわない…。

ヤクザを毛嫌いしているが、やっていることはそう変わらないのかもな…。

タブレットを片手にオレはその店をあとにした。

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