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残酷な描写がほんの少しあるかと思います。

トリスタンにどうしてロイターが自分の元へ来るのか聞いた碧衣は青ざめた…。


「聖女様は王族と婚姻する習わしなのです…。」

「えぇ!?こ、婚姻って!?つまり、わ、私とロイター様が!?そ、ん、な…!!」

「アオイ様、ロイター殿下が何故黒髪か教えておりませんでしたね?」

「ふぇ?」

「殿下は初代の聖女様の先祖返りなのです。」

「先祖返り?」

「はい。この国に召喚された初めての聖女様は当時の王太子殿下と婚姻しました。そして、その子どもは黒髪でした。しかし、孫は銀髪でした…。

そのうちに数十年間は黒髪の子どもは産まれなかったのですが、いつからか聖女を召喚する時期が近づくと黒髪の男児が産まれるようになったのです。

そして産まれた黒髪の男児は魔力が強いので聖女様の先祖返りだと言い伝えてられているのです。」

「なるほど…。」

「ですから、陛下としては聖女様の血をまた色濃く後世に残すためにロイター殿下との婚姻を望んでいますし、殿下自身もアオイ様と婚姻するつもりなのでしょう。」

「い、や、だ。」

「アオイ様…。」

「私、ロイター様だけは嫌だよ…」

「アオイ様、どうやら以前にお聞きした理由ではない理由があるようですね?」


碧衣は耐えきれずにトリスタンに事情を話すことにした。



* * *



(碧衣の過去の話)


「碧衣、早くしろっ!?このグズがっ!」


彼女が父親から叱られるのはほぼ毎日のことだった。

父親は厳格で躾の一環で暴力を振るうような男だった。

母親は浮気の末に幼かった碧衣を置いて家を出て行ってしまう女だった。


「ま、待って…!」


パシッ!と碧衣の頬を打つ父親。


「言い訳してないで、さっさと準備をしろ!」

「ご、ごめんなさい…。」


彼女が打たれてもこの家では誰も助けてくれない…。唯一、一緒に暮らしていた伯母だけは心配してくれていた。

そんな碧衣が10歳になった頃だ。


「碧衣、ちょっといい?」


伯母が知らない女性と立っていた。


「伯母さん、このおばあちゃん誰?」

「碧衣のもうひとりのおばあちゃんだよ?」

「私の?」

「そうよ。碧衣がまだ赤ちゃんだった頃にしか会ってないから、わからないよね?

あのね、碧衣、私もう少ししたら家を出るの…

だから、碧衣はおばあちゃんと一緒に暮らすのがいいと思うの。」


祖母も碧衣に声をかけた。


「ねえ、碧衣ちゃん?おばあちゃんの家にいらっしゃいな?」

「えっ?」


そのときは全く意味がわからなかった碧衣だが、家を出れることがわかって「うん!」と元気よく返事をしたのだった。



* * *



「ロイター様は父親にそっくりなの…。だから、嫌いなの…。」

「アオイ様が殿下を嫌いな理由は分かりました。」

「ロイター様はナルシストなだけで、暴力とか振るう人でないことはわかってる。でも、あの顔を見ると嫌悪しかなくて…。」

「アオイ様…。」


碧衣はトリスタンに懇願する。


「トリスタンさんは公爵家の人だし、国王様の甥なんでしょ?国王様に言って何とか出来ない…!?」

「アオイ様を助ける方法が一つだけあります。ですがそれはすぐにはできませんし、まだあなたにお話することはできません。ですが…」


トリスタンは碧衣の手を優しく握る。


「ですが、私を信じてください。必ずロイター殿下との婚姻を阻止してみせます。」

「トリスタンさん…ありがとう…。本当にありがとう…。」

「どういたしまして。


ところで、アオイ様?」

「はい、何でしょう?」

「先程から口調が変わっていましたが、それが素なのであれば、俺の前だけでもそのままでいてほしい。」


「一人称『俺』のトリスタンさんだ!!」と思った瞬間に、ロイターへの嫌悪感はどこかへいってしまった碧衣。


「えっと、じゃあトリスタンさんの前だけ口調崩していいかな?」

「勿論。俺もそうさせてもらってもいいかい?」

「うん!」

「ありがとう。それと、トリスと呼んでくれないか、アオイ?」

「ひゃ、ひゃい!」


いきなりの愛称呼びの提案と呼び捨てに彼女はとてつもなく狼狽える。


「ひゃいって、アオイは可愛いな。」


ケラケラ笑いながらトリスは碧衣の頭を撫でる。


「と、トリス、髪がぐしゃぐしゃになっちゃうよ!」

「はは。本当にアオイは可愛いな。」

「もうっ!」


怒りながらも、碧衣の心は満たされていた。

「トリスに触れられるのは嬉しい…」と思っていたのだった。

そんなトリスも碧衣に触れられて嬉しいと感じていた。



* * *



「アオイ殿の旅の行程が決まったので来てもらった。」


謁見の間で国王から告げられる。彼女が召喚されてから一年経つ日に王宮を出立することが決定したのだ。


「はい、国王陛下。この国のために全力を尽くしたいと思っています。」

「頼むぞ。ところで、アオイ殿?」

「はい?」

「旅の護衛にトリスタンを指名したそうだな?」

「そうです。魔法に長けたトリス…じゃなかった、ノートル卿なら魔物を薙ぎ払いながらも、私を護ってくれると思ったのです。」

「そうか。」

「問題ありましたか…?」

「いいや。宰相や他の大臣からも進言を受けている。トリスタンなら安心だろう。」

「よかった…。」


碧衣はほんのりと頬を赤らめる。その表情をみて国王は「息子の勝ち目はないな…」と感じていた。



* * *



出立前日の夜にトリスは碧衣の部屋へきていた。


「アオイ、大変だ…ロイター殿下が旅に同行したいと…」

「絶対、嫌よ!」

「だよな…」

「そもそも、王太子が旅なんて認められるの?

国王は反対するでしょ?」

「そうなんだけど…」

「不敬でも、王太子を一時的に眠らせちゃおうかな?」

「は?そんな魔法あった?」


驚くトリスに碧衣は告げる。


「スキルに魔法創造ってのがあるの…。」

「魔法…創造?」

「多分だけど、この世界にはない魔法が創れちゃうんだと思うんだ…。」


「例えば…」と碧衣はトリスに手を翳し、あることを念じる。彼の身体が光に包まれる。


「何をしたんだ?」

「魔法攻撃を完全に無効化するバリアみたいなものをトリスに張った感じ?」

「何で疑問系?」

「えっと…前にいた世界で補助魔法って分類になると思ったんだけど…」

「つまり、今誰かに魔法で攻撃されても俺はアオイが張ってくれたバリア?で護られる訳かな?」

「多分…?」

「アオイ、弱い火の魔法を俺に近づけてみてくれる?」

「わ、わかった。万が一怪我してもすぐに魔法で癒やすから大丈夫だもんね…?」

「ああ。」


碧衣はボッ!と炎を出しトリスへ放った。すると…


「き、消えた!?」

「やった!ねえ、トリス成功したよ!」


碧衣は跳ねて喜んだ。


「アオイ、落ち着いて?」

「うぅ…ご、ごめんなさい…」

「俺は陛下に殿下を一時的に眠らせる許可を頂いてくるよ。」

「いいの?」

「勿論。」

「じゃあ、準備しておくね?」


国王の許可を得て、ロイターの執務室の前に立った碧衣は、そこにロイター以外がいないことを確認してから、扉に手を翳した。

バタッ!と室内から音がしたので、トリスがゆっくり扉を開ける。


「アオイ様、ロイター殿下は眠られております。」

「ロイター様、ごめんなさい…。

ですが、浄化の旅は危険を伴いますのでお赦しください…。」


側近達に聞こえるように碧衣が言うと周りは納得したのだった。

ロイターにかけた眠りの魔法は碧衣が解除しなければ眠ったままなので、旅に出立してから追いつけない場所で解除するということにした。

異世界の王子に似てるとかどんなイケメンの父親だよ!って

書いてる本人ですが、思いました…

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