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東京ユグドラシル  作者: 浅川
11/12

2章-3

寒気で目が覚めた。

真っ暗で土や岩が散乱している場所に横たわっている。

全身びしょ濡れだ。それに臭い。ヘドロのような匂いがする。

えっと、なにがおきたんだっけ。

体を少し動かしてみる。問題なく動かせそうだ。

ゆっくりと体を起こす。

ぎぎぎぎぎ

何かがきしむような音がする。古い機械が軋みながら動いているような、そんな金属音。

なんだ?背後から聞こえる気がする。

振り向くと暗闇の中で何かが動くのが見えた。

「危ない!」

服の襟を捕まれ、後ろに引き倒された。直後何かが僕の近くを横切り、風圧が額を撫でた。

「うわわ」

慌ててソナーを打つ。先ほどのロボットがそこにいた。

水流と瓦礫の直撃を受けて、流石にダメージはあるようだが、まだ動いている。

そして、僕の後ろにはノヤが立っていた。また彼女に助けられたようだ。ノヤも全身びしょぬれになっているが、見た感じ怪我はなさそう。マノハは……見当たらない。

どうしよう、僕が戦うしかないのか?しかし、武器といえるのは借りているナイフぐらいだけど、どうやればあんな鋼鉄の塊に勝てるんだ?何かのケーブルを切断すれば動きが止まる?でも、そもそも近づくことが難しい。どうすれば?

「下がって!ここは私がやる!」

ノヤがリュックから何かを取り出しながら言った。取り出したのはカートリッジ式のバッテリーのようだ。しかし武器らしきものを持っているようには見えない。

「どうやって!?」

「まあ見てて」

そういうと、ノヤはリュックを地面に置き、右腕に装備していたガントレットのようなものにバッテリーカートリッジを差し込んだ。

するとガントレットの装甲がスライドして展開し、展開し一回り大きな腕のように変形する。

片腕だけやたらしっかりと防具つけてると思っていたが、まさかの格闘武器!?

「巻き込まれないように下がっててね」

そういうと、ノヤはロボットに向かって走りだした。

瞬時にロボットもノヤを捕捉して右のアームを振り上げる。しかしノヤは止まらない。

このままじゃノヤがやられる!?

アームが振り下ろされる。鋼鉄の塊による暴力。生身の人間ではもちろん耐えきれない。

「なんの!」

しかし、ノヤは振り下ろされたアームの軌道に合わせるように右手を振りぬいた。

だめだ、あれがどんな装備なのかわからないが、質量が違いすぎる。単純にぶつかれば吹き飛ばされるのはどう考えてもノヤの方だ。

ロボットのアームとノヤのガントレットが接触する。刹那、凄まじい音がして……

ロボットのアームが吹き飛んだ。

吹き飛んだアームは一度天井にぶつかり、数メートルにわたって転がって止まった。鋼鉄の塊が、である。

ノヤの強力な一撃によりアームが根元からへし折れたようだ。

地震のような振動と風圧がトンネル内を駆け抜ける。

僕は思わずよろけてしまったが、ノヤは止まらない。

走りながらガントレットにもう一本バッテリーを差し込む。

ロボットは残った左のアームを振り上げているが、ノヤの方が早い。

「これでぇ……おわり!」

ガラ空きになったロボットの胴体にノヤの右ストレートが決まる。

再び衝撃と破壊音がしてロボットは後ろに数メートル吹き飛んで、くの字に折れ曲がるようにして倒れた。

いや、実際分厚い装甲がぐしゃぐしゃにつぶれて折れ曲がっている。

振り上げていた左アームはそのままの形で、ロボットはピクリとも動かなくなった。

いたるところから煙が噴き出ている。どうやら機能停止したようだ。

「いえい!」

ノヤが勝利の声を上げた。ガッツポーズをしている。あれだけのパワーを発揮しながら、彼女の肉体にダメージは無いようだ。

ガントレットに装着されていたバッテリーが自動的にパージされ地面に落ちた。どうやらさっきの一撃で容量を使い切ったらしい。ガントレットはシューと音を立てながら煙を吹いている。


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