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七海さんの朝は早い

 ヴーヴーヴー

 

 カーテンの隙間から太陽の光が差す頃。

 朝一のアラームほど憎んだものはない。

 コレがなるだけで朝早々イライラする。

 

 けどそれは過去の話。


「ハッ! すぐに秋斗くんのお弁当を作らなくては!」


 秋斗くんのためなら早起きなど苦じゃない。

 なんなら一睡もしない自信さえある。


「雫お嬢様? 起きてられますか?」


 ドア越しから声をかけたのは侍女のミスミさん。

 遅刻をしないよう毎朝起こしにきてくれる。

 と、もう一人邪魔者が。


「起きてますよ。あ、ドアは開けないでくださいね、父さんがそこにいるんでしょう?」

「ゲッ! なぜバレた……」

「もし開けたら父さん、一生口聞きませんから」

「わかりました! 自室へ戻ります!」


 ミスミさんと一緒に父さんも部屋にくる。

 理由は……気持ち悪いから言わない。


「失礼します。お嬢様今日もなさるのですか?」

「はい。今から行きます」

「お嬢様がゾッコンなんて一体どんな相手なんでしょう。このミスミも見てみたいですよ」

「それは日を改めて彼を家に招きます。あと、この事はくれぐれも父さんには内緒でお願いしますね?」

「わかっております。お嬢様のご気持ち公にするわけにはいきません」

「ありがとうミスミさん」


 制服へ着替えて、キッチンへ向かう。

 すでに朝食の準備で専属の料理人が数人いますが、事情はすでに把握済み。

 このお弁当のために私の料理スキルを鍛えてもらっていたのです。


「雫お嬢様はホントに腕がよろしいですね。この短期間で数々の品を作られるようになって」


 褒めてくれたのは料理長の桐本きりもとさん。

 元々桐本さんはレストランを経営していた人で、偶々父さんが店に訪れた時、桐本さんの料理をすごく気に入ったらしくそれで雇ったみたい。

 店側も売り上げが芳しくなく、たたもうと考えていた所に父さんが出てきたって感じかな。

 店で働いていた人全員を雇うなんて中々粋な事するよね父さんも。


「桐本さんや皆さんの教えが素晴らしいだけですよ。私はただ教わったことをやっただけで……」

「それがすごいんですよ。いいですなぁお嬢様の手料理を食べれるなんて……」

「今度皆さんの分もお作りしますよ」

「本当ですか!?」


 他の方も大喜び。

 といってもいつになるかわかりませんが。


「おお! もう教えることは何もないですよお嬢様。きっといいお嫁さんになりますよ!」

「ホントに!? 私いいお嫁さんになれますか!?」

「なれますよ! お嬢様を選ばない男などゴミ同然です!」

「桐本さん私の好きな人にゴミは言い過ぎです」

「申し訳ありません……」


 誰であろうと秋斗くんの悪口を言う人は許さない。

 例え父さんと母さんでも。

 

 そんな彼に対する私の愛情を邪魔する女狐が現れた。


 真鳥彩花……私が一生かけても手に入れることができない『幼馴染み』というステータスを持っている。

 幼馴染み……それは小さい時から結婚を誓い、四六時中一緒に過ごす関係。と漫画か何かで見た気がする。

 欲しい……ッ! 秋斗くんとのその関係が!

 なのになのになぜあの女が!

 こうしてる間にも秋斗くんとの距離を縮めているかもしれない。

 それを考え始めると夜も寝れない。

 ま、八時間ぐっすり寝れてるんですが。


「許せない許せない……ッ! 秋斗くんは私のもの!」


 あの女と結ばれる前に、秋斗くんを私のものにする。

 他の女は眼中にない。あの女だけ注意していればいい。

 いかなる手を使おうとも必ずや秋斗くんを彼氏そして旦那様にする。


 あの女は外では普通を装っているが、本性は病的に秋斗くんを好いてるタイプの人間だ。

 それが甘い。病的に愛せば自分に振り向くと思っているただの単細胞だ。


「待っててね秋斗くん。あの女からすぐに離してあげるからね」


 そして今日も意気揚々とお弁当を作り学校へ登校する。

雫「次は鰻巻もいれようかな」


桐本(豪華だ……)

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