04.マリー視点
そして、物語はアーノルドさんと私が出会う少し前まで遡ります。
私は、マリー。
いままで王都で暮らしていた私でしたが、とある事情で冒険者にならなくてはいけなくなってしまいました。
その原因は、私がいま背中に提げている剣にあるのですが……その話は後回しにしてしまっても大丈夫でしょう。
冒険者になるために王都を出た私は、初心者冒険者にオススメだと言われているカリッドタウンまでやってきました。
移動手段は馬車です。馬車賃で、所持金がすべてなくなってしまいました。
「親方、大雑把だからなぁ……」
まあ、親方からお金を渡されたときに中身を確認しなかった私も私なのですが。
まさか、カリッドタウンに行くと伝えたからって、本当にカリッドタウンに着くまでのお金しか支度金として用意してくれなかったとは思いませんでした。
太陽は散々と輝いていてお昼ご飯にはちょうどいい時間なのですが、私にはお金がありません。
ある程度のお金を急いで稼げなければ、宿に泊まることさえできません。
「お金を稼がないと……」
お昼ご飯の時間なので美味しそうな匂いをそこかしこから漂ってきますが、脇目を振っている余裕なんてありません。
「まずは冒険者になって、お金を稼がなきゃ」
王都から旅路を一緒にしてきたバックパックを担ぎ直すと、私は冒険者ギルドへと向かうのでした。




