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私の知ってる社長証明じゃない!



「お疲れ様でした。これで社員登録は完了しました。」



理解できないことが立て続けに起こったことで、私の頭はショート寸前。



・・・石って血を吸ったりするっけ?

吸血する石だから吸血石?何それ聞いたことない。

石だと思ってたけどよく見たら透明だったし硝子だったとか?

いやいや!硝子だったとしても血を吸う硝子とか聞いたことないんですけど!?



「・・・・・・むらさん?市村さん?大丈夫ですか?」



私の目の前で仁丹さんがヒラヒラ手を振っている。



「・・・ハッ!だだだ大丈夫です!」



苦笑顔の仁丹さんとシェリルさん。



「突然刺してしまって申し訳ありません。社員登録する際にどうしても血が必要でした。先に『血が必要ですのでください』とお伝えすると怖がられると思いましたので、素早く終わらせられるようにお伝えしませんでした。」




必要だったとはいえ事後報告・・・

いや仮に先に言われてても怖いしそのあと時間かかったかもしれないけどさぁ・・・


まぁチクッとはしたけど一瞬だったしそんなに痛くもなかったから・・・もういいか。



私はこれ以上考えることをやめた。



刺されたはずの指先を見ると傷が無くなっている。



「ビックリしましたけど、傷も残って無いので大丈夫です。」



「本当に申し訳ございませんでした。こちらが社員証明になります。」



差し出されたのは私が知っているカード型の社員証明証とは違うものだった。



銀色で C こんな形をした本体の →C の部分にはキラキラした黄色い石が埋め込まれていた。

黄色い石の下には先程血を染み込ませた雫型の石がチェーンで繋がっていた。



なんだこれ?

指輪???

それにしては小さ過ぎるし・・・そもそも社員証明なんだよね?どうやって使うの??



またしてもチンプンカンプンな私。




「これはイヤーカフです。」



「イヤーカフ?」



「ご存知ありませんか?」



首を横にふる。



「このように付けるんですよ。」



仁丹さんの右耳にも同じ形のものがついていた。




仁丹さんに付け方を教わりながら、何とか自分一人でも装着できるようになった。



よし!出来た!!

手鏡を見ながら付けたから、位置はバッチリ!


ただつける時に強く引っ張ったりしたから少し耳が痛い。


ああ!赤くなってるぅー・・・。




「ここでやることは終わったよね!じゃあ早速社長のところに行こーう!」



声がした方を見るとシェリルさんが立ち上がっていた。



んん??今の声、誰?



周りを見ても私たち三人以外誰もいない。




「キョロキョロしてどうしたの?ほら、早く行くよ!」



声の主はシェリルさんだった。


というか



「なんで日本語喋ってるの?」



さっきまで外国語でしたよね?





「ああ、それは「ストーップ!!仁たん、ストーップ!!そこから先は私が説明する!」・・・仁たんではなく、仁丹です。」



やれやれと仁丹さんは口をつむぐとシェリルさんが満足そうな顔で腰に手を当てて説明してくれた。



「私の言葉が分かるようになったのは、今付けたイヤーカフのおかげなんだよ!これは社長お手製の凄いものなんだ!」



何故かドヤ顔に変わったシェリルさんは更に話し続けた。



「何が凄いかと言うと!イヤーカフに埋め込まれた黄色い石には、話した言葉をその国の言葉で聞こえるように瞬時に変換してくれる素晴らしい能力があって!そしてそして!その下についてる証明石には、血を染み込ませることによって本人以外が使用することが出来なくなるようにしてるんだ!ちなみにこの証明石には敵意や悪意を持った人間から身を守ってくれる能力も備わってるから寝る時もつけとくといいぞ!!」



「はい、分かりました。ありがとうございます。」



「いいんだいいんだ!“先輩”だからね!なんだったら先輩って呼んでもいいんだよ?」



やけに先輩を強調するシェリルさん。



「わかりました。シェリル先輩。」



「!!!!」



シェリルさんは一瞬フリーズした後、「先輩・・・先輩だって!」と小さく呟いてガッツポーズをしていた。




ふふ、なんか可愛い。


シェリルさんって若く見えるけどいくつくらいなんだろう?



そういえば中学生の頃、後輩が出来た途端に「私先輩だから〜」って言ってた同級生がいたなぁ。


あの子も「先輩」って呼ばれると嬉しそうに何でもしてあげたがってたけど、元気にしてるかな?




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