6.新たな就職先へ
会社見学という名の面接が終わり、日々の生活を過ごしているうちにあっという間に数週間が過ぎていた。
仕事から自宅へ帰宅してポストと開けてみると一通の郵便物が届いていた。
差出人を確認すると例の会社からだった。
カバンや上着をソファに置いてから、机上に封筒を置く。その前に正座すると震える手で封を開ける。
ゆっくりと取り出した書類には《採用内定》と書かれていた。
え!嘘!!内定貰えた!!嬉しい!
抑えきれない表情筋をそのままにしながら内定通知書を抱きしめてソファに寝っ転がった。
これでやっと……やっと、念願の夢が叶えられる…!
むふふふふ。
ヤバい。嬉しくてニマニマが止まらない。
今の就職先の上司には数ヶ月前から転職を考えてること、仕事の同僚には離職願を提出していることを伝えていたので、仕事は既に引き続き済みである。
内定ももらったことだし、早速行動に移していきます!
そこからの私は、今までの人生で一番いい動きを見せたと思う。
退職願を提出してから、周りへの挨拶や最後の引き継ぎを済ませた。
最後の一週間は有給を使い、新しい就職先への準備をした。
そして待ちに待った入社日。
私は再び真っ白な建物の前に立っていた。
前回と違う点といえば、スーツからカジュアルな服装になったことだ。
書類には『私服でお越し下さい』って書いてあったけど、こんな感じでよかったのかな?
今までの会社は制服が用意されていたから私服で悩むことってあまりなかったんだけど、今日は何を着ていこうか結構悩んだ末に、青シャツに白パンツでベージュのローヒールのシンプルなコーデにしてみた。
流行を気にしたことないから、毎年同じような服ばかりを買ってしまうのが悩みでもある。
って、今は私の服のことはどうでもいい!
パンっと両手でほっぺを叩いて気を引き締めると、扉に手をかけて勢いよく手前に引いた。
「おはようござ「〇☩☆¿■*&◎¢!!!!」ぃぃいいいい!?」
扉を開けると聞いたことない言葉と共に、目の前に薄ピンク色の何かが勢いよく私の方に倒れてきた。
咄嗟に両腕でそれを受け止めて、そのまま尻もちをついた。
いたたたた…。
ううぅ…お尻いたい…。
倒れてきた薄ピンク色から手を放してお尻を擦ろうとしたら、それがモノでは無くて桜色をした髪の女性だった。女性は私の下半身にのしかかるようにして倒れていた。
「@*ー〇△!・・・℃、☩@☆‰□??!」
ゆっくりと起き上がった女性は振り返ると私と目が合った。
わっ…!可愛い人!
ショートカットが似合う小顔にはすっと通った鼻筋とふっくらとした唇にクリクリと大きな目。中でも一番印象的なのは瞳の色だ。カラーコンタクトでも入れているかと思うほど鮮やかな赤色をしており、外国の人形のような印象を受けた。
その人はすぐに立ち上がると心配そうに片手を私の顔の前に差し出してきた。
「え?あ、ありがとうございます?」
何を言ってるかは分からないが、とりあえず手を借りて立ち上がる。
「¢〇&@☆*△¿■。☩@☆‰□#¥〆?」
「えー…っと?I'm sorry.JapaneseOnly」
英語ですらまともに理解できないのに、他の国の言葉なんてもっと分かりません。