開店〜あの鳥の巻〜
今日もおやつ屋には沢山の人が集まっていた。
お店の中には子供たちがいて各々好きなお菓子を食べながら話をしたり、駒で遊んでいる子達もいる。
私はそれを眺めていて思わず笑みが溢れる。
ああ、やっと長年の夢が叶ったんだ
嬉しい。この場所をいつまでも大事にしていきたい。
その思いが胸を占める。
「まことー」
子供たちが私を呼ぶ声がする。
はいはい。待ってね。今行きますよ。
「まことってばー」
あれ?身体が動かないし声も出ない!!
「ちょっとまことってば!!」
「・・・・・・っは!」
目の前にはシェリル先輩がいた。
あれ?子供たちは??
辺りをキョロキョロ見回しても他に誰もいない。
「職務中に居眠りなんて大した度胸だね。といってもあれからまだ誰も来てなさそうだから仕方ないのかな。」
「うっ・・・面目ないです・・・。」
シェリル先輩は私の前にあるカウンター席に腰掛けた。
開店してから三日目になる現在。
トータルの来客数は三人で、その三人もシェリル先輩とナーラさんと仁丹さんだけという状態。
閑古鳥が鳴き喚いております。
「どうにかしたいと思っててどうしたらお客さんが呼べるのか考えてるんですけど・・・。」
やっぱり集客を狙ってビラ配りとかが無難かな。
仁丹さんが作ったチラシみたいに手書きで地図とかも乗せておけば場所もわかるだろうし。
「ビラ配りとかどうでしょうか?」
「ビラ?何それ?」
「えっと、チラシみたいな?」
「うーん。それで客が来るとは思えないけどなぁ。」
シェリル先輩と見合って頭を捻る。
「そもそもさ、前に仁たんも言ってたけど『おやつが何か』っていうのを知らないんだからお客が来るわけないよね?」
「あ。」
そうだった。
確かに前『おやつの概念がないから新たな認識として広める』みたいに仁丹さんが言ってた。
未知のものに自分から飛び込んでいける人なんてそうそういないだろから、これじゃビラ配りしても来客は見込めそうにない。
「じゃあどうしたらいいんだぁ・・・。」
「んー・・・私はこの金貨チョコが美味しいってわかったから買いに来てるけど、みんなはこの美味しさを知らないからなぁ。」
「そうですね・・・知らないですもんね・・・って!シェリル先輩!それですよそれ!!」
「え?それってなに?」
思わずシェリル先輩の両手をとる。
「知らないなら知ってもらう機会を自分たちで作るんです!」
「機会を作るって言ったって・・・具体的にどうするわけ?」
「例えばですけど、期間を決めて子供たちにおやつを無料で提供するんです!一人二つまでとかにして。」
「無料か・・・。昔から『タダって言葉には騙されるな』って大人から言われてる子供が多いから上手くいくかどうか・・・。」
日本でも『タダより高いものはない』ってことわざがあるけど、この世界でも同じような認識を持ってることにちょっとだけ驚いた。
子供の体調不良で全然執筆進まず・・・
ストックも無くなってしまったのでなるだけ早く頑張ります!