反抗
「うぅ……」
「目が覚めたか。とりあえず食え。」
そういって俺はウサギの肉を放り投げた。
「黒狼さん……なんで……」
「お前が命がけで頼んできたからだ。」
「えっ……」
「……んなこたぁどうでもいいから食え!!」
それから、厳しい修行が始まった。
狼の弟子入りは契約によって決まる。
契約内容は師匠側によって変わるが、基本的には師匠の好みである。
もちろん俺も契約をした。
ただ、師匠というものを持ったことのない俺には少しぎこちないものがあった。
「師匠!!」
「ん……」
「できたよ師匠!!」
「ん…」
「し~~~~~~しょぉ~~~~~!!」
「……」
「ししょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「………………」
まぁ、こんな感じだ。
弟子を持った喜びと緊張感が同居して、結果少し冷たく接してしまう。
「師匠……?? さっきからなんでぼーっとしてるの……??」
「……なんでもない……」
だめだこりゃ……
「ちび、今日の修業はこれで終わりだ。飯をとりに行くぞ。」
「……ちびじゃないもん……」
蚊の羽音のような声で言った。
「あ……?? なんだって……??」
「ちびじゃないもんっ!!!!!」
さすがの俺でも驚いた。
「おいらはちびなんて名前じゃない!! おいらの名前は!! ……おいらの名前は……おいらは……」
「……要するに自分の名前を知らないんだな……??」
小さな狼はうなずいた。
「なら仕方がない。今から俺が名前を決めてやる。お前の名は……」
小さな狼は目を輝かせ俺の顔を見た。
「お前の名は……『チビ』だ。今からお前はチビだから、ちゃんと覚えろよ??」
がぶっ!!
一瞬固まった小さな狼に俺は足を噛みつかれた。
チビの初めての反抗だった。
ちびがチビに変わりましたねぇ~
正直ひらがなのほうが僕は好きなのですが……
どうしよう……