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雪美条高校探偵部員たちの事件簿  作者: 香富士
File2 凪沢と恋の謎
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File2-1 盗まれたラブレター

 わたしの名前は凪沢なぎさわほのか。雪美条高校の2年生。探偵部副部長。何をする部活かって? それはもちろん探偵として活躍する部活……と言いたいところなんだけど、実際は頼まれたら何でもこなすという何でも屋みたいな部活。主にミステリーについて語りながら。これはそんなわたしに起きたとある出来事。


 わたしは以前に部活の後輩、江藤えとう慎一郎しんいちろう君が中学生だった時の恋物語に関する謎を解決したばかりだ(正確に言えば顧問の福森ふくもり先生、十田じゅうだ部長のふたりのおかげかな?)。そしてそんな彼を見ていたらわたしもこの心に秘めた真実きもちを明かさずにはいられなくなったのだ。

 単刀直入に言いましょう。わたしは同じ放送委員の副委員長、佐塚さつか彰光あきみつ君のことが好きだ。訳? そんなものきかないでよ。このことはわたしの特に親しい友達、千葉ちば美玲みれい佐土原さどはら歌乃うたのの2人にしか話していない。

 美玲はバスケ部に所属していて、いかにもスポーツができそうな感じのコ。バッサリとショートにしている髪や女性にしては良い体つきからだとは思うが。運動音痴なわたしからしたら、ただただすごいなぁと尊敬する人だ。歌乃は合唱部員。女子のわたしから見てもかわいい、と思う。背中まで届く長い髪や、柔和そうな目つき、そしてスラッと高い背丈。現に男子からモテるらしいし、かなり成績も良くてスタイルも良くて女子として欲しいものをほとんど持っているような人。唯一の弱点はわたし以上の運動音痴という点。それさえなければパーフェクトなんじゃないかな?


 わたしは文化祭2日目の放課後に彼にラブレターを渡すことにした(雪美条高校の文化祭は3日間あり、江藤君の恋物語が進んだのは1日目の放課後のこと)。彼はテニス部なので、文化祭ではB館の傍で出店をやることになっている。だからわたしはC館へ彼を呼び出すことにした。B館・C館とは今の校舎ができる前にあった古い方の校舎で、なんだかんだでその2つだけは残されている。普段わたしたちが授業で使う1号館・2号館の裏にあり、主に部活などで使うだけなので、探偵部は掃除を頼まれたときくらいしか来ない場所。



 ◇



 運命の今日は9月中旬にしては暑く、風も全然吹かない日だった。とりあえずわたしはC館の事務室――もちろん今は使われていない――にラブレターを入れた鞄を置いておいた。後で佐塚君が来たら渡すつもりなので、とりあえず。どうせだれもそんなもの盗ったりしないだろうし。それは壁に掛かった時計を見ると、丁度4時20分だった。


 そしてわたしは約束時間の5時の、20分くらい前に美玲と歌乃と一緒にC館へ向かった。もうふたりには計画を話してあったから、それで盛り上がりながら。

「頑張ってね、ほのか。気持ちは大丈夫?」

「一応はね。でも良いわよねぇ歌乃は。上沼かみぬま君っていうお相手がいるんだから」

「ホントよね。わたしたちの中でつき合っている人がいるのはあなただけなんだから。羨ましいわ」

「そんなぁ、別に私は……」

 歌乃は顔を赤らめて言った。上沼陸人りくと君は歌乃と同じ合唱部員。わたしはよくわからないけどかなりの実力者らしい。歌乃も歌がすごく上手いので、合唱部の中では話題のカップルのようだ。

「でもでも、そう言う美玲も気になってる人はいるんでしょ?」

 歌乃はが話題を変えようと、美玲に振ってきた。

「ま、まあね。苅部かるべ君のことでしょ? 確かに良いなぁと思ったことはあるけど……」

 美玲も顔を赤らめて言った。苅部かるべ建彦たけひこ君は佐塚君と同じくテニス部員。2人ともテニスの腕前はなかなかのものだ。

「あーあ、でもほのかがアタックするならあたしもそうしようかしらね……」

 美玲がポソッと言った。

「そうよ、わたしが告白するんだから美玲もすれば?」

「あたしにとってそんなに告白は軽くないわよ。まだそんなに仲が進展したわけじゃないし。あたしは慎重なのよ」

 わたしが冗談っぽく言うと、美玲も笑って返してくれた。


~C館見取り図~

挿絵(By みてみん)

 そんな話をしているうちにC館へたどり着き、表口から入ろうとする。

「……あら?」

 なぜかドアが開かない。わたしが戸惑っていると後ろから美玲が不思議そうにきく。

「どーしたの、ほのか。C館の表口の鍵はこの前壊れちゃったから、開きっぱなしのはずでしょ?」

「違うのよ。何かがドアの奥に置いてあるみたいで開かないのよ」

 ドアを思いっきり押してみるが、少しも動かない。仕方がないので走って裏口へ向かう。こっちは問題なく開いたので中へ。そして、裏口から1番離れている事務室へ向かおうとした時だ。

 突然、事務室からスカートを穿いた、髪の長い女の子が飛び出してきた。

「あら、誰かしら?」

 歌乃が言った。よくその女子生徒を見てみると、手には何か見覚えのあるものが握られていた。

 その女は駆け出した。その瞬間、わたしの体は動きだしていた。

「わ、わたしのラブレターを……! 待ちなさい!」

「ちょっと、ほのか?」

 美玲と歌乃がわたしを追いかけようと、駆け出す。わたしは歌乃に向かって、

「歌乃はここで誰か来ないか見張っておいて!」

「わ、わかったわ……」

 彼女の返事をよく聞くこともせずに、わたしと美玲はその女子生徒を追いかけた。そいつはすぐに、事務室の前にある階段を上がる。しかしこのC館の廊下は意外と長い。出入り口から階段まではそこそこの距離がある。それでも急いで階段を駆け上がり、2階につくと同時にドアがピシャッと閉まる音がした。

「ふぅ、この部屋ね、あの人が逃げ込んだのは。今ドアが閉まったのが見えたし」

 美玲が息を切らせながら言った。彼女の方がわずかに先に2階についたのでドアが閉まるのが見えたのだろう。

「……そう……ね。この……演習室……1ね」

「大丈夫ほのか?」

「だ、大丈夫……よ。こんなに……猛ダッシュしたのは……久しぶりだから」

 男子含め学年で1番足の速い美玲なら余裕なんだろうけど……そんなのわたしには無理よ。

「そ、そう。大丈夫なら良いけど。ともかく誰なのかを確かめましょう!」

 美玲はそう言いながら勢いよく引き戸を右に打ち付けながら開けた。

「うわっ!」

 驚いた顔でこちらを向いたのは、同じクラスの蓮井はすい颯也そうや君。

「なんだなんだ。驚かさないでくれよ、千葉さんに凪沢さん」

「蓮井君! 今何してたの?」

「見れば分かるだろ。演劇部の明日の公演に使う大道具を修理してるのさ。もうすぐ先輩が取りに来るころだと思うけど」

 彼はそれなりに背も高く、顔たちの整った演劇部員だが、あまり表舞台には出ずに基本的に裏方を中心にやっている。と、前に演劇部の友達が言っていたのを思い出した。

 やっと息も整ってきたので、その教室をざっと見まわす。彼が直している2枚のパネルと直すための工具と塗るための道具、それにハンガーに掛けられて床にそのまま置かれている数着の衣装くらいしかその部屋には無かった。

「そのパネルはどんな場面のものなの?」

「これは主人公の家の壁だよ。結構長い時間使うし、しっかり補強して色とかも塗りなおさないとね」

「ふーん。ところでさぁ、さっきドアが閉まらなかった?」

「あぁ……そういえば急に閉まったね。暑いから窓もドアもあけてたんだけど……どうしたんだろう? まさか幽霊か何かが閉めたのかな」

 蓮井君は笑いながら言ったが、美玲が“幽霊”という単語を聞いたときにビクッとなったのをわたしは知っている。意外と怖がりなのね。

「蓮井君はずっとここにいたの?」

「もちろん。これを直してたんだよ。ここに来る前には上でファッション部に直してもらった衣装を受け取りに行ったよ。ほら、そこにあるだろ?」

 彼は床に置かれた衣装を指差した。よく見れば、女物の衣装のようだ。

「なんだか制服みたいな感じね」

「そりゃだって学園ものだしね。こういうやつが必要なんだよ」

 手に取ってみると、わたしよりも少しサイズの大きい制服だった。雪美条高校うちの制服とは若干違う。

「ま、良いわ。ありがとね」

 美玲が不安そうな顔をしているけど、とりあえず演習室1から出る。わたしが次の行動を考える間もなく美玲は、

「ねぇ、本当に良いの?」

「えぇ。だってあの盗んだ人ははどう見ても女子だったじゃない。髪も長かったし、スカートをはいていた。彼のはずないわ」

「それはそうかもしれないけど……」

「じゃあ、あっちにも誰かいるみたいだから話をききに行きましょう」

 わたしは電気もついていて「使用中」の札がさがっている演習室2の方を指差し言った。その札はC館を使う時にドアノブにぶら下げるものだ。


 *


 演習室2には、ひとりの女子生徒がいた。彼女は気配を感じたのか、首をこちらに向ける。

「あら、美玲ちゃんにほのかちゃん。どうかしたの?」

「なんだ、珠理じゅりちゃんか」

 彼女は書道部員の松菱まつびし珠理ちゃん。彼女の2つ結びにした髪や白い縁の眼鏡からは、真面目そうな印象が感じられる。現に真面目で物静かな珠理ちゃんは、クラスの女子や男子からも頼られることが多い。彼女の書道の作品は何度か見たが、いつ見ても字はきれいで、さらに物静かな彼女からは想像できないような力強い字だ。顧問の先生からの評価もすごく良いらしい。実際に賞を何回も受賞しているらしいし。わたしは特別に字が汚いというわけでは無いが、絶対にそんなことは無理だと思う。

「珠理ちゃん、ここで何してたの?」

「明日、書道部がやるパフォーマンスの準備してたのよ」

 珠理ちゃんはわたしの問いにあっさりと答える。

「あぁ、あの大きな半紙に書くやつ?」

「そう。でもそれはもうさっさと終えてちょっと作品の整理よ」

 そう言う彼女の周りには確かに半紙が散らばっていて、奥の方には大きな半紙やバケツが置かれていた。

「ねぇほのかちゃん、そんなことをきくなんて何かあったの?」

「まぁちょっとね。……作品を見て良い?」

「もちろんよ」

 とりあえず周りにおいてある半紙を手に取った。達筆すぎて何て書いてあるのかわからないものや一応は読めるもの、色々ある。読めないのもなんとなく何かの格言みたいなものを書いているのかな? くらいのレベルで理解はできる。わたしは机の上にある、他のものよりもしっかり表装されている作品を手に取る。

「それは、前の部長が私たちのために残してくれた作品よ」

 と、珠理ちゃんが後ろから説明する。

「……ねえ美玲。読める?」

「全然。全く読めないわ。こーいう芸術系はちょっとね」

 珠理ちゃんはやりとりを見てクスリと笑い、

「それは明日書道部の展示を見に来てくれたら教えるわよ」

「ちょっと、何よ、ずるくない?」

「たくさんの人に見てもらいたいからね。こういうところでも宣伝しないと。美玲ちゃんも来てくれる?」

「そんなに言うなら行こうかしらね」

「2人ともありがと!」

「ところでさ、珠理ちゃん。さっきこっちに誰かが来なかった?」

「うーん……階段を駆け上がる音がした気がするけどそれってあなたたちよね? 他には多分来てないわ」

「そう、わかった。悪かったわね、お邪魔しちゃって」

 わたしたちはとりあえず演習室2を後にした。

「どうするのほのか? 2階にもう人はいなさそうだけど」

 他の教室には札は下がっておらず、電気もついていない。おそらくもう人は誰もいないだろう。

「とりあえず今度は3階に上がってみましょ」


 *


 わたしと美玲は3階に上がりとりあえず目の前の美術室に入る。そこにはまたも、ひとりの女子生徒がいた。

「あれ、どーかしたの、ほのかに美玲?」

 彼女は八木やき優奈ゆうな。背中まで届く薄く茶色がかった髪に、校則ギリギリまで短くしたスカート。見た目は軽そうな印象だが美術部員で、彼女の描く絵にはいつも驚かされている。何度もコンクールで賞をとっているらしい。絵心の無いわたしには到底そんなのは無理ね。

「優奈、ここで何をしてたの?」

「なんでそんなことをきくの? ま、別に隠すようなことはしてないけど……」

「ちょっと色々あってね……。協力してくれない?」

「ふーん……」

 優奈はどこか怪しむような目つきでわたしたちを見る。だがすぐに、

「あたしはここで作品の整理をしてたの。美術部で作ったものが色々置いたまんまだし、明日の2号館の美術室の展示も今日とは少し変えたいしね」

 確かに美術室の中は絵やら陶芸やら、おそらく美術部の作品と思われるものが、ごちゃごちゃ置かれていた。

「優奈が作ったやつはあるの?」

「う~んと……その美玲の足もとにある絵はそう。2年生が始まってすぐに描いた学校の前の通りの桜。この絵で前に賞をとったの」

「これって色鉛筆で描いたの?」

「うん。自信作よ!」

 優奈は少し得意げだ。良いほめ方をわたしは知らないけど、色遣いが鮮やかで春の空気が伝わってくる、そんな絵。たくさんの人をハッピーにできそうだ。

「さすがは優奈ね」

「な、なんだか面と向かって言われると照れるわね」

 珍しく彼女は素直に喜んでいるようで、顔を赤らめた。

「ところでさ、優奈。さっき誰かが3階に上がってこなかった?」

「さぁわかんない。ドアは開けっぱなしだけどずっと見張ってたわけじゃないし」

「そう。ありがとね、協力してくれて」


 *


「それじゃあ次はこっちの家庭科室かしらね」

 美術室を出て、美玲はミシンを動かす音のする家庭科室の方を指差した。なんで今は使わない教室なのに、そんなものがあるかと思う人もいるだろう。それは今使われている家庭科室には新しく買ったミシンがあり、使われなくなったからこっちに移動させたということだったと思う。滅多に使われることはないのだけど。それにこっちの美術室にも多少の絵の具やら色鉛筆やらはあったし、音楽室にはさすがにピアノはないけど、譜面台くらいなら2つくらいはあった気がする。まとめると、今の校舎では使うことはおそらくないけど捨てるのもちょっと……みたいなものはこっちに残されているということだ。

「あれは……鈴夏すずかちゃんね」

 ミシンで熱心に何かを縫っているのはファッション部の段野だんの鈴夏すずかちゃん。顔たちや体つきのみで見れば平均的で、あまり活発な性格ではないものの、うまいことそれらが合わさっているのか、妙に色気があるとわたしは感じる。艶のある長い髪、どこか相手を圧する目などだとは思うが。そして彼女の作る服は着る人との相性が最高だと、誰かが噂していた。現に去年のファッション部のファッションショーでも彼女の服はかなりの高評価を受けていた。今年はどんなのを作るんだろう? それにステージで絶対に映える見た目なのに、あまりステージには立たないらしい。

「ねぇ鈴夏ちゃん、ちょっと良い?」

 わたしが声をかけると鈴夏ちゃんはピクッとしてこっちを向き、動かしていたミシンを止めた。

「なぁに? どうかしたの?」

「ちょっとね……。ねぇ、鈴夏ちゃんはここで何してたの?」

「私? 2号館の家庭科室はクッキング部が明日の準備をしてたから、手直しなきゃならなくなった服をここで直してたのよ。あ、でもその前に演劇部の衣装も蓮井君に頼まれたから直したわ。少し前に取りに来たけどね」

 確かに家庭科室にはミシンと4着の服がきっちりハンガーに掛けられ、洋服掛けにかかっていた。詳しく語れるほどの知識は持ち合わせていないけど、秋物のものであることくらいは分かる。ブラウンやベージュのワンピースにドレス。誰もが着てみたいと思えるような、素敵なものだとわたしは思った。

「実際着てみると、ちょっと違和感があったりするのよ。私は完璧なものを作りたいからね。できるだけ直してほしいと言われたら直すようにしてるのよ。今だってほら、このスカートなんて結構作り直しに近いんだから。ちょっと装飾を変えるためにね」

「ふぅん……仕上がりが楽しみね。でも本番は明日なんでしょ?」

「うん。でもとことん完璧を目指したいからね」

「鈴夏ちゃんは真面目ね。ところでさ、さっき誰かが3階まで来なかった?」

「どうかしらね。気が付かなかったのかもしれないけど……」

「そう、ありがと」

「何かあったらまた来てちょうだいね」

「ごめんなさいね、部活中に。でもありがとう」


 *


 こうしてわたしたちはC館にいる人におそらく全員に会ったわけだが……。

「ねぇほのか、どうするの? あいつが逃げ込んだ演習室1には蓮井君ひとりしかいなかったわけだし……でも彼はスカートをはいていた髪の長い女とは全く違うじゃない?」

「……他の鍵がかかっている部屋も一応見てみましょ」

 手がかりのないわたしたちは、1階の鍵が置いてあるところへ行くために階段を下る。

「あ、おかえり!」

 歌乃は表口の前で待っていた。

「表口のドアが開かなかったのは、これのせいみたい」

 ドアの前には、レンガが10個ほど積んである。C館の外の花壇に使うものだろう。でもどうやって運んだのかしら? ひとつひとつはかなり重いし、手間がかかりそうなものだけど……。

「ところで歌乃、1階には誰か来た?」

「いや、誰も来なかったわ。それにC館のすぐ外で剣道部と卓球部が出店の準備をしてたから、その人たちにもきけばわかるんじゃない?」

「そう。それならやっぱり犯人はC館にいるだれかなのかしらね……」

 いったい誰が……みんな良い子なのに……。

 3人で考え込んでいると突然歌乃が言った。

「あ! ねぇ、ほのか、そろそろ5時じゃない?」

「ホントだ! でもこんなんじゃしょうがないから……歌乃、もし彼が来ても適当な理由で帰ってもらって」

「え、ええ。わかったけど……これからどうするの?」

「とりあえず念のため鍵がかかってるであろう部屋も見てくるわ。でもその前に……」

 わたしはスマホを取り出し、とある人に電話した。

「あ、もしもし。わたし、凪沢ですけど……ちょっとすぐにC館へ来てくれない? あ、いや良いのよあなただけで。あとついでに福森先生も呼んできてね。は~いじゃ、よろしく~」

 それからもう1人。

「もしもし、凪沢ですが……ちょっと今からC館まで来てもらえます? それじゃよろしくお願いしま~す」

 わたしは助っ人を頼んだのだ。今度はこのわたしに起こった『恋文盗難事件』を解決してもらうために。

「じゃ、とりあえず教室をまわりましょ、美玲。歌乃もお願いね」

 わたしはそこに置いてあった鍵を全て持って、再び廊下を歩き始めた。

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