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エルドランドファンタジア~ファンタジー異世界にチート転生したが、 不便過ぎるので自重するのをやめた!~  作者: 剣伎 竜星
第1章 転生~幼少期 不衛生で不便で多くのものが不足している寒村
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第6話 魔道具作成で手を抜くのをやめた

◆前回のあらすじ

原子論はエルドランドでも健在です。

ガウ小父さんたちの訓練で武器の技能レベルとスキル獲得。

気がついたら、俺は魔術使じゃなくなっていた。

 7歳になって、俺への好意を周囲に隠さない半天使半犬獣人エンジェリックビーストのシア

に対して、半天使半エルフ(エンジェリックエルフ)のソフィも俺に好意をもってくれているの

を知ったのはソフィの両親が仕事で村を数日の間離れることになって、

俺の家でソフィを預かることになったときだった。


 いつの間にか時々家に泊まりに来るようになって、同じベッドで

なぜか寝ているシアがその日の夜も両親の仕事の都合で子供を1人には

できないからと俺の家に泊まりに来て、いつもは両親と使っている部屋で

1人で寝ようとしていたソフィを強引に俺が寝るベッドに連れ込んできた。


 【英傑】の称号の力で既に身体能力で成人男性並みの筋力をもつシアに

半分天使の血を引いているとはいえ、子供のソフィが抗えるはずもなく、

シアに連行されて俺の寝室にきた。


 俺の寝るベッドはクリスと母たちの配慮でこれまたいつのまにか

大きなものに取り替えられ、7歳になる子供が3人並んで寝ても余裕

が有り余る大きさになっていた。

 しかも、寝心地はスライムベッドには劣るがかなりいい。


 これは前世で言うところのクィーンサイズベッドでは? 

という考えが過ぎったが、怖いので深く考えないことにした。

なんで子供のためにこんなでっかいベッド用意しているんだ?


 寝つきのいいシアは定位置である俺の右側に陣取り、いつもしている様に

俺の右腕に抱きついて既に可愛らしい寝息を立てていた。


 対して、俺の左側にいるソフィは借りてきた猫の如くおどおどと

大人しくしていたので、俺はソフィにここで寝るのが嫌ならいつも

家族で使っている部屋に戻って寝ていいことを告げた。


「……ボクもここで寝てもいいの?」


「嫌でなければ別にいいよ。僕はソフィの気持ちのほうが大事だから、

ソフィが独りで寝たいなら別に責めないよ」


「ううん、ボクもここで寝るよ!」


「わかった。じゃあ、明かりを消すよ」


いつも傍にいる親が寝る時にいなくて心細いからだろうなと

俺はそのとき思っていた。


「うん……」


ソフィが頷いて返事をしたのを確認した俺はゴブリンが落とす魔石を

部品に加工して、電灯代わりにと試作した魔力灯の明かりを消して、

眠りに落ちた。


明けて翌日の朝、


「……どうしてこうなった?」


俺は右側から首に腕を回されてふかふかの金髪をもつシアに抱きつか

れていた。


 これは最早、シアが泊まりに来た翌日の恒例のことなので慣れて

しまっていたが、いやいや慣れてしまうのも問題だが、今の問題は

その反対側、左側にソフィがシアと全く同じ体勢で俺に抱きついて

寝ているのだ。

 しかも、綺麗な緑の髪を広げて、とてもリラックスした表情で

寝ていらっしゃる。


「あまり女の子の寝顔をじろじろ見るのはいけないことだよ。アル」


不意にかけられた言葉がした方に視線を移すとシアが責める様なジト目

の視線を向けていた。


「ごめん。それと、おはよう、シア」


「うん、おはよう、アル」


この場で反論して、いいことはないので俺は素直に謝り、朝の挨拶を

シアにすると、シアは険しい表情から茶色の瞳を細め、いつもの満面

の笑みを浮かべて、抱きついている腕に少しだけ力を込めてきた。


 2人共、胸はまだ育ってきていないがぷにぷにの肌の感触と高めの

子供の体温を心地よく感じていたところで、突然、目を見開いたソフィが

苦しみ始めた。


「アル、ソフィを助けてあげられないかなぁ?

時々、こんな風に苦しそうしているんだって、ケイロン小父さんがいってたの」


シアがすがる様な視線を送ってくる。


俺は何でもできる訳ではないのだがなぁ。


なんかパターン化してる気がするよなと、

俺は内心でため息を吐く。


まぁ、この状態のソフィを放っておけるほど薄情ではない。


 思慮深いエルフのケイロン小父さんのことだから、既にいろいろと

ソフィをこの状態から助けるために様々な手を尽くしていると思うが、

一応、【世界検索(ググール)】の鑑定機能でソフィの状態を診察してみた。

===============================

ソフィ

状態:魔力過多(魔力過剰症)

===============================

魔力過剰症? 聞き慣れない単語が出たので、【世界検索】で

更に調べてみる。


 シアは俺の様子が変わっても思うところがあるのか、

何も言ってこない。


===============================

 魔力過剰症:エルフなど魔力が高い種族とその他の種族の混血児や

魔術素養が非常に高い子供。または、魔術素養がないもしくは低い

人間に高出力の魔術回路を強引に作成して組み込んだ際に発症しやすい疾病。


 症状は寝起きなどに多くみられ、肉体が体内の魔術回路で作られる

魔力の肉体側の許容量を超えた供給開始および循環に耐え切れずに

肉体が激しい苦痛を受けるもので、症状は発症者が気絶した際に回路

の魔力作成が止まるので、それとともに一時的に治まる。

意識が一気に覚醒する気絶からの覚醒ではなぜか発症しない。


 なお、素養の低い人間に高出力の魔術回路を作成することは肉体が

耐え切れず回路崩壊を起こすことが多く、生来の魔術素養の低さによって、

魔力の制御ができずに行き場を失った魔力が暴発して最悪、死に至る

ため、魔術ギルドでは禁止されており、自身以外に施すには組合の

認可が必要である。


 治療法:子供ならば3歳ごろから発症して、加齢と魔術の習熟とも

に肉体が魔力回路の流れに適合していって自然治癒することが多く、

明確な原因が分かっていないため、エルドランドでは明確な治療法は

確立していない。

===============================


なるほど。ソフィは魔力が肉体が耐えられないほどできてしまって、

体が耐え切れずに苦しい思いをしているのか。


ううむ……余剰魔力を循環させずに貯蔵する魔道具に流して貯める事

ができれば魔力が空になってもその魔道具があれば電池みたいに使え

て一石二鳥じゃね?


という思いつきで、【魔術(時空)】の『空間収納』から元々の魔力を

使い切ったが砕けていない魔石を取り出して、以前から組み上げていた

余剰魔力を貯蔵するための魔術術式回路などを【魔術(工学)】で魔石に

書き込む。

 また、普段、クリスがつけているイヤリングを参考にして身につけるための

金具部分を【魔術(工学)】の『成形』でサクサク作成して魔術回路を刻んだ

魔石をはめ込む。


 4組試作して、早速、余剰魔力を自動で吸収するように術式を調整した

1組を未だに苦しんでいるソフィの耳たぶにつけてあげた。

 すると、イヤリングのソフィの髪と同じ緑色の魔石が光り輝き、

しばらくして輝きは収まった。


「ううう……あれ? 痛いのが治まった?」


苦しんで唸っていたソフィがそれまでの苦痛が嘘だったように

すっきりした表情になった。

 どうやら上手くいったようだ……が。


「むぅ~~~~」


あ、やっぱり。


俺の横でシアが案の定、膨れていた。


 俺がソフィにイヤリングをプレゼントしたのを妬いているみたいだ。


「シアも、はい、これ」


試作した内の1組を渡す。こちらの魔石の色はシアの瞳の色に合わせて

茶色にしてある。


 あと2組のうち1組はクリスに渡して、もう1組は自分用だ。


 ソフィと違って、俺たちは魔力過剰症に罹っていないが、

いざというときの魔力の補充源はあるにこしたことはないという

判断と自分でも使用してみて、術式の追加や効率化、デザインの

ブラッシュアップをして完成度を上げるためだ。


「ありがとうアル。そうだ、ソフィみたいにあたしにもつけてよ」


膨れ面から一転、満面の笑みを浮かべていうシアに俺は反論する言葉

を持ち合わせていないので、大人しく要望に沿って、シアの可愛い犬耳に

つけてあげた。


「はい、できたよシア。耳に魔力を集めるイメージをすると、

そのイヤリングの魔石の部分に耳に集めた魔力が溜まっていくから、

魔力が切れて困ったときとかのために、寝る前の落ち着いて空いた時間に

貯めていく感じかな。それはまだ試作品だから、ソフィも使い心地とかの

感想を聞かせてね」


「うん、わかった」


「うん。ありがとう、アル……」


いつもの笑顔で答えるシアと頬を赤らめて礼を告げてくるソフィ。


「おはようございます。アル様、シア、ソフィ。朝ご飯の支度が整いましたよ」


「うん、おはようエヴァ。すぐ行くよ!」


「「おはようございます」」


 一波乱あった後にエヴァが朝食の用意ができたことを告げに来て

くれた。

 うん、エヴァが作ってくれた今日の朝ごはんもおいしい。


 それから、その日に仕事を終えて村に帰ってきたソフィの両親に

俺はソフィの魔力過剰症を一先ず、抑えることに成功したことを

感謝され、レオンとクリス、エヴァ、シアの両親からも褒められた。


「まさか、こんなものまで簡単につくりあげるとはね……」


クリスは俺が試作した魔力貯蔵イヤリング(仮称)を見て呟いた。


 俺は試作したイヤリングを渡してしばらくしてからすぐに

レオンとシアの両親、ソフィの両親の分のイヤリングを作るように

言われた。


 幸い同じ材料の在庫に余裕があったので、その場で作業を実演して

作り上げた。

 ソフィに関してはイヤリングの魔石に魔力がいっぱいになると

また魔力過剰症の発作がでるから、石の色が緑から黄色になったら

言うように言い含めた。

 分かり易く石が赤くなったら魔力が満タンになったのがわかる術式

を組み込んでいるのだ。


 この技術はいろいろと応用ができそうなので、いろいろな構想を

立てていろいろ試作するつもりだが、材料がまだ足りない。


 この件以降、俺と2人きりもしくはシアを含めた3人だけのときは

ソフィもシアに劣らず俺に積極的なスキンシップをするようになって

きた。


 後で知ることになったことだが、両親たちの間でソフィと俺の婚約

もシアの両親が認めたうえでソフィの両親が村に戻ってきた日の夜に

正式に決まっていたらしい。


 謀ったな! レオン!?


 いつの間にか意図せず将来の相手が決まってしまっていたが、

2人とも可愛いし、将来は美人になるのは天変地異が起きない限り

確定で、楽しみでもある。


 自由に生きたい俺にとっては平民の身を固める相手としては

今生で最良なのかもしれない。


可愛い同い年の幼馴染は前世では空想の世界にしかいなかったからね。


ご一読ありがとうございます。


次回、本編の更新は5月3日24時(4日0時)を予定しています。

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