第1話 唐突に今生をやめ……させられた!
パソが直ったと思ったら、HDDクラッシュ。更に転勤やら、
雇用形態の変更やら繁忙期で残業と、前作の救出作業が遅々として
進まないので、リハビリの意味も兼ねて新作投下です。
投稿方法も前作の反省から試験的に3手間位かけてます。
ただし、前作と違い、勢いで書いている割合が増えてますので、
予め、ご了承ください
ん、んん……ん?
寝起きから見開いた目に最初に映ったのは見慣れたはずの
安アパートの天井……ではなく、石造り(?)の見慣れない
天井だった。
何処だここ??という疑問が浮かんだ直後に気づいたのは
金縛りにあったかのように手足が思うように全く自由に動かせ
ないことだった。
おいおい、マジかよという焦燥がふつふつと湧いてくる。
そして、あることに俺は気づいた。
科学が発達した現代日本の家に必ずあるはずのルームライト、
蛍光灯、電灯の類が1つも天井に見当たらないのだ。
もしかして、外国?
ふう~~~。俺は混乱した頭を静めるため、息を深く吐き出した。
視線を自分の動かない両腕、大の字に寝ている右腕の掌の方に向けた。
そこにはもう30年近く前の記憶の彼方に消えたはずの丸々として、
ぷにぷにしている赤ん坊の短い腕がなぜか主観視点で存在していた。
<なんじゃこりゃ~~~~~~!!>
俺は気づかず声にならない絶叫をして、次第に大きくなる眠気に
抗うことができず、意識が闇に落ちていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
再び目が覚めると、周囲は何もない……否、俺の座っている
心地よく体が沈みこむソファーと丸いテーブルを挟んで、向かい
合うように置かれた俺が座っているのと同じソファー、それに
座っている……神々しさを放つドレスを纏った青髪の美女が
目の前にいた。
俺の体は先ほどの赤子のものではなく、もとの見慣れた手足の体に
戻っていた。
「申し訳ありません。やはり、説明もなく前世の記憶を引き継いで
転生させてしまうと混乱してしまいますよね」
目の前の美人は申し訳なさそうな表情に顔を曇らせて、謝罪して
きた。誰だこの見たことのない美人は?
「私の名前は*#$&%+。貴方が転生した先ほどの世界で
水を司る女神、ウンディーナとして崇められる存在です」
「水の女神?? 転生??」
俺の脳裏に嫌な予感が過ぎり、冷や汗が一斉に噴きだす。
趣味で読んでいたラノベ群のテンプレ展開の1つ、異世界転生。
それが自分の身に起こっているのを感じたからだ。
「はい。
貴方は貴方たちが地球という星がある世界での世界を司る神の
不測の事態に巻き込まれ、今生の命を落としてしまいました」
目の前の女神のその言葉に俺は大きなショックを受けて絶句した。
確かに30歳過ぎて童貞の身空で生活は裕福どころか日々の
生活に苦心する派遣バイトであったが、先日勤め先に認められて、
直接雇用の契約社員になった矢先だ。
なんとか蘇生できないものかという思いが湧いてくる。
「大変申し訳ありませんが、貴方がいた世界では因果に逆らった
蘇生を施すことは世界を統べる神の身でも許されない行為なの
です。2000年程前に1度、当時地球の世界を統べていた神が
勝手に1人の人間の蘇生をしたために世界が予定していた航路
から大きく逸れてしまい、多くの神々が力の源の信仰を失い、
貴方のいた世界から離れざるをえなくなりました」
俺の考えが読めるのか、口にする前に俺の疑問に答えられてしまった。
「ええ、貴方が今いるこの世界は魂、思念のみが存在できる世界
ですので、肉体の発生する音がなくとも考えの伝達はできますよ」
とこともなげに可憐な笑顔で答えられてしまった。
地球で2000年位前に蘇生した人間と謂えば、
信者の間で復活を明言されていた十字架で有名なあの人物だろう。
「人間を蘇生させた神は力の源である信仰を失うはめになった神々に
責任を追及され、最終的に秩序と法を司る女神によって罰せられました。
以後、貴方がいた世界では魔術や魔法といった神を信仰してその力を
行使する術は衰退したため、生物を蘇生させることは禁忌として、
実行を永久封印とし、この禁を破った存在は如何なる者でも例外なく
厳罰が下されることになっています」
目の前の女神が告げた言葉に蘇生できる望みを断たれて、愕然とした
俺に目の前の女神様は俺が死んでしまった原因を詳しく教えてくれた。
要約すると、地球で退役死神の穴を埋めるべく、新たな死神の
採用試験をしていたのだが、死神候補の1人が功を逸って単純に数を
集めて評価を上げようと画策し、まだ寿命があって偶々その死神の
近くにいた俺はその手にかかって死んでしまったらしい。
即発覚し、その死神は捕縛され、犠牲者は俺1人だけで済んだらし
いのだが、殺されてしまった俺の扱いに神々でも大いに揉めたらしい。
なんでも俺は死亡当事は苦境であったが、ゆくゆくは仕事に成功し、
幸福な家庭をもち、大成して大往生する運命だったとか。
このまま輪廻の輪に戻して、記憶もなにもかもリセットして、
何処ともしれない世界に転生させるか、本人が希望する異世界に神の
祝福を与えて転生させるかという議論になり、最終的に神側の不手際
で犠牲になった俺の希望に沿う形にするというありがたい結論になっ
たそうだ。
ともあれ、俺は目の前の女神様が自分の希望する世界の女神である
ことを知り、その世界のことを簡単に教えてもらって、これから送る
新たな人生をどのようなものにしたいかを伝え、新たな肉体に調整を
してもらうことにした。
ご一読ありがとうございました。
本日の投稿に限り、2話投稿します。
それ以後は毎週金曜24時に1話ずつ次話投稿予定です。