幸せはひと夏で歪む
もっと早く更新つもりだったんですけど、一ヶ月過ぎてしまいました。もう少しペースを上げていけるようにしたいと思います。それと今回はグロ注意です。タグにもありますけど、今までがそんなにでもなかったので一応。人によっては今回でもそんなにでもないかもしれませんけど。
夏休み――本来ならば特にすることもなかったであろうただ退屈で暑いだけの日々。それが、毎日が待ち遠しく感じるほどの期間になった。
夏休み初日、早速くるみさんとデートすることになった。
こんなに気分が浮かれるのはいつぶりだろうか。今まで経験したことがないかもしれない。ずっとそう思っていたせいか待ち合わせ時間よりずっと早く起きて、1時間前には待ち合わせ場所である駅前に到着してしまった。
さすがに早く来すぎたと思ったが30分前にくるみさんも来た。
「待たせちゃった? 誠君」
「そんなに待っていませんよ。それに、くるみさんも随分早いじゃないですか」
「待たせちゃ悪いと思ったからね」
「なるほど」
「でも、本当に早く来てよかった。ずっとここで待っていたら日陰にいても熱中症になっちゃうよ」
「別にそんなに待っていないから大丈夫ですよ」
「それならいいんだけど、無理しちゃだめだよ」
早く来すぎたせいで逆に気を使わせてしまったみたいだ。だからといってくるみさんを待たせたくないし、今度からは30分前にいるようにしよう。
「それで、どこに行くの?」
「ちょっと早いですけどお昼ご飯を食べに行きましょう」
普段、出歩かないからお店を全く知らなかったが、ネットを使って近隣の駅周辺の女性好みの店を片端から探した。そのおかげで、中身は知らずともお店の情報だけは頭の中に入っていた。
くるみさんの好みをまだよく知らないため、無難にパスタ専門店を選んだ。
お店に入ると冷房が効いていて涼しい。
「私、こういうところ初めて入る」
「大丈夫ですよ。僕も……」
ここまで言って「僕も初めてなんです」と言っていいものか悩んだ。僕の方が年下とはいえ、男らしく頼れる人として振舞った方が良いのだろうか。
「僕も?」
「いえ、ここに入るのは初めてなんです。ここが美味しいっていうのを聞いたからここにしたんです」
「そうなんだ」
嘘は言ってないから、これでよし。……ってことにしていいのだろうか。迷うなぁ。
席に案内され、座ってメニューを確認する。
「ここの何が美味しいの?」
「トマトソースパスタが美味しいらしいですよ」
「それじゃあ、それもらおうかな」
ここは同じものを選ぶべきか、違うものを選ぶべきか。……純粋に食べたいものを選ぼう。余計なこと考えすぎていたら、あまり楽しめなくなってしまいそうだ。
「すいません。このトマトソースパスタとボンゴレスパゲッティください」
「かしこまりました」
見た目でなんとなく食べたいものを選んだけど、くるみさんは機嫌を悪くしている様子はない。悪い方向に考えすぎなのかな。
互いに料理の感想を言いながら食べた。雰囲気は悪くなかったし、料理も美味しかったと思う。まずまずのスタートだろうか。
「次はどこに行くの?」
「映画館に行こう」
地図は頭の中に入っているし、今日何を上映するのかも調べておいた。
これで完璧……かどうかはわからないが、最善は尽くしている。
映画館に到着した。
「それで何を見るの?」
「今話題のラブロマンスを……」
見たことはないし、ラブロマンスとかは正直興味はないが、女性の評価が異様に高い作品を選んだ。
「誠君がそれを見たいならそれでいいよ」
隣同士の席に座り、少しドキドキしながら座った。
映画よりくるみ先輩に興味津々な僕にとっては、くるみ先輩を見ていたい気持ちだった。
チラチラとくるみ先輩を見ていたが一回目が合ってかなり気まずかった。
しっかり見てなかったせいで、内容はあまり印象に残らなかった。
「あれ、面白かった?」
聞かれて困った。面白いも面白くないもあまり覚えていない。寝ていたわけではないが、どちらとも言えない。
「な、なんとも言えないです。こういうのあんまり見ないので」
「そう。なら今度は、誠君が見たことがある面白いやつを見ようよ」
「……そうします」
少しばかり空振っているような感じだ。無理に気張る必要はなかったのだろうか。
「まだ結構時間あるけど、予定は決まっているの?」
少し考えた。本当はカフェでお茶でもと思ったが、自分らしくはない。理想の彼女といえど、気を使いすぎていたら疲れてしまうし、くるみ先輩にとってあまり嬉しくないことではないのではないだろうか。いっそのこと、自分のしたいことをしてしまおう。
「カラオケに行きませんか?」
「カラオケかぁ、懐かしいな。いいよ、行こう」
どこか哀愁漂う表情だった気がする。遠藤さんや篝さんと行ったことがあるのだろうか。そのせいで、過去のことを思い出しているのだろうか。推測に過ぎないことだが、悲しい気持ちがなくなるように楽しく歌おう。くるみさんも僕自身も楽しめるようにすることが一番いいことだ。
カラオケに着くと僕はアップテンポの曲ばかり選んだ。J-POPもロックもアニソンも関係なくとにかく叫んだ。3時間と持たず喉はガラガラだ。
くるみさんは洋楽ばかり歌っていた。ネイティブのように発音がよかったし、上手かった。
この状況、よくよく思えば個室に二人きりだった。けれど、個室を出るまでそのことに思い至らなかった。今更ながらくるみさんに失礼だったのではないかと思い始めた。
駅前まで送って、少しうつむいていた。
「ありがとう、誠君。楽しかったよ」
「それはよかったです」
「明日も会えるかな?」
「も、もちろんです!」
それからというものの毎日のようにデートをした。海に行ったり、遊園地に行ったり本当に楽しかった。けど、一週間が経つ頃には問題が発生した。――お金がない。普段お金を使わずに節約しているため、バイトをしていない高校生としてはそれなりに多く持っていたが、このペースで毎日使っていたら夏休みが終わる頃には今まで貯めていた分がなくなりかねない。
お金がないと断るのも嫌だから、バイトをして貯めるしかない。今から探して見つかるだろうか。一応、くるみさんには報告しておこう。早速、電話をかけた。
『もしもし、くるみさんですか?』
『何、誠君?』
『実は、お金がだいぶ減ってきてしまったのバイトをしようと思っているんです』
『……それで?』
『デートできる日が少し限られてしまうと思うので言っておこうと思いまして』
『誠君がバイトをしたいのなら私は止めないけど、お金がないなら私が出すよ』
『そんなこと……くるみさんに悪いですし』
『大丈夫よ。誠君は何も気にしなくてもいいの』
『……そこまでおっしゃるならお言葉に甘えます』
『どんどん甘えちゃっていいから』
今まで割り勘で出していたわけだが、くるみさんはそんなにお金を持っているのだろうか。研究員をしていたと言っていたからそれでお金をたくさんもっているのだろう。
なんにしても、僕が情けないことには変わりない。
翌日から一週間ほどくるみさんにおごってもらいながらデートをした。
まだ高校生の身とはいえ、彼女からおごってもらうなんて……なんかヒモみたいだ。やっぱり、今度からバイトをしよう。
そう思っていたら、少し用事ができたので二週間ほど会えないと言われてしまった。今まで、何か予定ができる素振りを全くしなかったので少し不安な感情を抱きながら、バイトをするのに丁度よかったので特に何も言わなかった。
すぐに、二週間の短期間のバイト先を見つけ働いた。気前のいいところで、短期間ではあったが10万近く稼ぐことができた。
夏休みも残り一週間といったところだ。課題は夜に少しずつやってきたからあと少しだ。残りわずかだし、今日一日使って全部終わらせてしまおうと思ったら、くるみさんから電話がかかってきた。
『もしもし?』
『もしもし、誠君。今日は暇かな?』
今から課題を終わらせようと思っていたけど、今からやる必要もないからいいか。
『暇ですよ』
『それじゃあ、うちに来ない?』
『いいんですか!?』
『いいよ。私から誘っているんだから当然じゃない』
思わぬ幸運に喜びがこみ上げる。
『午後からにする? それとも今すぐ来る?』
『今すぐ行きます!』
『そ、そんなに気合入れなくてもいいんじゃない?』
『いえ、そんなことないですよ。今から準備して行きますね』
『あ、ちょっ……』
何か言いかけているところで切ってしまった。もう一度電話をかけるべきだろうか……向こうから電話がかかってこないし後で聞けばいいだろう。
僕は身だしなみを整え、課題を持ってくるみさんの家へと向かった。
そう意気込んで外に出たのはいいもののくるみさんの家の場所知らなかったんだった……携帯に着信が……メールだ。
くるみさんから家の場所の地図が送られていた。
僕は何をこんなに焦っていたんだろう。
書かれていた場所に向かうとそこはでかいマンションだった。
部屋番号も書かれていたからわかっていたが、思ったよりでかい。
家賃とかいくらぐらいするんだろうかとか考えてしまうぐらいに高級感が漂っている。
呼び出しでオートロックを開けてもらい、部屋に向かう。
インターホンを押すとくるみさんが出てきた。
「よく来てくれたわね。さぁ、上がって」
「ど、どうも。ありがとうございます」
内装も外装と負けず劣らず高級感漂う雰囲気だ。
インテリアとか詳しくないけど、置いてあるもの一つ一つが高そうだ。
部屋に案内され、くるみさんがお茶を取ってくると言って行ってしまった。
難しそうな本が大量に置いてある以外は普通の部屋だ。でも、女の子の部屋と言われたらかなりの違和感がある。女の子の部屋にしては殺風景と言ってもいいんじゃないだろうか。……そう思ったけど、女の子の部屋に入るのは初めてだしこれが普通なのかな?
綺麗に整頓された机、使用感が全くない。机の上にはDIARYと書かれた革のカバーで包まれた少し大きめの手帳が置いてあった。
くるみさんが日記を書いているのを少し以外に思った。中身を見たいと思わないでもなかったが、さすがにくるみさんに悪いと思って見なかった。
しばらくするとくるみさんがお茶とお菓子を持って戻ってきた。
「ごめんね。女の子らしくないつまらない部屋だよね」
「いえ、そんなことないですよ! くるみさんらしい良い部屋だと思います」
「お世辞でも、ありがとう」
「でも、玄関にはあんなに高そうなインテリアが置いてあったのにこの部屋には置いていないんですね」
「あぁ、それは人に見せる空間だからそれっぽくしておいただけ。別に私の好みじゃないの」
「え、それってあのインテリアはくるみさんが買ったんですか?」
「当たり前じゃない。ここは私の家なんだから」
「それじゃあ、ご両親は……?」
「一人暮らしだからここにはいないわ」
まさかの家に二人きり……けど、こんなに広い場所に一人暮らしか……
「寂しくはないんですか?」
「慣れたから大丈夫。それに今は誠君がいるから」
「くるみさん……」
「ま、まぁこんな話よりなんかしようよ」
「そ、そうですね。何するんですか?」
「それが何も考えてないんだよね」
「そ、そうなんですか」
沈黙が訪れた。
気まずい雰囲気だ。どうしよう……
「そういえば、くるみさん。課題はもう終わりましたか?」
「初日に全部終わらせたけど、それが?」
一日で終わらせたのかこの人……すごいな。
「あの……恥ずかしながら僕はまだでして、一緒にできないかと思ったんですけど、駄目ですか?」
くるみさんは一瞬、驚いた顔をした後、優しい笑みを浮かべた。
「いいよ」
課題は、当然のことながら僕自身がやり、わからないところはくるみさんが教えてくれた。
元々、大部分を終わらせておいたこともあったが、くるみさんの教え方が上手く予想以上に早く片付いた。
「ありがとうございます。くるみさんのおかげで思った以上に早く終わらせられました」
「お礼なんていいよ。楽しかったから」
壁に掛けてあった時計から正午を告げる音がした。
「お昼ご飯どうしようか?」
「なんでもいいですよ」
「その方が困るんだけど……それなら素麺にしようか」
「いいですね。今日も暑いですし」
「この部屋はクーラー効いているから涼しいけどね。それじゃあ、作ってくるね」
「手伝いますよ」
「いいよ、簡単だから。誠君はここに座ってて」
「そうですか。それならお言葉に甘えて」
「お待たせ」
くるみさんが素麺を持ってきた。野菜が添えられており清涼感があって、とても美味しそうだ。
「美味しそうですね」
「ただ茹でて、野菜盛り付けただけだけどね」
用意してくれためんつゆに通して、麺をすする。
ただの素麺のはずだけど、いつもより美味しく感じられた。くるみさんが作ってくれたからだろうか。なんというか感動している。
箸の勢いは止まらずすぐに完食してしまった。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
「本当に美味しかったですよ」
「茹でただけみたいなものだからそこまで褒められても……」
「くるみさんが作ってくれたから特別なんですよ」
「そんなに言うなら、今度何か作ってあげようか?」
「いいんですか!? 是非お願いします」
「そ、そこまで喜んでくれるとは思わなかったな。それでこれからどうするの?」
何も考えてなかった……しかし、くるみさんも僕を呼んでおいて何も考えていないということなのだろうか。なんにしても家に男女二人っきりと言うのはドキドキして仕方がない。
「くるみさんは何かしたいことはないんですか?」
「……したいこと、と言うよりするべきことならあるよ」
くるみさんの声が急に沈んだ感じになる。
「ど、どうしたんですか?」
「私、誠君のことが好き」
「ぼ、僕もくるみさんのことが好きですよ」
「ありがとう。でも、不安なんだ。いや、不安ではなく確信していることだな」
「何をですか……?」
「君に嫌われる。もしくは憎まれるか。そこまでいかなくても少なくとも私に良い感情を抱くことはない」
「絶対にそんなことはありません。僕はくるみさんのことが好きなんですから」
「私は誰かに、君に好かれて良い様な人じゃないよ」
「そんなことないですよ! それにどうして急にそんなことを……」
くるみさんは立ち上がり、机に置いてあった手帳を持った。
「これを読んでくれ」
僕にそれを渡した。
「いいんですか?」
「いいんだよ。今日家に呼んだのは、これを読んでもらうという目的もあったから」
「そ、それじゃあ……」
僕は唾を飲み込み、手帳の一ページ目を開く。
『自己観察日記
この観察日記は、恋による感染進行度及び殺意の変異の法則を見極めるためのものである。感染進行度は国際基準を使用し、殺意の段階に関しては観察対象の自己判断による五段階にて記す。観察対象は七月二七日時点で進行度LEVEL4である。また、実験者は一般人であり実験内容を知らされていない。
観察対象 性別女 年齢17 実験者 性別男 年齢16
7月27日 進行度LEVEL4 殺意レベル3
観察対象A(以降Aと表記する)は実験者B(以降Bと表記する)と会った。待ち合わせ時間より三十分前に着くように行動したが、AよりBの方が先に着いていた。AはBを待たせてしまったことに少し申し訳なさを感じた。AはBに言われるまま行動した。行き先はパスタ専門店→映画→カラオケの順である。
パスタ専門店では、AはBに勧められるままトマトソースパスタを食べた。
映画では、恋愛がメインの物語を見た。
カラオケではAとBの合計で三時間ほど歌った。 』
日記というより観察日記というのが正しかった。気になる点はあるし、ほとんど客観的に書かれているから少しばかり不気味さこそ感じるもののそれだけだ。
「別にこれぐらいじゃ嫌いになったりしませんよ」
「……重要なのはそこじゃないんだ。誠君に会っていなかった期間を見て」
言われるままペラペラと続きをめくる。
『8月10日 進行度LEVEL4 殺意レベル4
日本政府からAに※依頼が来た。死刑執行人になって欲しいというものである。Aは了承した。万国各地で行われるため、しばらくAがBに会うことは不可能になってしまった。そのためBに連絡した。
死刑が行われる場所はAに知らされなかった。目隠しと耳あてをさせられ、乗せられた車に身を任せた。
Aに付けられた目隠しと耳あてが取られたのは、窓が一切ないコンクリートに囲まれた場所であった。そこには牢屋に入れられた男がいた。男は連続強姦殺人の罪で死刑に決まったと聞かされた。
死刑方法はAに一任されていた。Aが取った方法は日本刀による斬殺であった。
Aは男の首を斬り、死刑を完了させた。Aは自己嫌悪感に襲われた。 』
……なんだこれ。何なんだよ、これは。
くるみさんは殺人鬼ということか? でも、殺したというのは死刑囚らしい。
「くるみさん、これは一体……」
「まだ続きがあるよ……誠君には私のことを知っておいてもらいたい。いや、知らないといけないんだ」
ページをめくる。
次開いたページの一部が黒ずんでいた。まるで血が付いた跡のように。
『8月11日 進行度LEVEL4 殺意レベル4
翌日Aの目が覚めたときには、昨日と同じような空間に居た。今度の死刑囚は女だった。罪は結婚詐欺の他、毒殺して保険金を手に入れるなどのことをしたと聞かされた。次の死刑の方法は銃殺にした。小口径の物を選び、少し離れた位置から撃った。慣れないため、上手く急所に当てられない。悲鳴が耳障りだ。十発ほど打ち終わる頃には死刑が完了した。Aの嫌悪感は快感に変わりつつあった。
8月12日 進行度LEVEL4 殺意レベル5
今日も似た状況であった。腕は疼くし、足はガタガタ震える。耳あてだけ外され目隠しを外してもいいという言葉を聞き外す。周りには誰も居らず、牢屋の中に一人男が居るだけだ。死刑囚はこの男なのだろう。男は手も足も錠で塞がれ動く術はなかった。ナイフを手に取り近づいた。恐怖から叫ぶ声がひどく耳障りだった。皮膚だけを剥ぐように削った。腕だけ削ぎ落とした後、飽きたから腕に何度も刺突した。悲鳴が以前のとは嘘のように心地良かった。両手足の爪を剥ぎ、少しずつ傷を付けていった。気絶したら塩水をかけた。起きたら今度は指を詰めた。斧を使い肘から先を落として、膝の先も落とした。そうやって体を削ぎ落としていった。夢中になっていたらいつの間にか死に絶えていた。笑いがこみ上げてきた。この状況が愉快で快感で多幸感に包まれた。
8月13日 進行度LEVEL3 殺意レベル1
昨日の多幸感が嘘のように気分が悪かった。罪悪感や手に残る感触が不快だった。人をバラバラにしてしまったことを思い出すと吐き気もした。Aはもう処刑はできるような精神状態ではなかった。Aを運ぶ人に伝えたら、自宅に送られた。Bに会わせる顔がないとAは思った。
8月14日 進行度LEVEL3 殺意レベル1
何もしたくない。一日眠った。
8月15日 進行度LEVEL3 殺意レベル1
今日も何もしたくない。一日眠った。
8月16日 進行度LEVEL3 殺意レベル1
体力が著しく低下した。気力は少しだけ戻った。Bに会いたかった。 』
ここから先は大体同じようなことが書かれていた。しかし、どうして俺にこれを見せたのかを知ることはできなかった。
「くるみさんはどうしてこれを俺に見せたんですか?」
「君にこれ以上隠し事をしたくなかったんだ。今までは嫌われるのが怖くて、怖がれるのが嫌で話せなかった」
「この日記をどうして書いた……と言うより、どうして付き合う気になったんですか?」
「それは……それは、荒賀さんに頼まれたからで……でも、誠君が好きだというのは本心だよ! 付き合っていたいっていうのも!」
「僕もくるみさんが好きです。けど、これを見てどうしたらいいのか気持ちに整理がつきません。考えさせてください」
「そうだよね。こんなことを知ったら、今まで通りになんていかないよね」
「そう……かもしれません。でも、くるみさんは隠しておきたかったことを、嫌われてしまうかもしれない秘密を打ち明けてくれた。その気持ちには応えたいと思っています」
「……ありがとう」
「きょうはこれでお暇させてもらいます」
「じゃあね」
「……さようなら」
僕はそのまま真っ直ぐに家に帰った。
何も考えられない。何も考えたくない。思い出したくもない。そんな気持ちでいっぱいだ。
これで別れることになるのなら随分あっけないものだ。
ならば、これからも付き合っていけるのか?
自問自答は自分を追い詰めるばかりで、答えを出すことは叶わなかった。
今回はどうだったでしょうか?
どうも描写不足感があると思っているんですけど、どうしたらいいかわかんないんですよね。誰か指摘もしくはご教授ください!
あと、誰でもなんでも良いので一言だけでも感想をくださいお願いします。