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進むべき道
自分の進むべき道を見失った時、君は何を頼りにしてるの?
心の声、過去の経験、それとも進むこと自体をあきらめるの?
僕なら多分何もしないと思う。
その方が一番簡単で、全然苦しくないから。
人間は所詮楽な道しか選ばない生き物だよ。迫ってくる死の恐怖と絶望感から出来るだけ自分を癒したいから。あるいは己の気を紛らわすためにやってるのかもしれない。
どっちにせよ、実に愚かで人間らしい考え方だ。
かつての僕もそうだった。実に人間らしく、健全な心の持ち主だった。
しかし、死と言う現実の偉大さを知った時には、僕はもう健全な人間であるとは言えなくなった。あるいは真の人間に進化したかもしれない。自分の存在が時間と共に消えてしまう、当たり前の真実を実感した時、僕は不思議と落ち着いていた。
ある種の悟りと言うものが僕の心に出来上がってきた。僕はそれのことを神の贈り物と呼んでいる。神が存在するかどうかは分からないが、もし存在するのであるのならば、感謝したい。僕に死の偉大さを教えてくれたこと。そして僕に生の大切さを教えたこと。