運命
「君は運命を信じていますか?」
「信じないね。」
「何故ですか?」
「運命なんか存在しないからだよ。あるのは事実だけ。」
「事実?」
「そう。この世は事実で動いているの。僕たちは皆、理屈の下で生まれ、理屈の
下で死ぬ。それを事実というの。」
「それでは運命も事実の一部であると言えないでしょうか?」
「確かにそう解釈できるかもしれないが、人間は自分の都合よく運命という言葉を使ってる。結局運命も事実の一部なのかもしれない。」
「では運命が存在すること認はめますね?」
「僕が認めても否定しても何も変わらない。」
「変わります。私を信じてください。」
「どうしてそうはっきりと断言できるの?」
「私が君の運命ですから。」
僕は子供の頃から誰かに認めてもらうため必死だった。
親の愛情は十分すぎるほど受けていたし、何もかもが整った環境で育ったと思う、多分。しかし僕は自分が進むべき道を間違えたかも。
僕は子供の時と同様に穏やかで平和に満ちた生活を続けるべきだったかも。
しかし、そうだと何一つ変えることが出来ないと僕は信じてる。未来を変えるためには勇気が必要だ。気弱い僕には絶対無理な話だと思っていたが、僕は運命を信じることにした。己の道を照らしてくれる、道しるべとして。そして運命は僕の思いに応えてくれた。
未来の僕は今の僕のことをどう思うのだろう。今の僕が幼い僕のことをバカだったと思っている様に、未来の僕も今のぼくをばかにするのか、それとも僕が選んだ道に後悔するのか、今の僕には分からない。