幻想夜話
真夜中を指し示す
五月蝿いくらいに鳴り響く秒針。
セカイはもう眠りについた。
吸い込んだ空気は
こんなセカイが吐き出した寝息だ。
階段を降りる十五秒。
響く軽い足音。
か弱きセカイを起こさぬよう
細心の注意をはらう。
光る電光掲示板。
3、2、1の合図でほら
流れるデマを
今すぐ
叩き壊してやろう。
砕け散るセカイ。
一瞬の静寂。
痛む手を引き摺り
僕は歩く。
点滅する信号機。
赤のヒカリは
『進め』の合図?
訳も解らず
走る、走る。
泣き叫ぶ影法師。
響く爆音。
滴る赤。
不思議な不思議な、夜。
『こっちへおいでよ。』
川の底から
僕を呼ぶ声がする。
『Yes.』か『No.』か。『好き』か『嫌い』か。
両極端なセカイが
極端な答えを提示する。
明日が来たら
僕はまた
狂う心と可笑しなおつむを隠して
『典型的な中学生』を
演じるのだろう。
仮面を着けて
歪に笑い
壊れた心と
冴える脳を抱え
今日の御話はおしまい。
明日また
とっておきのお伽噺を
君に
聞かせるよ。
感想、アドバイス、ポイント評価などお待ちしております。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!