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自分の立ち位置

エースとストレート、第二章です。

高校生左腕の苦悩と知恵を描いていきたいと思います。

2009年現在、日本における野球人口は今までで最多の3840万人(現日本の人口は約1億5000万人)、言い換えれば日本人の4人に1人が野球をやっている時代。

 そんな時代ともなれば、必然とアマチュアの方も試合が激化していく。今と昔を比べれば分かるが変化球も断然増え、クイックなどはかなり発達した。リーグは二リーグ制のままだが、各リーグ球団が一つずつ増え七球団による毎年、ペナントが行われている。

 当然いい選手も増え、さまざまな記録が更新された。

 ある投手は大卒一年目に144試合のうち、108試合に登板し、稲尾投手の78登板を大きく塗り替えた。ある野手はシーズン安打記録を221で塗り替えた。また、ある捕手は、シーズン中100回以上の被盗塁企図数だったが、驚くことに数回しか盗塁を許さなかった。さまざまな記録が塗り替えられていく中、たった一人の記録だけは塗り替えられなかった。それは『平戸誉』の通算奪三振、通算勝利数、通算防御率。もはや、平戸とは誰もが超えることのできない選手。どんなにいい選手だろうと、無失点で切り抜けようと、野手が点を取らなければ勝てない。その難しさだけでなく、第一線で投手で怪我なく20年もプレーできる選手がいなかった。彼は死んだ今でも、『伝説』として、スーパースターとして人々の心に焼き付いていた。

しかし、いつまでも記録は超えられなくても、記憶は更新される。そう、新しい伝説はすでに始まっている。



 これは、男の物語。一度の輝きにすべてを託した、男の物語。


――エースとストレート第二幕:輝く直球――



 俺は、天才肌の投手である。名前は貝原一輝。生来、野球というものが好きで、いつも白球を肌身離さず持っていた。得意な球種はチェンジアップで、苦手な球種はスライダーである。私が尊敬してやまない選手が一人だけいる。その人の名は、平戸誉。いつしかあのようになりたいと思っていたが、俺には確固たる武器がなかった。天才肌と言っておきながら、武器がない、なんとも哀れな男。それが俺だ。


昔ならったが、情報の世界ではSWOT分析というものがある。強み・弱み・機会・脅威の英単語の頭文字をとって、SWOTになる。つまり、自己分析である。半端な知識で俺はこの分析を試してみた。



S、すなわち俺の強み。それはチェンジアップ、しかもただのチェンジアップではない。握りを何パターンにすることによって、変化を多くした「七色のチェンジアップ」だ。この変化球だけは得意で何回も磨きをかけてきた。ただ、ストライクかボールで投げ分ける程度のコントロールはあるが、どう変化するかは分からない俺にとっての「魔球」なのだ。


W、すなわち俺の弱み。確固たる武器がないこと。さっきの強みであるチェンジアップは、完全にコントロールできていない、そんなものを武器とは言いにくい。よって、強みを武器にできていない。


O、すなわち機会。何もない、高校生左腕。チームの台所事情によってはすぐに投手になれる。現状としては高校一年でトレーニング中心だが、メニューは投手用のものをやらされている。投手としての将来は確約されている。


T、すなわち脅威。俺の脅威は二つ、一つは監督の思考である。基本ぐうたら主義でいたい俺にはキビキビやる監督は性に合わない。そしてもう一つは大きな脅威、それは同い年のシニアの大きな大会出場エースである。そいつを越えなくては投手として二番手のままである。


これが、SWOT分析の結果であった。


さて、どう自分を磨くか……。探求は嫌いではないが、結論が出るまでに時間がかかるタイプだ。

自分の力を磨いてやる。それこそが俺が名を売るために必要なことだ、必ずプロになるために。


これからは、平戸誉ではない。俺が野球界のスターになってやる。ひそかに胸の内に秘めた野望を、もう一度確かに噛みしめた。

月一更新目標で頑張らせていただきます。

ぜひ、エースとストレートシリーズの感想を教えてください。

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