チャーハン回③
ポリエチレンテレフタラートを作ってしまった。
チャーハン作りたかったのに、、、。
工場の夜は独特の空気が漂う。
日々の残業に対する諦念か、それともこれからの帰路を想う希望の兆しか。
そうした人々の感情が、匂いや温度にかわり広がっていくような感覚を覚える。
ライン管理の月報を終えれば私も帰路につく。
お世辞にも性能がいいとは言えないノートパソコンを閉じ、
煤けた雰囲気の配管や機材が広がる空間に目を配らせた。
工場の端にある小さな窓は漆黒で、星すら見えない。
「退勤?」
チームの一人に声をかけられる。
「・・・退勤。」
でた。この四文字。昨日もやったな。
晩。うつらうつらと今日の最後の力を振り絞って飯を作る。
フライパンを振りながら、買ってきたレモン炭酸を飲もうとした瞬間、
「あっ」
くるんっ と、ペットボトルの蓋が 炒めいたチャーハンの中心に落っこちた。
取り除こうとも、火を止める気にもならなかった。
皿に盛り、味見をする。
まるで食べられたものではない。
ソースと醤油と、幾千のたような、異質な毒素の感覚が口に広がった。
当てつけのように体に押し流した後。残りは捨てることにする。
夕焼けをしばらく見ていないことに、薄い布団にくるまりながら気づいた。