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チャーハン作ろうぜ!  作者: サンバ踊りの助
2/3

チャーハン回②

ゴルゴンゾーラを作ってしまった。


チャーハン作りたかったのに、、、


アパートのベランダでは野良猫の鳴き声がする。


いつも来るブチだろうか。


うちは2階だが、ベランダのすぐ側にブロック塀が隣接している。


自分のアパートに対して、一段上と言うべき住宅街から飛び乗ってくる形で、その小さな来客は度々顔を出した。


ブチというのはブチ模様だからではない。初めて顔を見たとき、ブチブチに怒っていたからだ。


眉間をこれでもかと圧縮し、そこだけ漆黒のような陰の落ち方をしていて笑ったものである。


「ブチぃーっ ゴンゴンゾーラ食うかー?」


せっかくだし聞いてみる。


「イラねェーーッッッッッ!」


喋る猫だ。初めて見た。


心は異常事態に対して平穏である。


それもそのはずだ、驚くような感情の余力はない。


先ほどチャーハンが作れなかったことに苛立って、部屋中の破壊の限りを尽くしたばっかりなのだ。


鏡は割った。フライパンは壁に突き刺さした。


幼馴染のあの子が写った卒業文集とかも、破り捨ててどこにやったかもうわからん。ジグソーパズルより細かくできたことは確かだ。


「じゃあー チャーハンだったら食う?」


もう一度聞いてみた。


「食う食う食う食う食う食う食う食う!!!」


おっほ。こいつめ。


これは今度こそは、ちゃんとチャーハンを作らないとなぁ。


心の中で意気込んだ2秒後。


やっと、寒気がし始めた。


怒りの頂点にいた自分には、状況を理解するのに時間がかかったようである。


外にいるのは猫ではない。


喋る。何らかの得体の知れない化け物だ。


音を立てないように、スッと散らかった部屋の中で足を運ぶ。


レジ袋が足に当たった。


ガサッ!


こんなに大きな音がするものだったか?


「今更逃げようったってオセ〜んだよぉ!!!」


ベランダの窓に映る、"猫のような影"が巨大になっていく。


逃げようとは思っていない。


右手が壁に届く距離だ。


窓から視線を逸らさず、俺はゆっくりと刺さったフライパンを引き抜いて。



構える。



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