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生放送2

年長組高校二年生の冬。


(♪楽し気なBGM)


おーたん「今日は猫の日ネコミミ装着!」

ひろりん「にゃんこポーズで視聴者悩殺!」

わっふ「募集してますこいつの討伐。」

かなな「物騒上等 Are you ready? せーのっ!」


全員「だんち~ず☆!」


《猫耳だ!!/やばかわいいスクショした/猫の日…?(カレンダー見つつ)》


ひろりん「初見さんは初めまして! 常連さん、ちーっす!」


(ちーっす弾幕)


ひろりん「可愛いだろー俺ら! スクショはどんどん撮っちゃっていいけどどっか貼ったりはしないでくれなー。もしかななの画像がよそに貼られてたら遠慮なく通報するからな!」

わっふ「のっけから視聴者さん、脅すな。まあ転載の制裁には俺も、加勢するけど。」


《出過保護w/大丈夫家宝にするだけよ/「転載の制裁」って韻踏んでていいね》


おーたん「転載の制裁を天才が全開で展開!」

かなな「いえあ!」


《かななちゃんおきゃわ/おーたんすげえ/伊達に毎回謎ラップやってねーな》


わっふ「褒められたけど普段の、謎ラップは事前に十分くらいかけて考えてます。」

ひろりん「バラすな恥ずかしいだろ!」


《割と作りこんでたw/なんだかんだ韻踏んでるもんないつも/即興かと思ってたわ》


かなな「いやいや即興とか無理ですよー。ラップバトルする人たち、言葉がぽんぽん出てくるのほんと尊敬する!」

おーたん「それなー。さっきのは急に思いついたからドヤりたくて言いましたっ。」

ひろりん「猫耳つけてラップかましても若干凄みが足りない気はするけどな。」

おーたん「それはそうね!」


《初っ端から話題逸れてって草/定型文忘れてるよ〜》


わっふ「おっと。確かに定型文まだ、だったな。」

かなな「ほんとだ! えー、コホン。だんち~ず☆は毎週火曜日午後九時からやかましく生放送してる生主グループですっ。グループ名の由来は六人中四人が団地住まいだからっ。」

おーたん「わかりやすいね! あ、ちなみに誰が何と言おうと今日はミ(3月)ャー(8日)で猫の日ですよ!」


《言ったもんがちだからなこういうのはww/おーたんの猫ちゃんポーズがかわいすぎるのよ……/一番猫っぽいのはわっふな気がするけどな》


わっふ「猫っぽい? 初めて言われました。ちなみにお面とカチューシャで今耳の、後ろが馬鹿痛いです。」

かなな「お洒落はがまんよってママが言ってた。」

わっふ「お洒落かこれ……?」


《今更だがなかなか珍しい組み合わせだな?/自己紹介より定型文が先に来たのもレア》


ひろりん「あ、ほんとだ自己紹介してねーじゃん。いつもと環境違うと事故りがちだな。」

かなな「いつもの環境でも事故る時は事故るけどね。」

おーたん「かなな、しーっ!」


《wwww/ハプニングもエンタメだからほら/だんち〜ず☆は炎上しないからOK》


ひろりん「では改めまして、今日はだんち~ず☆イケメン担当ひろりんと、」

おーたん「家庭科担当おーたん、」

かなな「外住まい組レアキャラかなな、」

わっふ「外住まい組寺生まれわっふ……の四人、でお送りします。」


《そこどこ?/←うちも気になってた/いつもさっといなくてもさっとんちなのにな》


かなな「ここはね、わっふのお家だよ!」

ひろりん「さっとんち上の階からの洪水で偉いことになってるから使えなくてさ……わっふパパにお願いして場所をお借りしました。」


《上の階からの洪水て何/水漏れ的な?/やばそう》


わっふ「上の階の風呂場の、水が止まらなくなったらしくて業者、呼んだけど間に合わず……って感じらしいです。」

ひろりん「機材は無事って言ってたけどそういう問題じゃないよな……」

おーたん「団地じゃ上下左右のもらい事故はあるあるだけど、下の階まで届く水漏れはびっくりだよね。雪国じゃあるまいし。」


《凍結で水道管破裂とかはよく聞くもんなあ/大変だなさっと……》


かなな「でも、さっとの上の階の人、私たちにまで菓子折りくれたよね。」

ひろりん「そう。だんち~ず☆の活動知ってるから、ごめんなってな。俺んちに持ってきてくれた。」

おーたん「さっき食べたけどほんと美味しかった! レモンケーキと、コーヒー風味のダックワーズ!」


《おいしそう!/ご近所づきあいほんと活発ね/俺隣の人の顔知らねーわ…》


ひろりん「近所の人と話したことない、みたいな話は聞くけど、顔も知らないってこともあるんだ?」

おーたん「一人暮らしとかかな? 生活サイクル合わない人とは顔合わせる機会ないだろうね。」

ひろりん「あー、それもそうか。」


《バリバリの実家暮らしだけどご近所付き合いとかないなあ/わたし一人暮らしだけど隣の部屋の人と時々立ち話するよ》


わっふ「それぞれ色々、あるんだな。」

かなな「私、団地の人は一応全員顔わかるけど、自分ちの隣の人ってよく知らないかも。」

おーたん「えっ、そうなの?」

わっふ「意外だな。あの辺の家ならずっと持ち主、変わってないだろ?」

かなな「うん。まあさすがに十何年お隣さんしてきて全く顔も名前も知らないってことはないけど、お仕事とかどんな人かとか、全然知らないや。プリ〇ス乗ってることしかわかんない。」

ひろりん「数少ない情報がまさかの車。」

わっふ「まあ休日には車庫に、停まってるだろうから車はわかるわな。」


《うちもかななちゃんちと同じ感じ〜/そもそも隣に人住んでんのかすら知らんわ》


おーたん「そっかあ……そんなもんなんだね。育ってきたのがこの環境だから、ちょっと寂しく思えちゃうな。」

ひろりん「俺らにとってはご近所付き合いってお節介なくらいでちょうどいいんだよな。」

わっふ「付き合いが、しがらみに感じられて面倒って人には、向かない環境かもしれないけど俺らに、とってはありがたい隣人だな。」

かなな「可愛がっていただいてますっ。」


《付き合い面倒派だけど子供できたらそゆとこいいかもな/人情味に飢えてるからひたすら羨ましいわ/←わかる》


おーたん「さてと! 綺麗に話題が逸れましたが!」

ひろりん「ほんとだ軌道修正しよう!」

おーたん「なんと今日は珍しくちゃんと企画が決まっております!」


《奇跡か/明日は真夏日かな……/正月以外でちゃんとネタ用意することあるんだこの子たち……》


かなな「散々な言われよう。」

ひろりん「くそう言い返せねえ……」

おーたん「正月以外にも何回かちゃんとした企画やってるもん!」

わっふ「おーたんやめとけ墓穴、掘ってる。」


《だんち~ず☆何年目?(煽)/マジで痛いのかわっふずっと耳の後ろ気にしてるなw》


ひろりん「二年弱やっててこれですよいつも見てくれてありがと!」

おーたん「さて今日の企画はわっふの持ち込みですが、どんな企画でしょうかわっふさん?」

かなな「コールよろしくっ。」

わっふ「はいよ。」


デデンッ(SE)



わっふ「ネコチャンを救え! 境内大捕獲計画!」



(♪にゃんにゃんって聞こえる系の曲)


《おおおお/え、猫?/ガチ?》


おーたん「ガチなんですよこれが。」

ひろりん「わっふ、経緯の説明頼める?」

わっふ「もち。まあ肩書きで『寺生まれ』って言ってる、通りうち寺なんですけど、昔から境内常に三匹くらい猫が、住みついてるんですよ。」

ひろりん「ちっちゃいころから確かに、入れ替わり立ち代わり常に猫居るよな。」

わっふ「そう。別に粗相するわけでも、ないし可愛いし三匹くらいなら全然、かまわなかったんだけど。最近そうも言ってられなくなって、きたんだよな……。」


《いいなあ猫ちゃん/糞害とかないならほんとただの癒しじゃん/なんかあったの?》


わっふ「単純に増えた。しかもたぶん、捨て猫。」

おーたん「えっそれは僕も今初めて聞いたぞ……野良が子ども生んだとかじゃないの?」

わっふ「首輪の跡があったり段ボール箱が、落ちてたからたぶん人間の、仕業だろうな。」

おーたん「ええ……最低……。」

わっふ「昔から猫の、住処になってたわけだしここなら、仲間がいて幸せに、なれるとでも思ったのかね。」

かなな「無責任にもほどがあるね……許せない。」


《かなな怒ってんの初めて見た/いやでもこれはむかつくだろ/←わかる 命を何だと思ってんだ》


かなな「視聴者さんもそう思うよね! でも怒ったところで何も変わらないから、今日はねこちゃんのためにがんばるね!」

おーたん「僕もキレそうだけど耐えて力に変える……。」

ひろりん「そうだな。さて、経緯もお伝えしたところでこれからやることなんだけど、さすがに俺ら全員素人だし、猫傷つけたら困るってことで、ちゃんと地域で猫保護してるNPOさんに相談した上での行動です。」

おーたん「普段は脳直でいい加減なことばっか言ってるだんち〜ず☆だけど、今回は真面目にやるよっ。」

わっふ「捕獲とか保護の方法とかいろいろ、聞いてみて臆病な、やつらはプロに任せることになったんだよな。で、今日は境内にいる中でも人懐こい、奴らの保護を任されることになったのでその様子の、配信をしていきます。」


《めっちゃ本格的なのな/さすが我が推しえらすぎる/がんばれー!》


ひろりん「じゃあ、早速ちょっと移動するんで、一旦カメラだけ切って、音声だけお届けするな!」

おーたん「道中暗いしね。映像切れるけどおしゃべりは続けるから、お付き合いくださいね!」


(映像オフで画面真っ黒)


わっふ「母さん、部屋あけるわ。」

おーたん「いってきまーす!」


(遠くからかすかに女性の声の後、引き戸を開閉する音)


《わっふママの声かな?/気遣って静かにしてくれてたんかな/協力的な家族いいなあ》

 

わっふ「生活感垂れ流してすみません。」

ひろりん「場所代って言うとあれだけど菓子折りの残りは家族で食べてくれな、わっふ」

わっふ「ん、有難くいただく。」

おーたん「さてさて道中どうしよ?」

かなな「せっかくだから質問とかコメントしてもらう?」

わっふ「そうだな。」


《猫ちゃんって保護した後どうするの?/保健所は貰い手つかなかった場合が怖いよな/←仕方ないとはいえ処分はな……》


かなな「あ、猫ちゃんたちはね、わっふんちで二匹、かななんちで一匹引き取って、残りはNPOさんが持ってる施設で預かってもらうよっ。」


《おお!/じゃあ今後の出演もあるかも?/まだ見ぬネコチャンにワクワクが止まらん》


わっふ「かななパパなんてすごい、熱量で『飼いたい!』って言ってくれたよな。」

ひろりん「かななパパがあんなに猫好きだなんてなあ。」

かなな「私も知らなかった。昔飼ってたらしいんだけど、約二十年前に経験したペットロスのショックをちょうど吹っ切れたところだったんだって。もうこれは運命だって言ってたよ。」

おーたん「なるほどなあ。前向きになれたなら良かったねっ。」

ひろりん「俺はわっふんちで飼うのが意外だわ。親父さん猫苦手なんじゃなかったか?」

わっふ「いや? ただ親父軽い猫アレルギーなんだよ。猫大好きなのに。」

かなな「あっ、なるほど。それでいつも野良ちゃんにまとわりつかれたら『寄るんじゃない』ってあしらってたんだ。」

わっふ「断腸の、思いだったらしいぞ。」


《私も猫好き猫アレルギー! つらいよ!/←ワイ野鳥好き花粉症も気持ちわかるで/サウナ好き寒暖差アレルギー俺氏共感の舞い》


かなな「みんな悩んでるんだね……!」

おーたん「軽いとはいえアレルギーなら、飼ってほんとに大丈夫なの?」

わっふ「定期的に洗ってる飼い猫は平気、なんだってさ。念には念入れて親父の、寝室には入れないようにするつもりだし決める前に、アレルギー内科まで受診してたから大丈夫、なんだろうさ。あ、視聴者さんは真似、しないでくださいね。うちの親父が奇特なだけなんで。」


《無茶して倒れたら不味いもんな/うむ…我慢できなくなったら今まで通り重装備猫カフェおじさんすりゅ…/←店は選べよ! 衛生管理やべえ店もあるぞ!》


ひろりん「でもそうまでして飼いたいほど猫好きなのに、今まで家には入れなかったんだな?」

わっふ「ああ、これからも入れる、つもりはなかったみたいだが野良の、平均寿命が二、三年って聞いたうちの、母さんが卒倒する勢いでショック受けてな。今までの子たちも家に、入れてあげてたらもっと長い間幸せに、してあげられたのにって。」

かなな「そっか……わっふママ優しいねっ。」

わっふ「えさやったりとかもしてなかった割に境内の、猫は少なくとも七、八年生きてた記憶あるけどな。まあ完全室内飼いならもっと、生きてくれるだろうから次こそは、幸せにするって意気込んでたわ。」

ひろりん「こういうマインドの人しか動物飼えない社会になってほしい……。」

おーたん「ほんとそれ。」


《ハートフルで泣きそう/野良ちゃん、どのくらいいるの?/どの子飼うかは考えてるん?》


わっふ「おっと、そういや数は報告、してなかったか。確認できてるだけで八匹、いるっぽいです。もしかしたらもう少しいるかも。」

かなな「保護したらいったんNPOさんに連れて帰ってもらうから、そのあと相性とか見て、どの子をお迎えするか決めるつもりだよ。」

ひろりん「検査のために病院連れて行ったり、まとめてシャンプーとかもしてくれるらしい。家で猫洗うのって大変らしいから、助かるよな。」


《そのNPOが猫に優しい団体ぽくてほっとしたわ/どうやって保護するんだろ/←箱罠とかって状況的に仕方ないにしてもちょっとかわいそうに見えちゃうよね…》


おーたん「あはは、心配ご無用っ。そんな辛いシーンをだんち〜ず☆が放送するとお思いで?」

わっふ「無駄に広い家の、有効活用ってやつです。」

かなな「丁度ついたから、映像をドンっ。」


(映像が戻る)


《え/なにこれ/wwwwww》



ひろりん「一室丸ごと猫捕獲機っ。これぞリアルねこあ〇めっ。」



《やばいww/俺よりいい部屋で寛いでんじゃねえか猫wwww/どゆことww》


わっふ「カメラハンディだから酔いやすい、人は注意してください。あとここからは猫、脅かさないように比較的小声で、失礼。」

ひろりん「カメラ担当はひろりんでーすっ。声聞こえづらくなると思うからBGM消すか。」


(BGM消音)


《多方面に気遣いできるとこほんとすこ/見たいけど酔うかも…/←画面の真ん中に何でもいいからシール貼ってそこ見ろ緩和される》


おーたん「ここ離れなんですけど、わっふのお兄さんたちが家出てから使ってないらしくて。今の時期なら虫も少ないし換気も兼ねてってことで、開け放って炬燵置いて、更に猫ちゃんのご飯とか猫ちゃんが好きそうなものとか大量に設置して、おびき寄せちゃいました。」

ひろりん「ほんとでかい家でしか出来ない保護方法だよな。」

わっふ「どうせ掃除もろくに、してなくて埃まみれだしな。終わったらハウスクリーニング呼ぶって、親父が。」

かなな「はーいじゃあ扉閉めて捕獲しちゃおうねえ。」


(部屋の中に入って扉を閉める)


《めちゃくちゃあっさり確保ww/何匹いるのそれ/座布団の上にいる子めちゃかわいいんだが》


わっふ「視聴者さんが座布団の上の子、かわいいって。」

ひろりん「お、この子かな? ドアップにしちゃう。」

おーたん「はちわれ……ではないか。七三分けっぽい。確かにかわいいねえ。撫でていーい? ……大丈夫そうね。」(もふ)

かなな「あ、ごろごろ言ってる。」

わっふ「警戒心ないな……。」


《ありがとうございますありがとうございます/猫撫でてるおーたん癒しでしかない/スマホからマイナスイオン出てる今》


かなな「えっと、一、二……五匹いるね。わっ。」

ひろりん「あは、そいつ入れて六匹だな。」

おーたん「肩乗せいいなあ。」

かなな「ふふ、くすぐったいよ、白猫ちゃん。」

わっふ「子猫か。元気だな。」


《なんだこの幸せ空間/猫と推しどっちに嫉妬すればいいんだ私は…/夜の寺の薄暗い部屋も猫が一緒なら怖くないな》


わっふ「確かにここ若干不気味、ですよね。これで照明マックスなんですよ。兄貴よくここで生活、してたと思うわ。」

ひろりん「わっふにも『不気味』とかいう感情あるんだ。」

わっふ「そらあるわ。」


《信頼と実績の寺生まれ/怪談中でも寝れる男/←前々回なww》


おーたん「ねえねえ見て、こっちの子長毛だよ。黄ばんでるけど毛色はグレーかな?」

かなな「ほんとだっ。あー、絡まっちゃってる……。シャンプーしたらきっとふわっふわになるんだろうなあ。」

わっふ「ん、こっちは黒猫か。まん丸だなお前。あちこちで餌もらってんだろ。」

ひろりん「お前らさあ……猫可愛いのはわかるけどカメラ一台なんだから好き勝手動くなよなー。あと俺ももふりたいんだけどっ。」


《自由w/本当にこれ猫を保護する配信なのか/ちょっと猫が汚いだけの猫カフェと化してるw》


かなな「カメラ代わろっか。」

ひろりん「うん。」


(カメラマン交代)


おーたん「こっちに三毛ちゃんいるよ。ひろりん三毛好きだよね。」

ひろりん「大好き大好き。よっと……こんばんは。人間ですよ。」


《独特な距離の詰め方すんなww/人間ですよは草/みんな懐っこいねえ》


わっふ「なあこいつ足、短くないか?」

かなな「え、どの子どの子?」

わっふ「こいつ。」

おーたん「わあほんとだ……えっ可愛い……。」

かなな「靴下みたいな模様だねえ。視聴者さん見て見て。このあんよ。」


《ぎゃわいいいいいい/あんよって言い方もかわいい/マンチカン? 顔も可愛いなあ》


(ぺし)


わっふ「うお。」

かなな「あ。」

おーたん「あ。」


《顔面にくらったなw/髪の毛気になったのかな?w/何今のギリギリ届いた優しいパンチは》


わっふ「ぐ……可愛いにゃあこいつう……。」(もふ)

ひろりん「え、きも。」


《は?????わっふ……わっふ……は?????/にゃっふ……? はにゃ?/わっふのオタクが壊れたwwww》


わっふ「うるせえこの、愛らしさに勝てるのか貴様は。」


(猫を抱き上げてひろりんの至近距離へ)


ひろりん「参ったにゃん。」

わっふ「即落ちで草。」

おーたん「えさっきのマジでわっふの声帯から出た?」

かなな「聞いたことない声出したね。」


(マンチカンらしき猫、渾身の「にゃー」)


ひろりん「うぐっ。」

わっふ「ふぐっ……。」

かなな「んんんん。」

おーたん「はわ……。」


《オチたな/そりゃあこんな可愛いのを目の当たりにしたらよ/ほんとに猫ちゃん好きなのねえ微笑ましい》


おーたん「や、やばいっ。このままここにいたら全員壊れる……一旦出ようっ……!」

かなな「英断だよおーたん……ちょっと降りてねえ白猫ちゃん……。」


(微かにマイクが白子猫の「にゃー」を拾う)


かなな「あっ待ってお返事はやばいかわいい……。」

おーたん「かなな負けないでーっ。」

ひろりん「わっふも行くぞ。」

わっふ「そうだな……またな短足にゃんこよ……。」

ひろりん「心奪われすぎなんよ大丈夫かお前? 誰すぎるぞ?」


《ひろりんわっふが普段と立場逆転してるw/さっきの間髪入れない「きも」は永久保存版だな》


(扉を開け、外に出てすぐに閉める)


ひろりん「よし、と。」

かなな「ふう……緊張したけど、みんな集まってくれててよかったねっ。」

わっふ「ああ。そうだなとりあえず、ほっとした。」


《外出た途端に通常運転で笑う/捕獲っていうからもっと大仰なもの想像してたけど平和でよかったわ/六匹ってことはあと少なくとも二匹は捕まってないんだな》


ひろりん「いなかった二匹はたぶん警戒心強いやつらだろうなあ。それこそ箱罠とかで保護することになるかもってNPOさん言ってた。」

かなな「ちょっと可哀そうだけど、NPOさんはプロだから、今までもシャーシャーの子をべたべたの甘えんぼさんに変身させてきたみたい。きっと大丈夫だよっ。」


《そういうドキュメンタリー見たことあるわ/幸せになってほしいなあ/近かったら里親立候補するのになあ!》


わっふ「うちの視聴者さんみたいな人に、引き取ってもらえる猫はきっと幸せだろうから、これ見て興味持ってくれたならお近くの、譲渡会とかに足を運んでご縁の、ある子をお迎えしてやってください。」

おーたん「うんうん。ご縁を待ってる子が各地にたくさんいるからねっ。」

ひろりん「わっふかなながお迎えしたら俺お前らんち通いまくるわ。」

わっふ「まあいいんじゃ、ねえか?」

かなな「そだね。無事お迎えしたら、視聴者さんにもまた報告しますねっ。」


《猫ちゃん生放送出演待ってるー/前飼ってた子はお店出身だったけど、今度は譲渡会行ってみよかな/さっとすーは猫どうなの?》


わっふ「すーとさっとか。さっとは小動物が、苦手ですね。あいつデカいからつぶしそうで、怖いって言ってた。成猫なら大丈夫かな。」

おーたん「うん、大丈夫だと思う。猫の動画とかよく見てるしね、さっと。」

かなな「すーは動物大好きだし好かれるよっ。昔公園で鳩まみれになってるの何回も見た。」

ひろりん「あったあった! 餌っぽいもの何も持ってないのに集まって来てたわ。」

おーたん「入試終わったらすーにも存分に猫ちゃんもふらせてあげたいねえ。」

かなな「今日も来たがってたもんね。」


《高校入試だっけか/すーが高校生とか時がたつの早すぎ/すーくん応援してるよー!》


わっふ「てか寒いな。まだ少し時間あるし最初の、部屋戻るか。」

かなな「そうだね。そしたら手洗いしなきゃ。」

ひろりん「そうだそうだ。猫触ったからな。」

おーたん「撮影中の手洗い面倒だし、別にこのままここでもいいよ? 残り数分だし。」

わっふ「いやせっかくのおーたん特製猫耳カチューシャだしな。こんな暗いとこに、いたら見えないから勿体ない。」


《確かにもっとよく見たいかも/特にひろりんかななはカメラ係やってたからあんまり映ってないしな/おーたん流石器用だな》


おーたん「えっ、ありがと。最後まで付けるの渋ってたわっふからそんなこと言われると思わなかった。」

かなな「言われてみれば何だかんだ言いながらずっと着けてるよね。」

わっふ「あとから耳裏に軟膏、塗っとくわ。」

おーたん「そんなに痛いなら外しなよ!」

わっふ「ここまで来たら意地だ。」

ひろりん「えーっと、そしたら手洗うか。一旦また映像だけ切りまーすっ。」


(映像オフで画面真っ黒)

(流水音)


《わっふしぶってたんかww/外に手洗い場あるのか寒そう/部屋の中はヒーターあったぽいけどこの時期の外はな……》


わっふ「いや渋るでしょう。狐面にも耳あるから今俺の、耳六個だぞ。」

おーたん「いやそこ? 恥ずかしいとかじゃなかったのね? はいハンカチ。」

わっふ「どーも。てか今更これくらい、恥じらわんわ。」

ひろりん「今年入ってから既に俺らメイド服とチャイナドレス着たもんな……おーたん俺もハンカチ借りていい?」

おーたん「いーよー。さっとひろりんわっふのすね毛チャイナはまじでくっそ笑ったわ。」

ひろりん「おーたんみたいに剃る勇気はなかったわ。てか、似合うお前がおかしいんだからな?」

かなな「あ、手洗い場お湯出るから大丈夫だよー。心配してくれた視聴者さんありがとーっ。」


《確かにすね毛チャイナは笑った/おーたんのメイド服はマジで似合ってたよな/てか離れの猫どうすんの?》


ひろりん「あ、猫はですね、NPOさんがもうすぐ到着するから、このあとは全部お任せします。」

わっふ「早くついたとしても放送終わるまでは俺の、お袋が対応してくれるんで安心してください。」

かなな「NPOさんも遅くまで本当にお疲れ様だよね……。」

おーたん「前の現場が長引いてるってさっき連絡来たもんね。」


《NPOさんめちゃブラックじゃん/←流石に出勤時間も遅いんじゃね?/猫薄明薄暮性だから合わせたらこうなっちまうのかね》


ひろりん「お、視聴者さん詳しいな。俺NPOさんから聞くまで、猫って夜行性だと思ってたよ。」

かなな「私もっ。そもそも薄明薄暮性って初めて聞いた。」

わっふ「だな。そんな中途半端な時間に活動、する生き物いるのかって思ったけどよく考えたら、昼と夜に二分されるって考え方の方がおかしいよな。」

おーたん「確かにね。一日は二十四時間もあるんだから、朝とか夕方に活動する生き物がいるってのも当然だよね。」


《なんか今日勉強になるな/ハクメイハクボセイって音だけ聞いても理解できなかったわたぶん/博識コメニキ(ネキかも)サンガツ》


かなな「たまにはためになる情報も発信しないとね!」

ひろりん「悪戯に視聴者さんの貴重な一時間奪いがちだからな俺ら。」


(引き戸を開ける音)


おーたん「さて、そうこうしてるうちに部屋に着きまし……えっ?! 何これ?!」


《なになに?/真っ暗画面に叫び声は恐怖/ホラーは聞いてない》


かなな「すっごーい! かわいいー!」

わっふ「部屋出る時教えてって母さんが、言ってたのはこれか。」

ひろりん「視聴者さんも、ホラーではないから安心して。」

おーたん「かなな、早くカメラ置いてっ!」

かなな「あっうん、そうだねっ。」


(ガタガタと音がして映像が戻る)

(♪にゃんにゃん聞こえるBGM)


《おおおお!/かわいー!/すげえな!?》


おーたん「みてみてー! 猫ちゃんのケーキと猫ちゃんのラテアート!」

かなな「わっふママが作ったの?」

わっふ「みたいだな。作ってるの全く、気づかなかった。」

ひろりん「わっふママのお菓子超美味いんだよなあ! 素朴なお菓子作ってくれるイメージだったけど、これめっちゃ凝ってんじゃん!」


《手作りなのかよ/めっちゃ良いママ…/ラテアートすげー!》


おーたん「あっ、わっふママこっちみてる。ありがとー!」


(全員視線を画面左へ)


ひろりん「なんか持ってるな。シート?」

わっふ「ああ、ラテアートはあれ、使ったってことか。」

かなな「ステンシルみたいな感じだねっ? すごーいっ。」

おーたん「飲むのもったいないな……。」

ひろりん「それな……。ケーキもこれ切らなきゃだろ……?」

かなな「はい、ナイフ。わっふやって。」

わっふ「なんで俺。」

ひろりん「血も涙もない男だからだろ。」

おーたん「なるほど。」

わっふ「だんち〜ず☆のファン辞めます。」


《wwww/単純に作った人の息子だからだろww/今日のひろりん辛辣でウケる》


ひろりん「たまには逆襲しないと。」

かなな「正攻法だと口じゃ勝てないもんね。」

ひろりん「悔しいけどその通りね!」

わっふ「外野がうるせーけど、参るっ。」

おーたん「わああああ躊躇いなくナイフ入れたよこの男!」

ひろりん「ほら!! ほら冷酷だ!」

わっふ「良心の呵責でしにそう。」

おーたん「絶対思ってない時の顔じゃん!」


《あああネコチャンがまっぷたつに!/猫んとこでスマホのボリューム上げてたから耳いってえww/←一昔前のブラクラみたいな罠よなw》


かなな「まあまあ。私も食べたいし、わっふは悪くないよ。」

わっふ「かななのファンに、なるわ俺。」

ひろりん「そこで庇うのはずるいだろ!」

おーたん「かなな一人だけ株あげるのはなしだよ!」

かなな「かなな悪いことしてないもーん。だってこの場でケーキ上手に六等分できるのわっふだけじゃん。」

ひろりん「うっ……。」

おーたん「た、確かに目測じゃ無理かも……。」


《六等分?/え……尊……/ちゃんと持ってってあげるんだな》


わっふ「まあそれは、当然。」

おーたん「ラテアートまではちょっと無理だけどね。」

かなな「すーとさっとの分は私が運ぶよー。」

ひろりん「待てやめろケーキ原型失うから。」


《かななへの信頼ww/仲良しだなあ》


(♪蛍の光)


ひろりん「さて、猫の日企画は楽しんでいただけましたでしょうか?」

おーたん「猫ちゃんたちについては里親決まるまでNPOさんとやり取りするつもりだから、随時報告するね!」


《楽しかったよ!/ちゃんと専門家に相談してるあたりがさすがだんち〜ず☆》


わっふ「持ち込み企画なんてあんまり、やらないから心配してたけど視聴者さん好感触で、良かったです。」

かなな「ケーキ美味しいー。」

ひろりん「あっもう食ってるし。」

おーたん「猫まみれで幸せだねえ、かなな。」

かなな「ねっ。」


《かなな可愛いな…/お面したまま器用に食うなあw/マイナスイオンリターンズ》


ひろりん「んじゃ、今日はこの辺でっ。お相手はひろりん、」

わっふ「わっふ、」

かなな「かなな、」

おーたん「おーたんっ。以上、にゃんこな生主……」


全員「だんち〜ず☆!」


おーたん「でしたっ! お付き合いありがとにゃん!」

わっふ「猫については続報をお待ちください。」

かなな「よい猫の日を〜!」

ひろりん「じゃーねっ!」


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