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ゲーマーが戦国時代で生き抜くようです  作者: 日向を向く白猫
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法楽寺にて…

こんばんは!日向を向く白猫です!お待たせしました!

今回は一方その頃ということで、信長の敵である斎藤龍興陣営の話を描きました。

直感に加え、情報を調べながらの執筆になるので、歴史ファンの方はあれ?なんて事もあるかも知れませんが、ここでの史実という事でご容赦を。

それでは続きをどうぞ!

ちょうど墨俣城で山内猪右衛門が誕生した頃、稲葉山の周辺は騒然としていた。父義龍の死によって家督を引き継いだ斎藤龍興が、城から追い出されたという一報は、斉藤家の家臣にまたたく間に広がっていった。兵士達にもそれは広がっており、信長という侵略者に抵抗している今、それは斎藤家にとって大きなダメージであった。そんな中龍興は稲葉山に近い法楽寺で側近と共に身を潜めていた。

「道利、お前はこの状況をどう見ておる?」

長井道利、斎藤家の重臣であり、龍興が家督を継いでからも斎藤家に仕え続けた男だ。龍興の代になって重用され始めた彼は、龍興に恩義を感じていた。斎藤家滅亡後も龍興に仕え続けたとされている。

「龍興様、半兵衛には半兵衛なりの理由があるのでしょう。頭のいい半兵衛です。きっと何か考えあっての事だと思いますな。」

「そうだとよいのだが…」

龍興は半兵衛にしてきた仕打ちを振り返っていた。半兵衛は頭も良く、容姿端麗。龍興自身それを認めていた。立場のある自分よりも優れている半兵衛に嫉妬心を抱いていた。それに加え次々に斎藤家の元を去り、敵の元へゆく家臣達。そうした状況や不満から半兵衛に嫌がらせをしていたのだ。半兵衛は優しく、じっと耐えていたのだろう。そう思うと、今までしてきた行いは間違いだった。きっと半兵衛はそれに怒って行動したのだろう。

でもしょうがなかった。自分は家督を継いだ身。崩れてゆく斎藤家を自分の元に臣従させることが急務であった。周りから1目置かれている半兵衛が従っている。部下達に立場を示す方法がこれしか浮かばなかったのだ。

道利はそんな苦悩を誰よりも知っていた。父義龍が病死した時、龍興はまだ14歳だった。当時義龍から謀反の疑をかけられ重用されなかった彼は、忠義を示すために龍興の面倒を見ていた。そうした経緯もあるが、今は龍興が重用してくれている。龍興の祖父道三の時代から斎藤家を見続け、龍興の成長を見続けてきた自分だからこそやらなくてはならない。自分がしっかりしなくては、そんな思いが彼の中にあった。長利は言った。

「龍興様、お言葉ですが龍興様が半兵衛にしてきた事は決して良いことではありません。それは龍興様自身が何となく感じているのではないでしょう?」

龍興にとってそれは図星だった。長利がそれを察すると続けて答えた。

「人は誰しも、誰かに嫉妬や不満を抱くもの。それをどう使うかで如何様にもなる。賢い半兵衛なら、それをわかっていることでしょう。龍興様は半兵衛について何か思っていることはありませんかな?」

長利の問いに龍興は考えた。半兵衛に対して思う事。長年してきた半兵衛への行い、当主についてからの自分の振る舞い、その全てを考えた。まずは、半兵衛への仕打ち。これについて龍興は謝罪の念しか無かった。だが、謝って済む話ではない。その気持ちが捨てきれていないのであった。

「長利、私は半兵衛にどうしたら良い?今更謝って許してくれるだろうか?」

「許してくれるかは分かりません。謝る気持ちが大事なのです。」

当主になってからの振る舞い。龍興は当主になって、酒に溺れる日々を送っていた。どうしようもないほどに止まることの無い信長の侵攻、離れていく味方、半兵衛に当たっていても解消されることのないストレス。全てから逃げたかった。

「私はずっと逃げていた。残ったみなは私に付いてきてくれるだろうか?」

「他の誰が離れようとも、わしは龍興様の家臣です。思った時が行動すべき時でしょう。龍興様、まずは半兵衛殿に謝罪してみてはいかがでしょう。」

「そうしてみよう。筆と半紙を持ってまいれ。」

龍興がそう言うと、長利は法楽寺の住職に筆と半紙を持ってこさせた。半紙に向き合い、龍興は半兵衛への謝罪と、これからの自分の決意のようなものを考えつく限り書き綴った。

紙に綴ることで、今までの全ての思いが整理された。決意を新たにした龍興はこの時生まれ変わったのである。斎藤家の主君龍興として、信長に立ち向かう覚悟を決めた。

「私はやるぞ、長利。信長を退け、美濃を守るぞ。」

「この長利、命に変えてもお供致します。」

護衛の兵士に文を持たせ、その兵士が馬に乗って去っていくのを龍興は見送った。そこにあったのは、一皮剥けて少しだけでも成長した斎藤家の当主の姿であった。長利は、そんな姿を見て、誇らしいような思いをした。この方に生涯尽くし、その成長を見守りたい改めてそう感じたのであった。この文を見て半兵衛がどういう判断をするかは、龍興にも長利にもわからなかった。だがきっと半兵衛に思いは届き、いい結果が生まれることを信じていた。

龍興は、周囲の山々を見て呟いた。

「美濃はよい国だな…」

長利は言った。

「誠に良い国です…」

最後まで読んでいただきありがとうございます。今回は斎藤龍興とその側近長井道利を登場させました。稲葉山城を巡って、龍興の思い、秀吉らの思いが交錯し、これからの半兵衛の選択を左右していきます。次回は半兵衛登場の予感?色々整理をしたいのもあってまたスローペース投稿になるかもしれませんが、是非ご覧下さい!

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