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1.第一章[異変]

地球に似た世界の物語。

羅国(らこく)という東に位置する島国の、とある少年の家から始まる。


2021年5月5日 午前7時30分、携帯のアラームの音が聞こえる。

いつもと同じ音、初めは耳辺りの良い音だと思って設定したけど永く使えば不快な音へと変わっていく。


スヌーズ機能なんて二度寝するための機能だ。

当然俺も取り敢えず一度目は起きず5分後の不快なアラーム音を待つ。

それなら最初からもう少し遅い時間にセットすれば良いのにと思うかもしれないけど、それは大きな間違いだ。

7時30分に鳴り、35分にも鳴る。

そんなやり取りを数回繰り返す、1人『早く起きなよ♪』『あと5分ー』『遅刻しちゃうよ~』『う~ん』新婚生活の朝ごっこみたい……では無いな。

いや、決してアラームは女の子の目覚まし声等ではない。

だって家族と一緒だし、そんな恥ずかしい事は出来ない。

ただ二度寝って気持ちよくない?


まぁうちの親は僕を起こしに来てはくれないし、ましてや『おにーちゃーん、朝だよ!』なんて可愛く起こしに来てくれる妹なんてものもいない。


大概、父親は朝6時すぎには仕事へ出掛けるし、

それに合わせて起きる母親は朝御飯と弁当を作り終え、ゆっくりとテレビを観ている。

そして3つ歳上の姉は自分の顔を創るのに夢中だ。

子供にはあまり興味がなく、放任主義、自由主義だ。


ただし朝御飯はちゃんと用意されているし、シャツやお弁当が用意されている所は我ながら中々できる母親だと思う。


まぁ誰もが憧れる専業主婦なのだから普通なのかもしれないが、専業主婦には休みがないそうなので、5日間の学校でひーひー言ってる俺には到底勤まらないと思う。


ただその日は出来る母親にしては珍しく、朝御飯やお弁当は用意されていなかった。

朝の妻(仮)とのやり取りを終え布団から出てきた俺を待っていたのは、

いつもは朝食が並ぶテーブルを囲んで、下を向いている家族の姿だった。


「おはよ」


「あ、幸成(ゆきなり)起きたの?おはよう」


「今日なんかあったっけ?」等眠い目をこすりながら話し掛けると、家族はみんなテーブルの中央を凝視している事に気付いた、


テーブルの中心には長い棒のような物がいくつか置かれていた。


眠気眼(ねむけまなこ)だった視界はいつも通りに戻り、テーブルの上にあったものを見ると、そこには映画や時代劇、テレビドラマによく出てくる刀が置いてあった。

昔、祖父からジュラルミン製か何かの模造刀(もぞうとう)(本物の刀とは違い焼き入れも研ぎもされていなく切れない飾り物の刀)をもらい、アニメに触発され毎日振り続けていたのが思い出された。


最初はその刀かと思ったが、どうやら模造刀はちゃんと棚に飾られているし、見た目も違う、そして明かに数が多い。


俺の誕生日はまだ2カ月以上先行きだし、早めの誕生日プレゼント?ではないよな。

テーブルには1本りではなく、4本置かれていた。


それらは、家にある豪華な装飾がついた模造刀とは違い、見るからに下級武士や足軽に与えられたであろう装飾も殆どなく貧相なものに見えた。


それでも時代劇好き、チャンバラ好きな俺からすると嫌でもテンションが上がってしまう。


「それどうしたの?新しいダイエットとか?まさかみんなして刀振るの?」等と笑いながら話し掛けても3人は何言ってんだコイツという顔で僕を見ている。


さすがにその場の空気を読んで真顔で詳しく話を聞いてみた。

すると、「朝は起きないし、ニュースも新聞も読まないからだろ、今日は学校休め」と父親から言われ、


「そうね、今日は少しまわりの方にも色々と話聞いてみるから家でじっとしててね」と母親から。


姉からは冷たい視線が飛んでくるだけだった。


現状、先程と何一つ変わらず意味がわからない。

取り敢えずみんなもこの状況が理解できていなんだと思う。

これ以上突っ込んで聞かない方が良さそうだ。

うだうだ言ってると父親に怒鳴られかねない。


ただ、今日は学校へ行かねばならない。


昨日泰平(たいへい)と文化祭ライブの打ち合わせをすると決めていたし、もうそろそろ曲を決めて各々練習を始めないと、去年の文化祭のように最後の最後で慌てる事になるのは目に見えている。


今年こそは余裕のパフォーマンスで皆に良いところを見せつけあわよくば……女の子とお近づきに…。

そんな(よこしま)な思いを持ちつつも、ギターは真面目に弾いてるよ。

決してただモテたいだけではない!あわよくば有名になって、あわよくばお金持ちに、あわよくば美人の奥様を……。

とまぁとにかく今日は学校へ行くのだ。


テーブルを見る限り朝御飯と弁当はないので、取り敢えず冷蔵庫の中を(あさ)る。

朝飯はグレープフルーツジュースとヨーグルトで凌ぐ事にした。


昼はいつもは使わないが、学校近くのお弁当屋タムラ、唐揚げ弁当350円で済まそうと決めた。

量も多くコストパフォーマンスは高い。

いつも良い匂いをさせている友達を少し羨ましく思っていた所だしちょうど良い!


とそんな事を考えながらいつも通りに朝の支度を終え家をでる。


父親は何やら仕事仲間に電話していた。

母親は姉の部屋で何やら話していたが、時間も時間だし気にしてられない。


ただ、いつも通り玄関を開けると家の外が異様な雰囲気だと気づいた。


いつもは朝の出勤時間、会社員や学生が行き交うはずの通りは数人の人影がある程度、オール明けの早朝を思い出させるくらい閑散(かんさん)としている。


まさか時間を間違えたかと思い時計を見直すが、針は8時を差している。


家から自転車で15分程の所に俺が通う石倉高校(いしくらこうこう)はある。


一時間目は、ショートホームルームのあと8時50分から始まるので最悪それまでに着けば良いが、こう見えて真面目なので、いつもショートホームルームの10分前には席についている

バンドマン=不良というのは間違いだ。

むしろ真面目なくらいだ。だからチャラい他のバンドは好きではない。

それに一応、元スポーツマンなので時間はまぁまぁ守る方だ。

とまぁ関係のない話は置いておいて、今は目の前の異様な光景に注意を向けるべきだ。


歩いている人はざっと見て4人。

1人はジョギング中の女性、もう1人は何やら独り言をつぶやきながら小走りに駅の方へ向かうサラリーマン風の男性、そして残りの2人はカップルのようで、腕を組んで駅へ向かっている。


この時間にこの静けさは異様だが、あまり考えても仕方ないので取り敢えずペダルを漕ぐことにした。ヒーメヒメ♪


取り敢えずは町は異様な雰囲気だが、何事も無く高校へ到着した。


今日の一時間目はたしか数学だったな、苦手分野だし、また後ろの席の小西(こにし)さんにお世話になろうと考えつつ高校の自転車置き場へ。


そこでまたしても異様な光景が目の前に広がる。

普段は体育館下まで自転車で(あふ)れている自転車置き場が今日はガラガラだ。


休みの日に部活の為学校へ来たときはまぁこんな感じの時もあるが、大概は運動部やら吹奏楽部やらの自転車でそこそこは停まっている。

それに比べても明らかに少ないのは、さすがに気持ちが悪い。


そこでやっと朝からの可笑(おか)しな雰囲気が気のせいじゃないことに気づいた。

自転車置き場で突っ立ったまま、取り敢えず教室へ向かうか、それとも一度家に帰るべきか、一瞬悩んだ時、突然横から話し掛けられた。


高柳(たかやなぎ)君?」


一瞬心臓が跳びはねそうになったが、声の主を見て平然を装った。

声の主は、先程話に上がった古西さんだった。


成績は中々優秀で、スポーツもそこそこ出来てそれでいて中々に美人というクラスの男子からは中々に人気の中々(なかなか)コニシさんだ。


急に声をかけられまだ落ち着けていないのか

「あ、古西さん、なんか皆来てないみたいだね」などと当たり前の事を言ってしまう。


「そ、そうだね、私も今日は朝練無いからいつもより遅く来たのに……なんかあったのかな?」


そうして2人で辺りをキョロキョロしてみるが、一向に人がいる気配がしない。


「とりあえず教室行ってみようか?たぶん泰平は来てると思うし」


「そうなんだっ?じゃ少し安心したよ。文化祭の練習とか?」


「あー、練習というか打ち合わせ?まだやる曲決めてなくて……だから練習はそれからかな」

等と話ながら教室へ向かっていると、途中の階段で後ろから野太い声をかけられた。


「おまえら何しに来たんだ?!」


えっ?!っと思い振り替えると、そこには体育教師の諸戸(もろど)先生が仁王立ちしていた。


諸戸先生はいかにもな体育教師で、身長は高く身体はゴツい、何より首が太すぎて首なのか顔なのか……それはさておき、何しに来たんだは無いよなと思いつつ「おはようございます、すみません今日は休校日でしたでしょうか?僕たち知らずに来てしまって……」


「やっぱり知らずに来る奴がいたか……だが古西まで、おまえらホントに知らんのか?!」

諸戸先生の顔は飽きれと驚きが混ざったような表情をしている。


すると古西さんが弁解するように「すみませんでした先生、でも昨日も特に休みだなんて案内はなかったと思うのですが、突然決まった事でしょうか?」


「たしかに、休みならさすがに僕も覚えてると思います」と力強く言ったあとに、マズイ…これでは休み嬉しいヒャッホーって言っているようなもんだと気付いたが、時すでに遅し。


すると先生は「いや、元々休みだった訳じゃないし突然決まった事でもないんだ、まぁ良く分からんと思うから取り敢えず職員室に来なさい」


えっ、職員室ですか?怖いな、と少し思ったが、まぁ叱られる感じでも無さそうなので言われるまま職員室へ向かう。


2階に上がり職員室へ入ってまず「えっ」っと声が出てしまった。


そこには他の先生達の姿はなく、居るのは目の前の諸戸先生と教頭先生の橋爪(はしづめ)先生だけだった。


部活が無いことを考えれば先生もいないのは当たり前なのだが、

デスクの上には、今朝の自宅のテーブルと同じ光景を再現するように刀が数本置かれていた。

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