変な物
みえないなあ…。
拠点から既に半日経過したにもかかわらず、誰一人として遭遇しない。
だが、骨の馬はしっかりと目的地を決めて走っているようにも見えてくる。
「この先に村ってあるの?」
暇すぎて骨の馬に声をかけてしまった。
しかし返ってきたのは、カラカラとした骨と骨がぶつかる音だけだった。
「よし!お前の名前を決めたぞ!」
その言葉に反応するかのように、骨の馬はスピードを落とし
そして止まった。
空洞で何も無いが、これはわかるぞ!
きっと期待してくれているんだ!
「お前の名前はホネ蔵だ!よろしくな!」
「・・・・・・・・」
ホネ蔵はゆっくりと歩き始めた。
どうやら名前を気に入ってくれたみたいだ。
「鎧の名前も決めたぞ!お前は高い防御力で俺を守ってくれるからな。お前の名前はカタインだ!」
カタインはピクリとも動かなかった。
まあ、鎧だし。
相変わらず静かな時間が淡々と流れていく。
そして、ついに我慢できなくなった。
「ホネ蔵、拠点に帰ろう。これ以上進んで、人が居たとしても交流は難しそうだ」
軽く半日以上を移動で過ごして分かったのだが、地面が荒れているのだ。
現段階では、交流が叶ったとしても俺達側からの一方通行になってしまう。
相互に利益が出なければ足元を見られる結果になる可能性も少なくは無い。
それならば、俺は俺の村を作るまでだ。
現状での塩を含めた調味料の確保は半ば諦めているが
それでも完全には諦め切れていない。
現代に生きてきた俺には、急激な食文化の変化に耐えられるほど強い適応力は無いのだ。
「ところでお前ら、普段何を食べてるんだ?」
やはり返事は返ってこなかった。
変な物食べるんじゃないぞ…。