光
くそっ!持って来れたのは一つだけか…。
幾つもあるコレクションの中のたった一つ。
コレクションの中では一番新しい物だった。
一番のお気に入りは触れることすら出来なかった。
マジで恨むぞ…。
そして召還された場所も問題だ。
周囲に人の気配は無く、川の流れる音と鳥が鳴く音が聞こえるだけだった。
周りを見渡せば朽ちた廃屋が幾つもみられる。
廃村…だろうな。
他の奴等は無事だろうか…。
留まっていても仕方が無いので、まずは食料の確保から始めることにした。
植生があちらとは全く違うため、食べられるという保証も無い。
危険ではあるが行き抜くためには必要なことなのだ。
小型の動物も多々見られるため、彼等が食している木の実を重点的に採取していこう。
ガサガサと茂みを歩きまわり、ポケットに出来るだけ沢山の木の実を集めていった。
小さな木の枝や葉っぱで制服のブレザーも所々破れて傷だらけだ。
木の実も沢山集まったところで、次は水が欲しくなる。
川の水をそのまま飲むのは怖い。
怖いけど飲むしかない。
だって容器が無いんだもの。
火を起こすことが出来ても、器になるようなものが何も無いのだ。
廃村でも鍋くらいはあると思ったが完全に当てが外れてしまった。
とりあえず少しだけ水を飲み、木の実はまだ食べない。
そのまま横になり、唯一持ち込んだ石を眺めた。
お前だけ…なんだよな。
あたりも暗く、小さくなった焚き火が辺りを赤く照らしていた。
だが、辺りが暗くなるにつれて石が光っているのに気づいた。
何だろう?
家に飾っていたときはこんなこと無かったのに。