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始まりは突然に



空や地上至る所で激しい爆発が巻き起こっていた。空は朱色に染まり次々とそれは地面へと沈んで行く。地面には数え切れない程の焼け焦げ黒炭となったモノが、無機質な残骸と変わっていた。


白銀の髪は爆発の衝撃で捲き上ると、髪と同じ白銀と真逆の黒色と言う異質な瞳が鋭い視線を放っていた。二色の瞳が見据える先には次々と空や大地を埋め尽くす様に、人間とは思えない異形の者達が彼を覆って行くのだった。


彼は圧倒的な数に動じる事なくパチンッと指を弾く。

瞬間大気がバリバリと悲鳴を上げていた。伝染するかの如く彼を取り巻く者達は、体内発光し地面のそれへと変貌する。


数百、数千、数え切れない爆発と発光は寂しい朱色の景色を彩る様な演出にも見えてしまう。


「この世界と俺も終焉を迎える。次こそは必ず変えてみせる」


茜色の空を彼は見上げていた。二度と過ちを繰り返さない様にと、情景を脳裏へと刻み込む。


「さあ。始めようかこれは終わりではない。始まりなのだから」


彼を包む空気が変わる。揺らめく白銀の髪はとても綺麗だった。光は熱を帯び茜色の世界を真っ白に塗り替えていくのだった。





――――――――――――――――――――――――




頭の痛みで目が醒める


「頭いてぇ。昨日飲みすぎたかな」


両手で頭を抱え暫く地面にヘタリ込んでしまう。

頭痛は定期的に波の押し寄せてくる。暫く動けそうになかった。


「やべぇ。仕事行かなきゃ、てか今何時なんだ」


苦痛に耐えポケットから携帯を取り出して行く、画面には圏外のマークが写し出されていた。


「最悪だっ!金払ってなかったか?」


辺りを見渡すと見覚えのない路地裏へと倒れこんでいたようだ。


「くそ。此処どこだよっ!」


昨日は確か朝方まで友人と飲んで。酔い潰れて。店で横になっていたはずだよな。


「あいつら。俺を見捨てて帰りやがったのか!」


思わず上げた声に思わぬ大ダメージを受けてしまった。俺はフラフラと壁に身を預け再びヘタリ込んでしまう。


ネタか何かで見知らぬ土地に放置されてしまったのか?


「俺メンタル弱いんで凹むわぁ。いやマジで。泣きたい。あ……俺ハミられた?いやいや、あいつらに限ってないよな?」


俺は思わず呪文の様に独り言を呟く。


「の……」


「とりあえず帰らなきゃだな。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」


「あのっ!」


「よし、まずは何処か座れる場所を探してだな」


「あの!!大丈夫ですか!?」


思わず頭上から発せらた声に頭を抱えてしまう。


「うあ焦った!!ぐ。あぁ……頭が割れる」


抱え込んだ体勢から視線だけを声の方に向けて行くと、女性が心配そうにこちらを見ている。


「す、すいません。困っていた様なのでつい」


「あぁ、ごめん。自分の世界に入ってしまって気がつかなかった」


女性は見ず知らずの俺を心配そうに見ていた。


「良かったら肩をお貸ししましょうか?」


放置されて凹んでいる俺には女性の優しさがとてもありがたかった。女性をなんとなく見るとめちゃくち可愛いじゃないかっ!?

こんな可愛い娘が優しさまでも持ち合わせているなんて。世の中捨てたもんじゃないな。


「ありがとう。すいませんがお言葉に甘えさせてもらいますね。とりあえず何処か座れる場所へお願いします」


「わかりました!私の肩に手を回して下さいね」


女性は俺の横に屈み込むと俺の手を誘導していく。

彼女の優しさに甘えて肩を借りる事に感謝だ。


「本当にすいません。いい歳して昨日飲みすぎてしまったみたいで。情け無い……」


「何か嫌な事でもあったんですか?あまり無茶しない方がいいですよ」


俺は女性に介助されながらもなんとか立ち上がる、神様ありがとう。色々な意味で……



「そうですね……またこんな事にならないように気をつけます……」


介護されてるとは言い、まだフラフラするな……今にも倒れてしまいそうだ。

視界が揺れるが必死に彼女の肩に掴まり耐えていた。


「おっと!す、すいません肩まで貸してもらっているのに……」


俺は思わず女性に声をかけた


「あぅ……うぅっ」


俺がフラフラしてるんじゃない女性が震えているのか?


シュールな光景だが産まれた子鹿の様にプルプルしながら肩を組む2人そこにいた。


「ひぁっ……うぅっ!身体が熱いよぉ……」


俺は思わず女性から腕を離すが、なんとか倒れそうになりながらもに立っていられた。


俺とは対照的に女性は地面に膝を着き、正に産まれたての子鹿の様に四つん這いで地面へと崩れ落ちてしまった。


「だ、大丈夫ですか!どうしました!」


声をかけるも女性は小刻みに震えている。な、なんかヤバそうだ。


「あぅっ……私……へんに……なりそぉ……」


女性を見る限り相当辛そうだった、すぐに助けを呼んだ方が良いと判断した俺は、グラつく頭を抑えて行動に移して行く。


キョロキョロと周りを見渡すとどうやら此処は一本の路地裏になっている様だった。とりあえず道に出れば誰かいるかもしれない!


「ちょ、ちょっと待ってて!すぐに誰か呼んでくるから!」


俺は女性に声をかけつつフラフラしながらも、助けを求め少し先に見える道に向かって歩き出していた。

頭が割れそうだったが、さっきよりはだいぶ痛みがマシになってきている。よし、何とか行けそうだ。


何とか路地裏を抜け出した俺は、人を呼ぶ為に周りを見回して行く。ここ何処だよ……見慣れない景色に焦りを感じてしまうが、先に助け呼ばないと。俺はタイミング良く前から来る2人組の女性へ声を発していた。


「す、すいません!路地裏に体調が悪い女性がいるので、手を貸してもらってもいいですか!」


2人の女性は首を傾げると俺の指差す方向に視線を向ける。


「リム行こう!あそこの路地裏みたいだよ」


焦った俺の声に慌てて高校生ぐらいの女性が路地裏へと走り出して行く。


「待ってよアリスぅ~!」


後を追うようにリムと呼ばれた女性も彼女の後を追って行く。


俺は2人を尻目にフラフラと元の場所に辿り着くと、2人に抱えられる様に地面へとヘタリ込む女性に視線を向けた。グッタリとした彼女は熱を帯びた表情をしている。


「ササラ先輩大丈夫ですかっ!」


心配そうにアリスはグッタリとした彼女へ声をかけていた。先程の優しい女性はササラと言うらしく、どうやら三人は知り合いの様だった。


何とかなりそうでホント良かった。








あるサイトで書いていた作品です。文面を編集していますので、また楽しんで頂けると思います!

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