表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

ーーーー何やら…少し蒸し暑い。・・・葉が揺れる音……風?それと…虫の鳴き声・・・・?

俺は、ぼんやりとする意識のなか辺りを見回した。


「・・・何で…こんな所に?(確か俺は、部屋で自慰行為にふけっていたはず…)」


どうやら俺は、森の中で気を失っていたみたいだ…。しかし何故、森にいるんだ?


辺りは真っ暗な闇に包まれており、木々の青臭い匂いが鼻をついた。


俺は少し考えた。もしかして、夢遊病か何かで、近隣の山に迷い混んでしまったのか?それとも、宇宙人にキャトられたか…?


・・・・いや、そんなこと言ってる場合か!とにかく、早くこの森を出よう。熊かなんか出たらヤバい。そう思い、背を預けていた木から体を動かそうとした時だった。


「ぐっ!あぁぁ!?」


体に痛みが走った。自分の体を良く見ると、見たことも無い服を着ていて血がベッタリ付いていた。

黒い軍服のような服、右腕には腕章と白い布が巻かれている。腰には小物入れと・・・・刀が差してあった。


・・・・どゆこと!?服装もる事ながら、「刀てっ!これ銃刀法違反じゃねーか!ヤベェ!!!何でこんなもん持っ…!?てっ……痛ってぇぇぇぇ!!」


又、先程と同じ痛みが走った。俺は、恐る恐る自分の体を確かめた。

・・・・どうやら、体中傷だらけの様だ。それに、あばら骨や腕、足の骨がズキズキと痛む。だが一番心配だった、服にベッタリ付いていた血は俺のものじゃなかったようで、少しほっとした。


だが、状況がさっぱり分からない…。これだけの事になっているのに!覚えて無いなんて。記憶喪失でもなければ考えられない。

森の中、この格好に刀、それに傷だらけの体。


普通じゃない。・・・何があった?俺に…。・・・・冷静に自分の記憶を辿ってみる。

・・・・やはり俺は……自慰行為に耽っていた……はず!それが何で森の中?意味が分からな過ぎる!


どうする…。どうしたらいい…。


・・・・とりあえず、夜の森てっ危ないし。この血の匂いに誘われて何か、獣とか来たらやだし。木に登って、朝になるのを待つ…か。


俺は、やや混乱気味の頭で漠然とした考えを実行することにしたーーーが、


「痛ってぇぇぇ!!いや無理だろこれ、ワンチャン死ねるわ。痛さで!」


体中クソ痛くて、木を登るとか言ってる場合じゃないわ。病院行かないと。

・・・・でも、どうやって?・・・え?・・・・無理じゃね?・・・・・・・・どうしよう。




◇   ◇   ◇   ◇




暑い、喉が渇いた。それに体の傷がズキズキと熱を帯び次第に痛みを増していった。

俺は為す術なく、暑さでボーッとするなかボソッと呟いた。


「みず…水が飲みたい…」


そう言った瞬間、とうとう俺は横に倒れてしまった。

暑さと痛さで体力を奪われ続けたせいであった。


このまま死ぬのだと思った。だけれど妙に穏やかな気分だった。まるで、こうなる事を望んでいたかの様に。

薄れゆく意識の中、「嗚呼、俺はひょとしたら『安らかにしなせてらせて』欲しかったんじゃないか」と思った時だった。


目の前に液体の入った小瓶が、転がっていた。俺は最後の力を振り絞って、小瓶を掴み疑いもせずに中の液体を飲み干した。


スゥーっと体が楽になるのを感じた。それと同時に心の中で張り詰めていた物も解けていった。俺はそのまま目を閉じてしまった。


ーーーー


なにやら体が痛い。さっきのは夢だったのか死の間際に見る走馬灯…幻影?それとも最初から夢だったのか…。

俺はゆっくりと目を開いた。


すると、そこには大きいムカデの様な虫が俺の体の上を這っていた。


「ぎゃああああああああ!!?」


俺は飛び起き、急いでその虫をはね除けた。辺りは、薄らと明るくなっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ