異世界転生先
シュウウウウウ・・・・・。
テクノブレイク、異世界転生、異端、ここに来てから色々有りすぎて木村真実の頭からは、情報過多によるオーバーヒートで煙りが吹き出していた。
「あ…ああ…ああああああ・・・・」
『木村さん!煙り出てますけど!それ大丈夫なんですか!?』
「あ…あああ…ダ…大ジョブるあああああ」
『いや、ああああてっ…大丈夫じゃないでしょ!』
頭から煙りを出しながらも応答する男に、心配しながらも少女は続けた。
『木村さん、ここに来てから色々あって混乱するのも分かりますが、どうか落ち着いてください!』
どうどうと宥められ、その場に座って落ち着くよう促された俺はゆっくりと腰を下ろした。
◇ ◇ ◇ ◇
「先程は、すいません頭が混乱してしまって、それで…あの…つまり簡単に言うと俺が元の世界で<輪廻転生>出来ない理由てっ何でしょうか?」
落ち着きを取り戻した俺は、少女に向かって疑問をぶつけた。
『簡単に言うと、ですか?』
少女はしばし黙って考えた後『えーと』と、口を開いた。
『まぁ要するに、オナ○ーし過ぎて死ぬ様なゴミは、この世界にいらねぇからどっか行け!……てっことじゃないですかね。多分。』
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・あ、あぁ~、うんうん、なるほどねぇ~。確かにそりゃ合点がいきますねぇーーーーってクルルアァァァァァァァァァァ!!!!」
怒声とともに飛び上がり、豹変した俺は少女に押し迫った。
『ひぃぃぃ!?なんでですかぁ!!簡単にてっ言うからじゃないですかぁぁぁぁ!!!』
白目をむき、舌を出し、四つん這いになって、まるで祟り神の様になり少女を追い掛け回す男。その姿に怯え、全力で逃げ惑う少女。
「オブラートに包めやぁぁ!!こちとら、病み上がりならぬ死に上がりなんだからよぉ。もうちょと…こう…労ってくれやぁ!」
◇ ◇ ◇ ◇
「ぜぇ…ぜぇ…はぁ…ごほっ!」
しばらく追い掛け回して疲れたのか、その場で大の字になり肩で息をする男に冷ややかな目で少女が言う。
『はぁ…はぁ…すいませんでしたね、オナカス野郎の悪い頭でも分かりやすい様に言ったつもりでしたが、もう少し言葉を選ぶべきでしたね。』
・・・・いや、アンタすいませんって…言ってる側からすげぇ酷いこと言っちゃってるよ。俺は思ったが、疲れて声には出せなかった。それに気付いたのか少女が、にやりと口元を緩めた。そして、さっきの仕返しとばかりに言ってきた。
『そんなことより、オナ太郎ぅ……あっ!じゃなかった木村さん、異世界転生ですよ!異世界転生!』
少女は焦って言い直すフリをしたが、走り疲れた俺に、もうつっこむ気力は残って無かった。
さて、小休止した俺と少女は向かい合って座り、いよいよ本題の異世界転生について話し合う所だった。
『えーゴホン。それでは、なんやかんやありましたが、そろそろ異世界転生の事について話したいとおもいます。』
「よろしくお願い致します。」
1つ咳払いをし、少女が改めてといった感じで、話しを切り出した。
『まず、木村さんが転生する世界ですけども、元いた世界と似たような所に行っても同じ様なことになってしまうので、もっとパンチの効いた世界に行ってもらいます。』
(パンチの効いた世界?一体どんな…てかっ表現、古すぎじゃね?)
興味深そうに聞く俺に少女が話しだす。
『今から木村さんが行く世界は、滅びゆく世界。破滅に向かっている世界です。かつて、勇者と魔王が戦い人々がその手に平和を掴んでから、300年後の世界。』
「滅びに破滅・・・・」
物騒なワードに息を飲みつつ俺は聞いた。
「・・・・でも、平和を掴んだってことは、勇者が勝ったんですよね?だったら何故そんなことに。」
『はい、魔王が倒され世界は確かに平和になりました。しかし、魔物や怪物、魔王が生み出していると思われていたその存在は絶えず人々を襲い続けているのです。』
それを聞いた男が「ふーん」と、胡座をかいていた自分の太ももをパンっと勢いよく叩き「そうですか・・・・じゃあ…やっぱ、止めときます…か。」と言ってみる。
『それで、ですね木村さん。』そんな男を少女は無視して続ける。
『転生して、もらうんですけど<ウンコ大>と<ウンコ小>どっちが良いですかね?』
明るい声で聞く少女に、俺はやれやれといった顔で「ほんと…もう、そう言うのいいんで。」と返した。
『あの、そうじゃなくてですねーー』言い掛けた少女の言葉が終わる前に、
「ええ加減にしとき!俺のやつは無視しといて?自分のギャグは、押し通したいってっ?そらいけません!そんなのまかり通りません!」
お母さん見たいな口調で説教を垂れる俺に、少女が真面目に答える。
『木村さん、あなたが<異端>だって言うのは話しましたよね。あなたが死ぬのは、分かっていたんですが…。まさかオナ○ーのし過ぎで死ぬとか…規格外な死に方するから…。だから転生先も意味不明な物しかなくて…。』
「意味不明てっ言うかウンコなんだけど!ウンコ限定なんだけど!!」
突っ込む俺に申し訳なさそうに少女が言う。
『すいません…何分、想定外だったものでして。カス見たいなのしか御用意出来ませんでした。』
くっ…と苦悶の表情を浮かべ、震える拳を見つめ口惜しそうな少女。
「いや、カスてっ言うか排泄物じゃん!生まれた時から死んでんだけど!始まる前から終わってんじゃねーか!異世界転生じゃなくて、異世界転死じゃん!」
『ほんとすいません……そこをなんとか……』
両手を合わせて、サーセン!オネシャス!オネシャス!と懇願する少女。
「てっ言うか、最初に言ってたモテモテハーレムとか、富、名声、力とか何だったの!」
『それは、あの…ウンコとしての~と言う意味合いでして。』
人差し指同士をちょんちょんさせて、半笑いで視線を逸らす少女。
「ウンコとしてのハーレムてっ何だぁぁぁ!!!メスのウンコでもいんのかぁぁぁぁ!!!」
俺は声を荒げて、両手で少女のほっぺをグイグイ引っ張った。
『イテテテ!ひょ…ひょうだ!では、間をとって<ウンコ中>で異世界ウンコすると言うのはどうでひょうか?』
「間じゃなくてウンコを取れやぁああああ!!!!」
俺の魂の咆哮が空に響いた。