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この戦いが終わったら祝杯を上げよう。  作者: 七井望月
第1章『コンビニバイトとクリーチャー』
6/8

「sleep sheep」

2話の編集遅れました。すいません。

 夢見心地が覚めない昼過ぎ。快晴だった空には入道雲が立ち込め、外は雨に降られている。特にする事も無く、惰眠を貪ろうにも昼にあった一件によってすっかり目が冴えてしまい、寝ようにも寝られない状態である。このふわふわした浮遊感のような感じは一体どうしようか。


 今も昼間の出来事について現実味が湧かない。消失した食料品や、ラーメン屋のレシートなど証拠はあるのだが、それをもってしても脳が理解を拒否するのだ。


 というのも別にエルゼの存在や強欲の事件等については疑ってはいない。問題はエルゼが何者なのかという点だ。


  超人的な跳躍の後、そのまま上空を滑空するという人外の所業を見せたエルゼ。ジェットホバー的な物を着けていたような様子は無かった、空を飛ぶ何てのは明らかに人間業ではない。


 それとも物理法則をぶち壊すアイテムでも持ってるとか?俺はそっちの方が非現実的だと思うね。


 考えれば考えるほど深まるエルゼの謎。本人に直接聞いたら「アンタは知りすぎたッス。」とか言って天に召されちゃいそうだからな、どうすればいいんだろうな。


 テレビでは、二束三文の包丁を高額で売りつける通販番組をやっている。そう分かっていても何故か欲しくなるのは商品を紹介するお兄さんの巧みな話術のせいだろうか、もう少し安ければ多分買うだろう。


 そしてそのまま、考えるという事が大嫌いな俺はなにも考えず、下らないが面白いテレビジョンの波に流されるままに流されていった。


 波の流れに任せて、大海原を目的無く旅してても新大陸にはたどり着けないだろう。そのために今、俺は全く持って無駄な行動をしている、そう捉える人もいると思う、が、その新大陸とやらを見つけるのが人生の全てなのだろうか?いいや、違う。しかしコロンブスの偉業を批判する訳ではない。これは持論で、人は皆、“何か”になろうとする、だが考えてほしい。名声や権威がこの世の全てなのか?答えは否だ。自由気ままに暮らすことがこの世で一番幸せだと俺は思うね。…ごめん、やっぱ無し、今の忘れて。俺も金と名声が一番だと思うわ。あと女。


 しばらく流水に身を任せテレビジョンの海を漂流していた俺は、巨大な岩にでもぶつかったかのようにふと意識をテレビから離す。


 時計の針は午後7時前を指す。そろそろ夕飯の時間帯だろう。と思ったが…。


「そういや、何もなかったんだったな。」


 冷蔵庫の中身は空で何も入っていない。面倒臭い事しやがって、強欲とか言うやつ、会ったら顔殴って目ぇ潰したるわ。


 まあ、面倒だがどっかに買い出しに行くかな。この辺にいい店があるかどうか………。


「あー、そうだ。忘れてた。」


 外は雨が降っていたのをすっかり忘れていた。雨は気付かぬ内に強さを増している。これは外に出れそうにない。


「畜生、強欲。あいつぜって~殺すw」


 本当に困った事になった。食料品がなく、買い出しに行こうにも外は大雨で行けない。これはアレだ、詰みってやつだ。


 これは今日の夕飯は抜きだな。こうなるんだったら車の運転位できるようにしとけば良かった。


 その後も俺はしばらくテレビを見て時間を潰した。これしかやること無いしな。


 そして、そろそろ寝ようと思ったとき、


「やべぇ…。」


 襲いかかる圧倒的な空腹感。何かに集中している時には感じないが、集中が切れると同時に思い出したようにやってくる。


 だがここは我慢するしかない、羊の数を数えよう。所説あるが羊を数える事の発祥はイギリスで眠れない人がスリープ、スリープと言い聞かせていたのがシープ、シープに転じていった事からだとか。ちなみに数を数える単純作業が眠りを誘うという研究結果もあるらしい。


 いくぞ?


 スリープ。


 スリープ。


 スリープ。


 シープ。


 シープ。


 Zzzzzz.






 ※









「なあ、お前UMAとか信じる?」


「どうしたよ、藪から棒に。」


 突飛なことを言い出したのは○○だ。まあ、大方昨日見たテレビ番組に影響されたとかだろう。


「実は昨日テレビで見てさー…。」


「やっぱりな。」


 俺もその番組はテレビで見てた。やたらと足のでかいゴリラのような生物だとか、地球侵略を目論むエイリアンだとか。馬鹿馬鹿しい……とも簡単には否定出来ない。実際、宇宙の広さは計り知れないほどであり、地球以外にも生物が存在してる可能性だって大いにある。その地球外生命体の文明や知識が高度に発展していて、子供がひらがなと同じ様に一般相対性理論を学ぶ文化ならUFOを造って地球をちょっと訪ねてみる何てのは何ら訳の無いことだ。


「だったら話が早い。お前は信じるのか?」


「あり得ない、とも言い切れないな。」


 俺のその返答に○○は驚いたような顔をして、


「ほう、意外だね。お前は絶対に信じないと思ってたよ。」


「そうかい。」


「所で俺は断然信じる派だが、今そんじょそこらにもエイリアンがいると踏んでいる。」


「お前…、それは影響されすぎだろ。」


 辺りを見回す仕草をする○○。心霊現象やエイリアンを取り上げた番組をやった次の日とか、皆すぐ影響されて流行りの風邪みたいに広がってくからな。こいつを隔離しといた方がいいんじゃないか?


「そう思うか?俺の考えだと、宇宙ってのはとてつもなく広いだろ?その中に生物の住む星ってのは一つや二つでは無いと思うんだよ。別に火星にいたって驚きやしない。それでその中にヤバい文明の星があったらUFO造って地球に来るの何か簡単じゃんか。」


「俺もお前と同じこと考えてたよ。……何か嫌だな。」


「茶化すなよ。…続けるぜ、そしたらそのヤバい文明は地球じゃなくても色んな星に行けるわけじゃん、ヤバいからな。でも地球には生物がいる。それだけで研究の価値はあるだろ。だから地球に来るわけだが、そのまま来たら侵略しに来たと思われて戦争よ。だから変装して紛れてるって訳。宣戦布告でも無い限り、奴等も変に目立ちたくは無いだろうからな。」


「長文お疲れ。確かに一理あるな。」


「だろ。そんでここ近年の人口増加、これは宇宙が地球に来てる証拠だろ。」


 まあ、話に筋は通ってるな。そう思ってると○○は何か企んでいるような悪い顔をする。


「それでまさかだが宇宙人を探そうってんじゃ無いよな?だとしたらあまりに野暮だぞ。」


「まあ、待て俺にも考えがある。」


「どうせ録でも無さそうだけどな。」


「ふん、ほざけ。言っておくがこの作戦は完璧だぜ。」


「さいですか。」


「見てろ、決行は明後日の日曜。集合は駅前の公園な。」


「何で普通に俺も参加することになってんだよ。」


「どうせ暇だし良いだろ。」


「確かに暇だけどな。」


「じゃあ決まりだな。感謝しろよ、俺の考えた最強の“隠れ宇宙人発見プロジェクト”に付き添えるんだからな。」


「なんだ、その謎のプロジェクトは………。」


 何か嫌な予感がする。

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