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両足を開き、腰を落として両手を右に持っていく。


「カーメ、○ーメ…波!!!!」


そして、一気に両手を突き出す。


ブォン!


その勢いで突風が発生するが、彼がやろうとしていることは出来なかった。


「クソ!今日も失敗か…」


岩田敏夫(いわだとしお)52歳。子供の頃に読んだ某人気少年漫画の主人公が使う技に憧れて武術を始めてもう35年。

いまだに習得できていなかった。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




ピピピピッ!


「朝か…」


目覚まし時計によって目覚めた敏夫はまず顔を洗うために洗面所に向かう。

その後、さっぱりした敏夫は家を出てランニングをする。


静かな街の中を一気に走り抜ける敏夫、そのせいで彼が走り去った後に風が吹き荒れる。

これが早朝だから良かったもの、もし通勤ラッシュの時間帯だったなら、人様の迷惑になるし、ちょっとしたエッチなハプニングが起こってしまうかも知れない。


街を抜け、山まで来た敏夫は木々の間を縫うように頂上まで走る。

その際、頻繁に現れる猪と正面衝突したが、逆に猪が吹き飛ばされ、敏夫は気にした様子もなくそのまま走り抜けた。



頂上まで来た敏夫はまず瞑想をする。瞑想をして、氣を高める。

ある程度の瞑想を終えた敏夫は影舞(えいぶ)を始める。


『影舞』…それは敏夫自信が編み出したオリジナル練習法だ。


どの格闘技にも組み手という練習方法があるがそれを敏夫がさらに無駄を一切なくし、完璧なものに作り上げたのが影舞なのである。


敏夫は見えない敵…自分と対峙する。


じりじりと距離を縮めて…そして一気に懐に入り込む。が、それを予期していたかのように敏夫の動きに合わせて拳を入れてくる。敏夫はも負けておらず、自分の拳と撃ち合わせる。


その瞬間爆発したような衝撃音と衝撃波が発生し、敏夫と見えない敵の足元にクレーターが出来る。

その次の瞬間には敏夫の体はブレて見えなくなり、拳がぶつかりあったであろう衝撃音と衝撃波だけがそこに発生していた。


そんな完璧に人間離れした練習を敏夫は二時間続けた。

余談だが、敏夫が同じ時間、場所でするものだからその山は最初に比べて段々と削れて小さくなってしまっていた。



朝のトレーニングを終えた敏夫は山の裏の麓にある川で汗を洗い流し、タオルで体を拭いてから持ってきていた服に着替えて今度はゆっくりとした歩みで自分の家まで帰る。

その際、街の中を歩いていると何故か女性に熱い?視線を向けられたような気がしたがまぁ、気のせいだろう。


と、敏夫は思っているかも知れないが、敏夫は自分の容姿に無頓着だから気づいてないだけだが、敏夫はものすごく顔は整っていて、武術を修めていることもあり、体は引き締まっている。それに氣を循環させているため老化が遅く、敏夫自身が実年齢を言わなければ、20台後半にしか見えないのである。


故に、敏夫は知らないが、学生時代では女子の間では『残念イケメン観察対象』と囁かれていた。

付き合うことは出来ないが、見ているだけなら良いという意味からついたあだ名だ。



と、家に着いた敏夫はトーストを焼いてスクランブルエッグとベーコンを焼いて朝食を食べ始める。

食べ終えた後は流しで食器を洗い、ある漫画を持ってくる。



その漫画は敏夫が武術を始める切っ掛けとなった物だ。敏夫はあの技を習得するために漫画を読んで研究し、そして実践をする。

それが敏夫の一日の過ごし方だった。




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼



のだが、今敏夫は混乱している。


何故なら家で研究を終え、さぁそこを踏まえて実践してみようと外に出たら森の中だったのだから。

しかも、自分の家が二階建ての4LDKからちょっとボロい、けど前より少し大きい平屋になっていたからだ。



だが、そんな状況になろうとも敏夫は慌てない。取り敢えず家の中に入ってお茶を飲んで一息つき、家の構造と自分が買い置きしておいた食料はあるかどうか調べることにした。


結論から言うと、全部あった。風呂もトイレもあったし食料もあった。まぁ、何故か布団の数が増えていたけどそこは気にしないことにした。

その次に敏夫は外に出て家の周りを見てみることにする。



ある程度見た敏夫はある一ヶ所を見つめるように見て立ち止まっている。

それは前の家で言うなら表札があるところだ。


そこにはひとつの杭が打たれていて、文字が書かれている。



『トシオファミリア孤児院』…と。





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