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第02話 ルート2.「なるほど、言い値を払おう」と答える

この小説には選択肢があります。

「なるほど、商人の言うことは最もだ。言い値を払おう」


勇者は光の剣を納めて答える。


目の前の悪徳商人は、たしかに罪を犯したかもしれない。

しかし店舗や土地、木綿の在庫の財産や、従業員が罪を犯したわけではない。


それに、補償したところで自分の懐が痛むわけではない。

あの業突く張りの王に払わせればいい。


エチゴーヤの、にちゃっとした笑みは、もう隠しようがなかった。

「さすが勇者様!みなさま、お聞きになりましたか!

 エチゴーヤは王都の撤収にあたり2650億円の補償を王家からなされると、

 この場で約束してくださいましたぞ!

 たしかに承りました、さっそく契約書を作成いたします!」


大声で周囲に聞こえるよう宣言すると、いそいそと店内で指示を飛ばし始める。


勇者に付き従ってきた衛兵たちのほとんどは読み書きと簡単な算術ができる

だけだったので、今の契約がどれほど重大なものであったかは理解できなかった。


ただ、自分たちの数千人分の年金に匹敵する取引に、

ぼんやりと憧れと不安を抱いただけであった。


つまり現実感がなかったのだ。


ところが、なかに一人商家出身の兵士がいて、血相を変えて勇者に詰め寄った。


「お待ちください勇者様!契約を結んではいけません!撤回してください!」


勇者は商家出身の兵士の顔色を見て、聞く気になった。


「なんだ?なにかまずかったか?」と返答しつつも、

 少し失敗したのかもと思いはじめてはいた。


「当たり前です!金額の査定もせずに払うなんてあり得ませんよ!」


商家の常識によれば、取引の最初は値段を吹っ掛けるものである。

値引いてこない相手は取引相手とは言わない。カモと言うのである。


「しかし、市民たちの前で約束してしまったしなあ。」勇者の反応は鈍い。


勇者には戦士の心がある。戦士は金勘定には大らかであるべし。

そうでなければ荒くれものの多い兵士や

傭兵をまとめ、死地に連れていくことはできない。


戦場で魔物と渡り合い、死地で兵士達を鼓舞してきた勇者は、

自分なりに約束の重さを理解していた。

恩賞の約束をケチってひるがえす指揮官に従う兵士はいない。


まして、今回の王命は「悪徳商人エチゴーヤを王都から追い出す」ことであり、

その費用や手段について勇者にはフリーハンドが与えられている。


勇者の約束は重いのだ。


それに、自分の懐が痛むわけではない。


だが、商家出身の兵士の言うことにも一理ある。

契約書を満面の笑みで持っているエチゴーヤの思い通りになるのも

気に入らない。


周囲の視線は気になるが、契約は無効と宣言するべきだろうか?



【読者様へ。以降、話の展開を選ぶ選択肢があります。

 選択肢を読んだら目次へ戻り、選択先へ移動してください。】


ルート1「最初の約束通り、契約を結ぼう」と言うなら  ⇒6話へ

ルート2「いや、現実的な線で決着をつけよう。」と言うなら  ⇒7話へ

どの選択肢をとるか決めましたか?

選択肢への感想などもいただけると嬉しいです。

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