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第14話 ルート2.ある程度は商人の言うことを聞き続けるなら

この小説には選択肢はありません。

まあ、もう少し商人に喋らせてやるか。

どう足掻いても運命は決まっている。


勇者は冷めた目で滑稽な一人芝居を見守っている。


「・・・そもそも、救国の勇者ともあろう貴方が!

 なぜ、このようなつまらない任務を宛がわれたとお思いか!

 王は、勇者を邪魔だと考えているからではないのか!」


なぜか勇者にお鉢が回ってきた。


「たしかに、邪魔だろうな。俺は政治には興味がない。」勇者は答える。


「政治の話ではありません!正義の話です!」商人は切り返す。


エチゴーヤは、大きく腕を振って市民達に訴える。


「今の王は、勇者である貴方を使い、有産階級の大商人の私有財産を没収

 したがっているのです!勇者の名誉を汚し、市民の権勢を削ぎ、財産を

 奪う!そうして自分に対抗できる政治勢力を潰そうとしているのです!」


そういった点はあるだろう。勇者も認めざるを得ない。


だが、どうしろと言うのか。

自分にできることは、正義の確信に基づいて光の剣を振るうことだけである。


今、王の法執行に基づく正義に対する信念は崩れつつある。

この状態では勇者の力を十全に振るうことはできないだろう。


しかし、商人の正義に乗ることもできない。

勇者にとっては、魔族との戦争の間、戦場にいなかった、という点では

王も商人も同じだからだ。


豚と狸の争いか。せめてどちらかが、絶世の美女というなら

正義の天秤も傾こうというものだが。


自分はまるで、道化ではないか。


そう思ってしまった。

であれば、この場にいることに意味はない。


勇者は商人に背中を向けた。


「バカバカしい。俺は降りる。豚と狸で心ゆくまで争うがいい。」


そう告げると、勇者は王都から去った。


王都は商人を始めとする有力市民と王政を維持するべく足掻き続ける

有力貴族達の政治勢力の争う場となり、混乱は長く続いた。


混乱の中で、勇者のことは忘れ去られ、その記録は失われた。


Bad ENDかもしれません。

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