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第11話 ルート2.「補償金の支払いは自分がする」と言うなら

この小説には選択肢はありません。

「そこまで言うのなら、自分が補償金を払ってやろう」勇者は宣言する。


「ほほう・・・?」意外な返答に、商務大事は言葉に詰まる。


「なあ、王様よ。」と、勇者は王に向き直る。そこに敬意はない。


「たしか、俺は王国に領地を貰えることになってた筈だよな。

 あと、爵位も。辺境伯だっけ。王都から遠いし、書類だけで

 まだ行ってないけど。」


勇者の政治的影響力を削ぐために、王都から離れた場所に領地を与えたのは

前の商務大臣の入れ知恵である。

さらに、隣国との前線に置くことで領地の発展を防ぐ二重の安全装置である。


「確かに・・・。だが領地を担保にしても、それだけの資金を調達できるか

 どうか・・・。あの地の発展には、まだまだかかるぞ。」


商務大臣の頭には、王国各地の税収が入っている。

それに照らしても、とても返済能力があるようには思えなかった。


「いや、領地も爵位も要らんから売るさ。いくらで買う?」


と勇者が悪戯っぽい目をして問う。


商務大臣が税収や売官の相場を元に、爵位が20億円、領地が500億円

といったところだろう、と勇者に返すと、


「じゃ、隣国に売るよ。」と、こともなげに言う。


「あの悪徳商人だって、これ以上この国に留まらんだろうし。

 俺も宮廷の陰謀ゴッコに付き合うのに飽き飽きした。

 じゃあな!」


やにわに契約書をつかむと、勇者は人間業とは思えない身軽さを見せて、

バルコニーから外へ飛び出して行ってしまった。


取り残されたのは、唖然とした顔でお互いの顔を見合わせる王と大臣達である。



結局、辺境の領地は敵国のものとなった。


勇者が王都からの軍勢を跳ね返しつづけたからである。

他人の財産を根拠なく侵害するものは「悪」だからだ。


勇者の剣は、悪には容赦がなく、兵士や軍馬、攻城兵器を薙ぎ払った。

数度に渡る攻略の試みが失敗し、王国は領地の奪還を諦めた。


エチゴーヤは結局、勇者の領地に本拠地を置くことになり

勇者の保護を受けて、隣国と王国を又にかける大店となった。


エチゴーヤなりに、金勘定に疎く、お人好しの勇者に恩返しをする

意味もあったのだろう。



現在では「勇者とエチゴーヤ」とは、「離れがたく利益を追求する仲」を意味する慣用句として残っている。

・・・Good END?

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