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追憶のVRMMO記  作者: 天引村江
8/31

第6時間 地獄にようこそ

皆様、こんにちは・・・今。

私は・・・・・・


・・・・・地獄に居ます。

「ぼけっと!するな!小僧!足を動かせ!顎を上げろ!常に周囲の警戒と確認を怠るな!」

「おう!」

俺に怒鳴り声で言ってきた者は。

下半身は動きやすさを選んだ皮のズボンに金属で補強されている。

上半身は金属製のアーマーで、顔は・・・

ドクロだ、どっからどうみても、人間の頭蓋骨だ。

左目の部分は綺麗な穴だが、右目の部分は剣か槍が刺さった跡がある、生前の傷だそうだ。

口や目の穴からは青白い煙をはいている。

そして、骨の手で拳を握りこちら迎え討つ様に構える。

そう、このガイコツは素手だ!

対する、こちらウォーハンマーという長柄武器を使用して。

戦闘中だ!!

「うりゃー!」

掛け声と共に、上段に構えた武器を振り下ろした。

「ふん、甘いわ!」

そんなことを言い、紙一重でこちらの右斜め側にステップで近づく。

「(それは!予想済み!)」

ウォーハンマー無理やり右に流し足払いを仕掛ける。

ガガガガ、と音を鳴らしながらウォーハンマーを動かす。

「むっ」それを、スケルトンは飛び上がり避ける。

「(空中では避けられまい!)」

そのまま、力の流れに任せウォーハンマーを上段に構え、振ろうとしたところで。

「ふん!【()双拍(そうはく)】」

俺の目の前で拍手をした!

バン!拍手と呼ぶには生易しくない爆音が鳴り響く

一瞬、ほんの一瞬だけ自分の動きが停止した。

「まだまだ、だな!」そう、ガイコツは言った。

着地した相手が右拳を腰まで引き左手は何かを掴む様に構えた。いや、実際に何か(・・)を掴んでいる様だ、左手の掌が少し歪んでいる!

「褒美だ、受け取れ!【空穿(そらうが)ち】」

腰だめに引いた右拳をねじりながら左手に掴み取る何かを正拳突きで殴り飛ばして来た。

ズドム!そんな音を響かせながら鳩尾に何かが弾け飛んできた!

鳩尾から背中に駆けて衝撃が突き抜けた。

膝から崩れ落ちながら、なんでこんなバトル漫画みたいなことをしているのか?

思い出してみる。


かれこれ、リアル時間で三週間位前。

事の始まりはPKされ復讐する権利を得。

しかし力が足りないと思い、何とかしようとイベントリの中身の地図を広場に居た婆さんのヒントで解読、力をくれると書いてあった、地図の場所に行ってみたらそこは、墓地で。

目的地は墓地の最奥、他の墓地より、立派な墓石の前にスケルトンが居り、話をしたら気に入られ、墓石の下には地下へと続く階段、誘われるようについって行った。


(回想開始)

そこは、まるで格闘場の様な場所で、壁には数々の武器が置かれていた。

「ここは、一体?」

素直な疑問を目の前のスケルトン(?)に聞いてみた。

「なに?修練所に決まっているだろ?」

へ・・

「お主にはここで儂の修行を受けてもらう!」

修行パートかい。

それはいいとして、「あんた、何者なんだ?」そう、尋ねたら。

「馬鹿者!これからは師匠と呼ばんかい!」

また怒られた、て、いうか名前は。

「ふん、まあよい、我が名は【武王】」

武王!?

「知っているぞ、数百年前に居たとされた【六英傑】の一人だったはず!」

「ほう~若いのによく知っているの」

六英傑とは名前の通り、六人の集団で各々が一騎当千の武力と魔力・技術を持つ集団で、この武王はその一人で、あらゆる武器と武術を取得した存在だ!

飛竜の集団をたった一人で殲滅したと伝え書かれていた。

このことは、図書館の本に載っていた。

そのことを後で、聞いてみた所。

『あほ、トカゲ(飛竜)など何匹屠ろうと自慢にならん、龍を倒せたのなら自慢にも成ろうが。』

如何やら話はホントらしいが、飛竜はこのゲームではトカゲが変異したものとされる。

飛竜・地竜・海竜は下位種で、龍は上位存在らしい、詳細は不明、資料が不足している。

それよりも話の続きをすると。

そこからは地獄だった!

『戦闘の基本は体裁きだ!剣で斬り合うのは素人だ!斬ったら即、身体を動かし相手の攻撃の範囲から離脱しろ!』と言い、槍で突きまくられた!

『武器が無くても敵は待ってくれはしないぞ!』と言い、しこたま殴られた!

なんか某格闘ゲームの技を使われた!(昇○拳)

『一種の武器にこだわるなどするな!武王ならあらゆる武器あらゆる手段を覚えろ!』

いや、俺、武王じゃないから!

そう言われ、剣、短剣、槍、打撃武器、長柄武器、etc

実際に戦い覚えさせられた!

『戦いの基本は回避だ!目に頼るな、耳と肌で感じろ!』目隠しをされて攻撃を受ける。無茶苦茶だ、これゲームだから!

そんなことが一週間近く続いた。

その間、外には一切出してはくれない。

『大丈夫だ、ここでは死ぬことは無い』

そう言うことじゃなくて!

如何やら修行終了まで、出られないようだ!


ステータスを確認すると。

(プレイヤー)ネーム】クロエ

【師事】武王

【HP/MP】250/200

(プレイヤー)スペック】

筋力25(+14) 精神20(+7) 敏捷20(+10) 耐久25(+10)

【スキル】【神々の工房LV1】【弓LV3】【斥候LV4】【戦士4】【格闘LV3】【古代言語LV1】【採取技能LV3】【危険察知LV3】

【称号】【復讐者3】【武王の弟子】

(ソウル)(ポイント)】10P

凄いことになっている。

新しく取得したスキルは【戦士】【格闘】【危険察知】の3つだ。

【戦士】(クラススキル、近接戦闘に補正が掛かり筋力と耐久を強化する。様々なクラスに派生する。)消費SP5

           使用可能アーツ{挑発}

このスキルは武王に『儂の弟子なら戦士になれ!』と無理やり取得させられた。

挑発のアーツはエネミーのヘイト(敵愾心)を集める。

このアーツを使って、後衛の安全を確保する。

このスキルは様々なクラスに派生する。

派生条件も様々で有名なのは、【魔導戦士(スペルソルジャー)】だ、これはクロイツがβ時代に取得して有名になったらし。

【格闘】(強化スキル、拳と蹴りの攻撃に補正が掛かるほか、体術アーツに補正が掛かり、腕部・脚部装備に攻撃性能を持たせる。)消費SP15

【体術】スキルの上位変換だ。

拳と蹴りを強化できるほかに、通常は攻撃力を持たないが、このスキルを取得すると腕部・脚部の装備に攻撃力が少し付く。

体術アーツは武器を使用せずに扱うアーツで覚えれば他のアーツと組合せやすく、扱い易い。

例えば、鋼鉄のガントレット、防御力30の場合は半分の数値15になる。

因みに鋼鉄のガントレットは武王の借り物である。

【危険察知】(敵対行動を察知して、知らせてくれる。)消費SP20

このスキルは行動補正スキルだ、不意討ちなどを光と音で知らせてくれる。

便利だが一度に感知するのは一方向だけで一斉に攻撃されると弱い。

奇襲対策だ。

その分、消費SPが大量に必要で、この修行中に手に入れたSPはこれらにほとんど取られた。

名前の下に【師事】武王と記載されていた。

称号スキルに【武王の弟子】が追加されている。

【武王の弟子】(武王に直接、師事を受けている。修行終了まではずせない。)

如何やら、修行終了まで外す事が出来ないようだ!


「(回想終了)」


目を瞑りながら相手が近づくのを待つ。

「いつまで寝とるか!起きろ!」

そう言って、武王が蹴ってきたのを見計らい、腕で立ち上がりながら、その反動で蹴りを避け、すかさず近づき格闘戦を仕掛ける。

「あの世に帰れ!くそガイコツ!」ワン・ツーを打ち込む。

「師になんと言う、言い草か!」頭を振りこちらの拳を避ける。

バックステップで距離をとる

「ふん!古典的な手を使いよる。」と武王が言ってきた。

「(古典的で悪かったな!)」悪態を心の中で言いながら油断なく相手を見る。

「しかし、大分ましには、なったものよ。」すり足で寄ってくる。

それに対し右にゆっくり移動しさっきの攻撃に注意する。

先程の攻撃は、ある程度の距離でも威力があるのだろう。

射軸に入らないようにしなければ!

「それは、どうも師のおかげで!」そう言って攻撃を再開する。

スッテップを小刻みに左右に踏み、一気に距離を詰め、攻撃体制に移る。

「ふん、その意気はよし!だが・・策なく攻撃するは無謀ぞ!」

「ふっ」息を吐き、目の前でしゃがみ、足払いを仕掛ける!

「ぬ、」武王の体勢が崩れる。

直ぐに起き上がり右拳を引き攻撃体制を取る。

「喰らえ!」

「ふん!同じことを繰り返す!【鬼双拍】」

「(来た)」その瞬間、右拳は囮だ。

左蹴りで武王の左腕を蹴り上げる。

「ぬ!」アーツが失敗したようだ。

蹴り上げた足で地面に叩き付ける【震脚】のアーツを放つ

【震脚】は体術アーツで、次の攻撃の威力を上げることができる。

ダン!音を鳴らしながら左の肘で肘打ちを仕掛ける。

「どうだ!」

バッシ、軽い音がしたが。

それにしては、武王が後ろに飛んだ。

「ふ、今のは、少々驚いた、狙われていたとはな?」如何やら当たる瞬間に後ろに飛んで衝撃を逃がしたのか!

そんな事も出来るのか!

「しかし、約束は約束だ、一撃入れれば合格だ。」

約束とは一撃を与えることが出来れば合格としここから出してくれると言う。

「合格だ。」そう言って、誇らしげに俺を見る。

「最初はどうなることになるかと思ったが、なかなか。」

「それは、どうも。」嬉しくはないが礼を言っておく。

武王は腰を下して語りだした。

「儂は、後継者を探していたのかもしれんのう~だからあの地図を外に出した。」

「(だったら、読める言葉で書けよ)」そう思ったが口には出さず武王の前に正座した。

「お主、地図を渡せ。」

そう言ってきたのでイベントリから【???の地図】を武王に渡した。

「これは、儂の魂の欠片でのう。」

渡した地図が光、輝き丸くなっていく。

武王の手の中には虹色の球があった。

「これを使い、お主が武王を名乗れ。」

そう言って宝玉を渡して来た。

受け取り、鑑定してみると。

【武王の宝玉】(武王の魂が籠っている、使用する為には【戦士】のスキルを限界までLVを上げなくてはならない。使用すると【戦士】のスキルが【武王】のスキルに変化する。(注意!戦士のスキルは消えます。))

成程、だから戦士のスキルを無理やり取得させられたのか。

しかも、さっきの戦闘で戦士のスキルがLV5に上がっている。

如何やら戦士のスキルが規定値に達しないと一撃も与えられないようだ。


一つ聞いてみよう。

「俺は師の力で、復讐しようとしている。」

そう、静かに告げる。

「カカカ。」笑われた。

「ふん、復讐されるほうが悪い!」

武王は鼻で笑い、そう言った。

「お主に狙われる者は気の毒じゃな!カカカ」

そう、顎を鳴らしながら笑った。

おいおい、なんか酷い評価だ!

「そうだ、これを餞別にやろう。」

そう言って立ち上がり。

立て掛けてある、全体が深紅の槍を持って来た。

その槍は長さ2メートル程の一般的なショ-トスピアだが、穂先の下が捻じれており、穂先に文字が刻まれている、この文字は、如何やらルーン文字の様だ。

「これは、昔、とある所で手に入れた物だが使い処が難しくてな、死蔵しておった物だ。」

そう言って渡して来た。

鑑定したところ。

【刺殺の魔槍ゲイボルグ】とでた。

はい・・・滅茶苦茶有名な伝説の武器ですね!

ゲイボルグとはケルト民族が伝承する神話に登場する、半神半人の英雄クー・フーリンが影の国の女王スカアハに与えられた伝説の魔槍だ。

如何やらこれは一撃を入れた事によるボーナスと言う訳か。

多分、このイベントは[約束の一撃]は成功しなくても戦士のスキルレベルが5に達したら終了したのかも知れない?

ゲームではよくある特殊条件でのイベントクリアボーナスと言うやつだ。

ゲイボルグを確認するのは後にして宝玉使用する。

宝玉を使うと前と同じ様に、虹色の光が胸に吸い込まれた。

【戦士LV5が武王に変化しました。】

如何やら武王にはレベルがないようだ。

【武王】(武を極めた者がなるクラス。一度でも見た武器・体術アーツを覚えることが出来るが、スペルの性能が極端におち熟練度が倍掛かる。)

    使用可能アーツ{アームチェンジ・6 フォースエッジ オーバードライブ ソールドライブ}

このスキルを持っていると、スペルの使用が制限されるのか。

因みにスペルとは魔法版のアーツになる、このゲームでは中二病的呪文を唱えるのではなくスペル名を唱え発動する。

発動するまで動けなくなり、発動後同じスペルはモノにより時間を置かなければ、再使用出来ない。

前者がキャストタイム、後者がリィテイクタイムである。

しかも、キャストタイム中に攻撃を受けると失敗になりMPを無駄にする、ほか、物によっては、暴発と言ってダメージを受ける物もあるが、敵に与えるダメージはデカい。

それよりも、如何やら外に出られるようだ。

ここに入ってきた階段から光が指す。

「うむ、朝か行くがよい二代目武王よ。」

そう武王は言った。

「武王、あんたは成仏するのか?」

 そう尋ねた。

「ふっ・・・」

笑みを浮べている様に見える。

思い残す事も無いだろうし、こういう者は成仏し天に召されるのだろう?

「・・・・・・いや寝るのじゃ!」

ずる!コケそうになった。

成仏せいや!こいつ、ターンアンデット効くかな!?

「お主を構っておったら疲れが出て、眠くなったわ。」

酷い言われ様だ!人のせいにするな!武王みっともない!

「そう、そう、後で酒の一本でも寄越せよ!授業料替わりにのう、カカカ。」

まったく、どこの893だ!

そう言って武王は奥に消えていった。

「は~わかった、気が向いたらな。」

そう、応え。

外の光が射す階段を登って外に出た。



第6時間終了

お待たせしました。

戦闘描写は難しい!

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