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拳銃使いのデッドナイト  作者: 夜風リク
11/15

はい、ごめんなさい……。

数時間前、まず小手先調べとでもいうように俺たちの前に現れたのは、木でできたつり橋であった。異常にぼろくて、築200年と言っても差し支えないほど。事実、つり橋を支えるロープは切れる寸前だったし、つり橋の中心には穴が空いていた。1メートルぐらいの穴だった。

 つり橋の下は真っ暗だった。まるで怪物が大口を開けているようであり、その深さが伺い知れた。落ちたら、奇跡でも起こらない限り命はないだろう。


 と俺は、戦々恐々しながら考えた。

 それでも俺たちは勇気を振り絞って、ゆっくりと歩き、歩き、歩き、最後には走って、つり橋を渡り切った。

 その道中では色々なアクシデントが起こった。足を踏み出した瞬間に床が抜けるとか……つり橋を支えているロープが、プチンと切れてしまうとか……。しかし無事に渡り切ったのだから、結果オーライというものだろう。

 少女は終始、今にも泣き出しそうな表情をしていたが……。

 今思うと、励ましの言葉を掛けてあげれば良かったかもしれない。


 つり橋を渡ってから数分後、今度俺たちを待ちうけていたのは、ウォータースライダーのようなものだった。筒状の道が、斜め下へと伸びている。そこには水が流れていた。水の勢いは強かった。

 まるで、嵐の後のような川だった。

 この道を行けば更に下へ行くことになってしまうが、他に道は存在しなかった。むろん、引き返すなんてとんでもない。

 必然的に、俺たちはこの道を滑ることになった。

 水の勢いは衰えない。


 別れ別れになってしまうことを考慮して、俺は、少女を膝に乗せて滑ることになった。むろん下心はなかった……と言えば嘘になる。お恥ずかしいことに、俺は、下心がありました。

 はい、ごめんなさい……。

 やった、これであの可愛い少女と密着状態! お尻が俺の膝の上に! とか思って興奮していました……。

 はい、ごめんなさい……。


 少女は最初俺の膝に乗ることをイヤそうにしていた。それは表情にも出ていたし、態度からも滲み出ていた。俺の前でも構うことなく、「イヤだ……」とか言っていたし。あのときは、俺もどえらいショックを受けた。立ち直れないほど……では決してないが、一瞬フリーズするレベルではあった。


 一見タフそうに見える俺ではあるが、意外とガラスのハートを持っていたりするのである。

 それでも最終的には、俺の血気迫る素晴らしい論弁によって、少女を説得することができた。あのときは本当に嬉しかった。

 少女がゆっくりと俺の膝の上に乗ったときには、思わず叫んでしまいそうだった。大きな声で、「ありがとうございまぁぁす!」と。

 自分でもバカみたいだと思う。


 とまあ……色々なことがあったわけだが、ウォータースライダーの試練自体は、特にアクシデントなく乗り切れた。途中で水の勢いが強くなるとか、底が抜けるなんてことは、皆目なかったのだ。

 割と楽勝だった。

 これなら、次の試練も難なく乗り切れる気がしていた。

 だがそんな甘っちょろい考えは、ウォータスライダーの試練を乗り越えて、数百メートル進んだ辺りで、呆気なく否定された。


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