事後と仕事
30分後。
ケン「はぁ、はぁ、はぁ…」
ヤマメ「はぁ…はぁ…。うふふふ、良かったわケン。やっぱりアナタが一番よ…」
ケン「そ、そりゃどうも…」
事を終えた後は、ちゃんと服を着せてくれるヤマメ。彼女なりの優しさだろう。
ケン「なぁ」
ヤマメ「なに?アナタ」
ケン「アナタって…まぁいいや。仕事でもしてみないか?」
ヤマメ「突然何を言い出すの?そんなことしなくてもお金には全然困ってないわ」
ケン「いや、俺が働きたいんで。できれば、体動かすような仕事がいいんだけど…」
ヤマメ「アナタが働く必要はないのよ?」
ケン「だってよぉ、外に出ようとしたらヤマメがくっついて来てろくに運動という運動はできないし、室内じゃ他の人に迷惑だから激しい運動は無理だし、筋トレにするにも限界はあるし、外の光も浴びたいし…」
ヤマメ「外に出たいなら、私が寝てるうちに逃げ出しちゃってもいいのよ?」
ケン「この前それでばっちり捕まったじゃん…」
ヤマメ「そうよ。だから、外に出るのは諦めて」
ケン「やーだね。ここに居るのもいいけど、せめて両親に一言でも、別れの言葉くらい言いたいよ」
ヤマメ「え?じゃあずっとここに居てくれるの?嬉しいわ」
ケン「親に連絡できたらな」
ヤマメ「マザコンかファザコンなの?」
ケン「両親は大事にするべきだぞ?折角自分を生んで育ててくれたんだから。ヤマメだって、親くらい居たんじゃないのか?」
ヤマメ「覚えてないわ。時間が経ちすぎちゃって、昔のことなんて」
ケン「ふーん…」
ヤマメ「昔のことなんて、どうでもいいじゃない。今はケンが私の傍に居てくれるだけで…私はいくらでもケンを愛してあげるわ…」
未だに糸に引っかかっている自分をギュッと抱きしめるヤマメは、恍惚の表情で両手を後ろに回して、撫でるように手を動かす。
ケン「俺がそんなに良い男かなー」
ヤマメ「アナタが私を顔と性格で選んだのと同じよ。私だって、7割性格と3割顔よ」
ケン「そうなの?じゃあ俺、イケメンってこと?」
ヤマメ「そうなんじゃない?嫌悪感は抱かなかったわ」
ケン「へー、なんか嬉しいな」
ヤマメ「…話を戻すけど、仕事をする必要は無いわ」
ケン「うーん…でも正直な所、暇でしょうがないんだ。これじゃストレスで禿散らかってしまう。何かいい方法はないのか?」
ヤマメ「…私とまぐわ」
ケン「却下だ。子供でも生まれたらどうするんだ。それにもう2回もしちゃってるから手遅れかもしれないのに」
ヤマメ「こ、子供いらないの…?」
ちょっと動揺したヤマメは数歩後ろに下がる。
ケン「子供の相手をする暇があるなら、ヤマメの相手をしていたいからな。子供の方を優先されても俺が寂しい」
それを聞いた途端に、「嬉しい!」と言わんばかりの表情でヤマメが飛び、抱き着きた。
ケン「ぐふぅ!」
その勢いで体に引っ付いている糸と圧迫され、軽いダメージを受けるがヤマメはお構いなしに胸に頬ずりしている。
ヤマメ「そうよね。私はアナタが一番だもの!子供はいらないわ!」
ケン「そうだよな。じゃあ仕事…」
ヤマメ「仕事もいらないわ!」
ケン「だ、だよね~…」
二人の子供が生まれたら、さぞかし可愛いのでしょうね。働かなくてもいいなんて、なんと羨ましい…でもヒモも嫌だな~…。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」