縛っちゃう
ヤマメ「ねぇ、縛らせて?」
ケン「いいよ~」
どす黒い笑みを浮かべながら、お手製の蜘蛛の糸をピシッと引っ張り音を鳴らすヤマメに対し、自分は部屋に飾られていた団扇サイズの真っ赤なダルマを指でついて揺らしている。
ヤマメ「随分軽いわね…」
ケン「まぁね。というか。突然どうしたの?」
ヤマメ「アナタと外出する度に思ってたの、アナタを付け狙う女の気配がする…。だから、家に居る時くらいは、拘束して私のものにしたくて。あ、もちろん外に出る時も、ちゃんと糸で手は縛っておくわ」
ケン「そんな最後だけ妙に嬉しそうにされてもな~。それに、俺を狙う奴なんてヤマメ以外居るわけがない」
ヤマメ「いや、居るわ。きっと…。でも、どんな事があっても私の傍に居て…じゃないと私」
ケン「あーはいはい。分かったから、縛るなりなんなりしてくれ。あんまりキツくしたりするなよ?」
ヤマメ「うふふ…大人しくしててね」
手先から何本もの白い糸を出して、寝室に吹き飛ばすと同時に大量の糸で絡められる。腕に力を入れて引きはがそうとするが、少し伸びるだけで外れはしない。
ヤマメ「私の糸はとっても頑丈なのよ?人の力じゃはずれないわ…あぁ、ケンが私に絡まってる…」
ケン「ヤマメじゃなくてヤマメの糸だけどな」
静かに揺れながら突っ込みを入れるケンの声は届いておらず、ウットリとした表情でケンの頬を撫でる。
ヤマメ「やっぱりケンはかっこいいわ…。食べたいくらいよ」
ケン「ヤマメが言うと洒落にならないから止めてくれよ」
ヤマメ「食べちゃおうか…?」
ケン「え…っ」
驚いた瞬間にヤマメのキスで口を塞がれる。それだけじゃなく、口の中に舌を侵入させ、丹念に自分の舌と絡ませ、お互いの唾液を混ぜていく。
ヤマメ「ぷはぁ…はぁ…温かい…」
ケン「舌入れるなんて初めてじゃない?」
ヤマメ「思った以上に…悪くない感覚よ。ねぇ、もう一度…」
ケン「やだね。キスなんて一回すれば十分…ん」
そっぽを向いて拒むが、両手で無理やり顔を前に向けられ、もう一度口同士を接触させる。ヤマメの甘い声が白い糸が張り巡らされている寝室に響く。互いの温かさを感じる度にヤマメの表情は赤くなっていき、その分息も荒くなっていく。
ヤマメ「はぁ…はぁ…。もう我慢できないわ。ねぇ、ケン…言わなくてもわかるわよね?」
ケン「おい、主旨変わってるぞ。俺を守るんじゃなかったのか?襲う側じゃねーか」
ヤマメ「襲っていいのは私だけよ…♪」
艶めかしく目の前で服を脱ぎ、横の糸に掛け、スカートも同じようにする。
二度目の交わりに、諦めを感じながらもケンは服を脱がされていった。
一方、一階では…。
カズヤ「な、なぁ…これ外してくれよ…」
パルスィ「だーめ」
両手を手錠で拘束され、壁の縄で繋がれているカズヤに抱き着くパルスィは意地悪そうに言う。突然自分に惚れた地底の女に、カズヤは怯えるしかなかった。
あの時、パルスィが自分に追いつけた理由は未だにわからない。本当に突然だった。しかし、捕まってしまった自分に、もう逃げるすべはない。もうかれこれ一夜の間はずっとこの調子だ。外が昼の間は手錠を外してくれるが、外には出してくれない。夜の間は壁と手錠に繋がれて寝るしかない。それもパルスィに抱き寄せられた状態で。
パルスィ「私ね。昨日カズヤが逃げないか心配だったの。だから、一睡もできなかったわ。私が寝てない間もグッスリ眠れてしまうアナタが妬ましい…愛しい…。ねぇ。私を安心させて…?」
カズヤ「っ!?」
より一層ギュッと抱き寄せられ耳元で囁かれると、自分の脳が大量の危険信号を体中に送信し、その反応で全身に鳥肌が立つ。
パルスィ「そんなに怯えないで、悲しいわ、妬ましいわ。大丈夫、カズヤは誰にも渡さないわ。唯一の私の光だもの…。愛してる。大好き。大好き。大好き。大好き。大好き。大好き。大好き。大好き…」
何度も同じ言葉をささやき続ける彼女こそが、自分の最大の敵だという考えは絶対に離れない。
そして、自分はこの空間から離れることはできない…。
いいですね。縛られてみたいです。愛の拘束!
毎回投稿がギリギリですみません。学校がテスト祭りって言える程に、妙に成績に響くテスト日を何度も用意してくるせいで。書く時間が遅くなってしまっています。それでも、毎日1本は続けていくつもりです。日曜とかは、なるべく昼くらいには投稿したいのですが…夜のテンションで書いているので結局遅くなるかもしれません。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」