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作者: さいか


空を見上げて、笑う。

なんて、なんて青い空だろう。

夏の、小学生の書いたような入道雲がたつ

少し白っぽい『空色』も好きだが、

やはり、この、少し肌寒く感じるようになる季節の

抜けるような『空色』が好きだ。


この空を抜けたら、どこへ行き着くんだろう。

………宇宙か。

そんな、他愛もないことを考える。

ぼうっと見つめ続ける先で、いろんなものが後ろへ過ぎていく。

見慣れた景色。

高校生活がスタートして3ヶ月。

たった7分の、電車から見る風景。

当たり前だが、そんなに変化はなく、

毎日変わっていたのは、空だけだった。


ああ、雨降るかなあと心配する、少し湿気の多い日は、

どんよりと、いつもより低い位置の黒い雲がある。

局地的なものでも、そういう日は、上の方も白い雲で覆われていて、

その上の『空色』は見えない。


雨だ。と断言せざるおえないような、しっかりと雨が降る日は、

視界もいつもより暗くかんじるような大きな灰色の雲が覆っている。

雨が降るにつれて、だんだん白くなっていく雲。

ときたま、ものすごい雨なのに『空色』が見えたりするから不思議だ。


暑い、セミがうるさい、と思うような、からっとした日は、

白い、高い位置にある入道雲のような雲がよくある。

入道雲ではないのだけれど、とても形がはっきりしていて、

背景になっている『空色』との色合いがおもしろい。


朝、ふとんをかぶってしまう、少し寒い今日のような日は、

すっと、抜けるような、『空色』が見える。

水色というよりは、少し濃い青色の空。

たまに、うろこ雲が浮いていたりして、

その形が少しずつ変わっていくのが見ていて飽きない。


そんな空のなかに、少し高いマンションが入る。

ああ、着いたなあ。

荷物を担ぎなおして、少し、あくび。

さ、今日も勉強だあ。

そんなことを思いつつ、止まっていく電車の外の地上に視線を移す。

電車が完全に止まると、ドアが開いて、やっぱり少し冷たい風が髪をゆらす。

外へでて、ぼうっと、もう一度、空を見る。

………まだ、眠い。

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