おまけ:D.C.
これで終了です。
あれから。
あの、不吉な事件から。
その後、先輩の消息は絶たれ、身寄りの無かった先輩には結果、警察内で形だけの葬儀が行われることとなった。
表沙汰にはなっていないが、あの事件の犯人はまだ捕まっていない。
先輩の一件から上のお偉いさん方も「不味い」と感じたらしく“それ”は迷宮入りとなり、捜査を禁じられ真相は闇に葬り去られた。
でも、正直俺は、ほっとしている。
――だって
――“それ”には、どこか触れてはならないことが
――あると、俺は感じているから。
――……何故か。
――何故か、俺の中の“声”がそう言っているから。
* * *
「おい、桜木
……ちょっといいか」
その言葉に振り返れば、いつもの様な明るさはなくどこか蒼白な顔色で喋りかけてくる東の姿があった。
「……なんだよ?
お前、顔色悪ぃぞ?
線香の臭いにでも酔ったか――」
「――そんなことより、お前に聞きたいことがある
……ここじゃマズいから場所移動するぞ、いいか?」
冗談なんかには耳を貸さず、声を潜めて訪ねてくる東の真剣な表情に思わず頷き、人気のない場所へと移動した。
* * *
場所に移動して唐突に東が口を開いた。
「……お前、“あれ”に関わってだろ」
東の言う“あれ”とは何のことだろう?
俺は首を傾げた。
「何の――」
「――誤魔化すなよ!」
そう言った東の手が震えている。
これは、冗談なんかじゃないと。
そう、彼の目が物語っていた。
「……俺、考えたんだけど。
これ以上無いくらい考えたんだけど」
言葉を切って俺を見つめる東。
「小西さん殺った犯人、お前しか、考えられねぇ……」
* * *
不快な金属音が、今日も鳴り響く。この空に。
終了致しました。
ラストは悩んだのですが、原作のままにすることになりました。
人間の持つ闇とは恐ろしいもの――誰にでもあり、濃さの違うもの。それ故に上手くその闇と付き合わないと、桜木のようになってしまうのかもしれないですね。
お読みくださいました全ての方に感謝を込めて。