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期間限定迷子  作者: yoshihira
本編
6/65

― 幕間 ― ウェイとシゼル

ちょっとだけ三人称


 イーラウ地区警吏部隊、隊長を務めるシゼルとウェイは立場上、日に一度は顔を合わせる。

 それは大抵、シゼルの執務室にウェイが顔を出すかたちで、逆はまずない。

 ウェイが自分の執務室に戻りたがらないのには理由があった。


「で、今日のアレは何だ?」


 いつものように定位置に背を預け、頭の後ろで腕を組んだウェイがにやりと笑う。


「いつ臨時の隊員募集なんて始めたんだよ。ま、人手不足なのは否めないが」


 イーラウ地区は万単位の人が住み、その分、揉め事も多い。

 非常態勢を取っている今、猫の手も借りたいほど忙しいのは確かなのだが。


「あんな入隊審査までして、何をしたかったんだ?」


 面白そうな何かが始まりそうな気配を嗅ぎ付けて、舌舐めずりする男がここにいる。


「―――気になる点がある」


 机の上の書類に次々と目を通しながら、シゼルが告げたのはそれだけだった。

 具体的な事を口にしないのは、何も確証が得られていないからか。

 ひとまず監視しながら静観する構えなのだろう。


「あんな子供に何があるって言うんだか」


 見慣れない衣服を身につけている他は何ら特徴も無い。ひょろりと細い―――少女だ。

 様々な人種が集うイーラウでは、黒髪に黒眼は特に目立つ容姿でもない。

 傭兵を名乗るほど腕が立つわけでもない。ただの負けん気の強い雛鳥。


 だが、シゼルの勘は侮れない。


「ウェイ、各国の情勢について報告が届いている。テネジアがどうにもきな臭いとの話だが、何か聞いていないか」

「塩の値が常より高いっつーのは聞いてるけどな。テネジア人の動向には気をつけておくか」

「あぁ、物価の変動も一つの指標に変わりは無い。『死神』の件が当面の課題だが」

「囮でも用意するか?」

「―――考えておこう」


 ―――こうして隊長二人の夜は更けていく。


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