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第二十六回

 

 東京の下神明のアパートを思い出す。テレヴィなんて設置していなかった。ただCDMDプレイヤーがあった。

 祐介が気づいたら、卓、というかテーブルが置かれていた。早紀が注文したものらしい。

 二人、米くらい炊いたが、料理を全くしなかった。早紀は児童保護施設の出身だったので、包丁を手にとって料理をする習慣は無かった。祐介も、封建的に、料理は女性がするものと思っていたので、二人、慌てて自炊を覚えようとしたのだが、近くの商店街に行けば、お惣菜が売っていたので、それで済ましてしまった。

 早紀は祐介の部屋の風呂に入らなかった。勤めていたスーパー銭湯で用を済ましてから帰ってきているようだった。その風呂は祐介専用の風呂となったが、彼は温水シャワーしか浴びなかった。

 ある朝、炊いたお米に祐介がコンビニで買ってきたお新香を食べていた。

「あっ、お新香ってしっかり食べた事ないけれど美味しい」

 祐介は布団でぼうっとしていた。この狭い部屋なのに、生活を苦なく、しっかりできていたのは早紀の方だった。祐介は自身がこの頃明確に、何か、おかしい、と思っていたが、どうすればいいのかわからず、済ませていた。

 彼は煙草を喫った。この頃から、喫煙本数が増えていった。マールボロ。ラッキーストライク・・・。ベランダの外で喫った。早紀が嫌煙家だったからであった。

 訪問者があった。武さんと言った。専門学校時代の同級生であったが、年齢は祐介より二歳上だった。

「まだ寝巻き!まだ寝巻きか」

武さんは決まってユニクロの白のシャツにカーゴパンツだった。

「今日は休日だから・・・どこか出るの?」

「いや、元気かな?と思ってさ、それと、これ」

「花火?」

「昼間っからやる花火も乙なもの!」

三人、近くの公園に向かい、花火を愉しんだ。

早紀がグルグルと花火を回した。

 カメラに凝っていた武さんはその早紀の姿をカメラに収めていた。トイカメラといったか、普通のカメラではなく、ピントがずれずレになり、撮ると世界がグラデーションを醸しているように撮れるカメラだった。


──ここまで書いて、祐介、彼は疲弊している事に気づき、ペンを置いた。心から、ドロリ、悪いオイルが滴っているようであった。

 香奈に頼み、風呂、朝風呂を沸かしてもらった。

 湯で温まり、髪と体を洗い、最後に冷水シャワーで締めくくる。

 風呂から上がると、服を着て、財布と鍵をズボンに突っ込むと、近くコンビニに向かい、久々、ラッキーストライクを買って喫った。不味かった。

 香奈に言われた嫌な事を思い出した。心が暴れくるうようであったが、平然を装った。

 彼はマインドフルネスの瞑想をする事に決めて、本日の原稿をここまでとする。


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